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映画『告発のとき』


                                                           
H.T.記

 今年になって、イラク戦争やアフガニスタン戦争を告発する映画をこれまで3回ご紹介しました(『勇者たちの戦場』『大いなる陰謀』『さよなら。いつかわかること』)。いずれも06年から07年にかけてアメリカで制作されたものです。4作目となる本作品もまさに
 イラク戦争それ自体を告発するものです。「テロリスト」を次々に撃ち殺すテレビに映るイラク戦争の「英雄たち」。しかし、その実像は?

 ベトナム戦争の時代は従軍記者たちが戦場の様子を衝撃的な映像でリポートし、テレビや新聞で日本にいる私たちも戦争の残酷さを知ることができました。しかし、今の戦争は「管理された映像」にしか接することができません。国民多数の意思で送り出した兵士たちが実際に行っている直接情報が公開されません。民主主義にとっても致命的なことです。従って、本作も帰還兵を描くことによって戦争の真実に迫る手法をとっています。

 さて、映画では2004年11月1日、ハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)の元に、イラクから帰還したばかりの息子のマイクが軍から姿を消したというニュースが届けられます。ハンクは引退した元軍人警官で、息子のマイクもその兄も軍人という典型的な軍人一家。そんなディアフィールド家で育った息子に限って無許可離隊などあり得ないと思ったハンクは、妻のジョアン(スーザン・サランドン)を残し、息子を探し出すために帰還したはずのフォート・ラッドへ向かいます。地元警察の女性刑事エミリー・サンダース(シャーリーズ・セロン)が彼の捜索を手伝い、消息を探っていた矢先に、マイクの焼死体が発見されたという知らせが届きます。スリリングな展開に息を飲みます。

 本作は、雑誌「PLAYBOY」04年5月号に掲載された実話をルポした「死と不名誉」が原作です。このルポによれば、バクダッド攻撃に参加した米兵リチャード(19歳)はジョージア州の基地に帰還した2日後、行方不明になりました。軍は脱走兵扱いをしましたが、父親はそれを信じず自分で捜索を始めます。任期を終えて故郷に帰るのになぜ脱走する必要があるのか? 
 やがて死後4か月経った死体が発見されました。死体は焼かれ、白骨化し、骨には33か所のナイフの傷が残っていました。リチャードと一緒に外出した4人の同僚兵士が逮捕され、真相を告白します。ストリップバーで暴れたリチャードと口論したあげくの犯行でした。犯人はイラクに行く前は妻子もある優等生的な兵士でした。調べを進めると、リチャードもイラク人捕虜の傷口に指を何回も突っ込む虐待などの残虐行為をしていました。戦争がリチャードもその同僚たちも変えてしまったのです。「何でも暴力で解決する場所だからね」。

 ポール・ハギス監督は、アジア・太平洋戦争のアメリカの英雄たちの悲劇を描いた『父親たちの星条旗』を脚色しました。その監督は、今回の作品でこう語っています。「硫黄島では双方堂々と戦ったにもかかわらず、一生癒えない心の傷を負った。ところがイラク戦争ではどうだ。民間人を殺す事件も多く、しかも戦争の大義も存在しなかったのだ」。

 戦争の狂気は兵士とともに帰還しています。

 このページでも紹介した『モンスター』(アカデミー賞主演女優賞)や『スタンドアップ』でヒロインを演じたシャーリーズ・セロンの刑事役、トミー・リー・ジョーンズの重厚な父親役も見ものです。

【映画情報】
製作:2007年 アメリカ
監督・脚本:ポール・ハギス   
原題:In The Valley of Elah
時間:121分
出演:トミー・リー・ジョーンズ/シャーリーズ・セロン/スーザン・サランドン/ジョナサン・タッカー/ジェームズ・フランコ/ジェイソン・パトリック
上映館:全国東宝系劇場で公開中
公式サイト

 
                                                           

 

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