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映画『ポチの告白』


                                                           
H.T.記

 

 お茶の間で見る刑事さんは人情に厚い正義の味方であるのが普通です。しかし、この映画は警察の裏の顔を真っ向からから描写しています。交番勤務のうだつの上がらない善良な巡査が警察機構の持つ犯罪的な側面に巻き込まれながら自らも悪に染まってゆく姿―始めはサラリーマンとしての悲哀さえ感じますが、警察権力のもう一つの顔に次第に恐怖に包まれます。警察はここまでやるのか―信じられないような展開が待っています。
 
 とある警察署の地域課勤務の巡査・竹田八生(菅田俊)は、タケハチと呼ばれ、市民と上司に信頼される実直な警察官でした。しかし、ある日、その実直さに刑事課長・三枝(出光元)が目をつけ、刑事課の刑事へと選抜昇任させます。その頃タケハチは、妻・千代子(井上晴美)との間に待望の娘が生まれ、上向きの人生に幸福感を抱いていました。しかし、目立つ実績を上げて署長に出世したい三枝に利用され、その不透明な命令にも盲目的に従っているうちに、気付かない間に不法な捜査に巻き込まれてゆきます。やがてタケハチは、三枝ら腐敗した幹部の一員として組織犯罪対策課長に昇任します。自ら麻薬におぼれる刑事。麻薬取引を見逃す見返りとしてノルマである拳銃提供を要求する三枝やタケハチ。そして警察の犯罪を追及するジャーナリストらを抹殺しようとするタケハチたち。とどのつまりは殺人。でも根が甘いところのあるタケハチは、三枝らによってすべての事件の首謀者としてでっち上げられます。背後にうごめく警察首脳。検察官も弁護士も同じ穴の狢です。そして素行調査で弱みを握られた裁判官は…。
 
 195分は長すぎるという批判もありますが、警察の見慣れない裏の姿に息を飲んでいる間に過ぎてしまった感じです。警察は性質上、日常的に犯罪者と向き合っており、特に犯罪組織との距離の置き方は難しい課題で、両者の癒着が時に問題になっています。その上、軍隊と同じく合法的に暴力を用いることが許されにもかかわらず官僚組織の中でも特に秘密が多い組織で、国民の監視の目が届かず腐敗が生じやすいところです。この警察が、法の順守よりもサラリーマンのサガとして自らの出世を優先して手柄を立てること=成果を出すことを優先させる誘惑にかられるとき、歯止めのきかない犯罪的な行為を犯すことになります。映画では第4の権力として警察を監視するはずのマスコミが記者クラブ制度で警察情報を請け売りするだけの機関になり下がっている実態もあばかれています。
  
 「長年、私が取材してきた警察不祥事の数々がベースにあり、どうしても登場人物が実在の人物と重なって見える」(寺澤有=ジャーナリスト)。

【映画情報】
【製作】2006年 日本
【時間】195分
【監督・脚本】高橋玄
【原案協力】寺澤有
【出演】菅田俊/野村宏伸/川本淳一/井上晴美/出光元
【上映館】新宿K's cinemaで公開中
     全国順次公開
公式サイト

 
                                                           

 

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