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映画『つくられる自白―志布志の悲劇―』


                                                           
H.T.記

 鹿児島県の大隅半島の一番東、宮崎県に接する小さな町、志布志町(現在は志布志市)で2003年4月に行われた県議会選挙で初当選した中山信一さんが、票を買収したとされ、公職選挙法違反を理由に13名の人たちが起訴されました。当ホームページの日本全国憲法MAP鹿児島編(2)において、担当した野平康博弁護士の詳細なコメント付きで紹介した事件です。

この事件の捜査では、人口僅か20人の懐集落の住人たちが任意取調べの名目で次々に事実上強制連行され、連日の過酷な取調べで虚偽の自白が強要されました。裁判所は自白の信用性を否定し被告人全員を無罪としました(確定)。

裁判で無罪になって事件は一件落着したわけではありません。第一に、当事者の方々は失職するなど生活面は回復していません。人間関係もずたずたにされ、元通りにはなっていません。そして事件をでっち上げた警察・検察の責任は本格的には問われていません。

第二に、このような違法な捜査は、あちこちで行われており、全国的な問題です。安易に令状を発布することによって違法捜査を助長する裁判所の姿勢も極めて問題です。これらは早急に改めるべき重大な人権侵害です。そのためには、多くの市民が捜査の現状を知る必要があります。そこで日本弁護士連合会が、志布志事件のドキュメンタリーとして企画・製作したのがこの映画です。日弁連として初めてのことです。


入水自殺未遂をした人もいた

映画では、当事者の方々が取調べの様子を次々と証言しています。足首をつかまれて肉親を思う心情を破壊するような「踏み字」を強要された状況も再現されています。拷問そのものです。生々しさは映画ならではです。

映画は警察官が自白を強要する取調べ(いわゆる「叩き割り」)や異常な長期勾留(いわゆる「人質司法」)など、取調べの実態を分りやすく解説しています。

映画では、これらの違法な取調べの温床となっているものとして「代用監獄制度」を詳しく採りあげています。本来、捜査と拘置は分離すべきものです。しかし、拘置所(監獄)の代わりに警察の留置場が未だに「代用」されています。

また、この事件のような違法な取調べをなくすためには、取調べの可視化が不可欠であることを訴えています。

6月23日、映画の完成を記念して日本弁護士連合会は試写会とパネルディスカッションを開催しました。会場は熱気に包まれ、全国37ヶ所で中継されました。

「身体の自由」は基本的人権の中でも基礎的な権利として各国の憲法で保障されてきました。日本の実態は憲法の理念と大きくかけ離れ、国際的にも甚だ遅れ国連からも是正を勧告されています。日本の刑事司法を考えるきっかけを作るために、一人でも多くの方にお薦めしたい作品です。

【映画情報】
製作:2008年 日本
企画・製作:日本弁護士連合会
脚本:毛利甚八/池田博穂
監督:池田博穂
制作:(株)青銅プロダクション
時間:45分
出演:志布志事件当事者の方々/片岸みつ子(引野口冤罪事件当事者)/毛利甚八/秋山賢三(弁護士・元裁判官)/原田宏二(元北海道警察釧路方面本部長) 
DVD価格:2415円(税込) 
DVDのご注文・お問い合わせ先:(株)新日本映画社
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