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映画『ラストゲーム―最後の早慶戦』


                                                           
H.T.記

 15年戦争の末期、学徒動員で出陣する前の最後の早慶戦の物語です。この物語はこれまで何度も映画や本になりましたが、終戦65年の今年、巨匠神山征二郎監督が再び映画化しました。平和が再び危機に直面している今の時代に鳴り響く警鐘となる作品です。

 1943年3月、東京6大学野球連盟は、文部省から解散を命じられます。「野球は敵国アメリカのスポーツだ」がその理由。学生の徴兵猶予も、同年9月、20歳以上の文系学生を皮切りに廃止され、野球部員たちも12月に入営することが決まります。大学の野球部は次々と解散します。

 しかし、早稲田大学野球部監督を長年務め、顧問となっていた飛田穂洲は、学生たちが打ち込んでいる野球を最後の1校になっても頑張ると主張し、練習をやめません。「一球入魂」の言葉を作り、戦後は1946年の日本学生野球協会の創設に加わった飛田氏です。

 そんな中、慶応義塾塾長の小泉信三が、もう一度だけ早慶戦をやりたいと願う慶応の野球部員たちの声を背に、飛田に早慶戦を申し込みます。2度と還れないかもしれない若者たちに生きた証を残してやりたいという小泉の切なる願いを飛田も喜んで受けとめます。
 「なんとか早慶戦をやらせてください」。飛田は早稲田大学の田中総長に必死で頼みます。しかし、田中は世情を考え頑として拒みます。
  飛田も引き下がりません。「早稲田でも、津田左右吉、大山郁夫ら多くの学者が教壇に立てなくなっている。しかしそれでも説を曲げていない。それが教育者だと思う」と身体を張ります。

 結局大学当局の許可のないまま、飛田は独断で試合に踏み切ります。10月16日、「出陣学徒壮行早慶戦」と称して、早大戸塚球場で行われました。
 「共に戦場で会おう」。試合に勝った早稲田のアルプススタンドから、突如として慶応の応援歌「若き血」、呼応して慶応からは早稲田の「都の西北」の大合唱が響き渡ります。球場は一つになりました。

 やがて、12月の雨の明治神宮外苑では銃を肩に、ゲートルを巻いた野球部員たちが集団行進していました。早稲田、慶応からそれぞれ数千名の学生が戦場に向かいました。監督をして「さすが渡辺謙の息子。滅多にいない逸材」と言わしめた好漢渡辺大扮する早大の部員戸田も還らぬ人となりました。

 映画には戦争へと向かう風潮に抵抗する若者の群像があります。説を曲げない教育者も語られています。自衛隊のイラク派兵に関する「今週の一言」の対談でも語られているように、「戦争中」である今の日本において、勇気と希望が感じられる作品です。神山さんは、いつまで自由な映画を作れるだろうか、という危機感を持って監督したとのことです。大げさとは言えないのではないでしょうか。

 この点、本作品に限られませんが、「平和の時代に生まれたことを感謝しよう」という、PRの文言が気になります。映画文化は、PRの方法も含めて論じられなければなりません。

【映画情報】
製作:2008年 日本
監督:神山征二郎
時間:90分
主題歌:鬼束ちひろ「蛍」(ユニバーサルシグマ・A&M RECORDS)
出演:渡辺大/柄本明/石坂浩二/藤田まこと/富司純子/柄本佑/原田佳奈/山本圭
上映館:全国で公開中
公式サイト

 
                                                           

 

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