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映画『大いなる陰謀』


                                                           
H.T.記

 アメリカは、01年11月からアフガニスタン戦争を、03年3月からイラク戦争を始めました。もう何年も戦争を続け、敵味方に多大の犠牲者を出しながら終結の見通しが立っていない二つの戦争に対して、アメリカ国内から大きな疑問を提起する映画が相次いで制作されています。

 「大いなる陰謀」は、アフガニスタン戦争を採りあげています。「硫黄島からの手紙」を撮ったイーストウッド監督と並び、スター出身の監督として有名なロバート・レッドフォードが7年振りの監督を務めました。彼自身も出演する豪華な配役陣も話題になり、多くの映画館で上映されています。

 ワシントンでは、ベテラン記者ロス(メリル・ストリーブ)が、共和党上院議員アーヴィング(トム・クルーズ)に呼ばれます。1時間という異例の独占インタビューに興奮しつつも、冷静なロス。アーヴィングは、行き詰まるアフガン戦線の画期的な打開策として、高地を奪回する奇襲作戦を説明します。大統領ナンバーワン側近である彼は、時期大統領戦立候補の野望を抱き、そのための功績を挙げる機会として彼女を利用しようと目論んでいました。気付いたロスは、ジャーナリストとして自立した報道をする道を選択したいのですが、議員のプロパガンダに乗ろうとする勤務先の会社との間で苦悩します。トム・クルーズとメリル・ストリーブ、2大スターの間髪を入れない言葉の応酬も見ものです。

 一方、カリフォルニア大学では、ベトナム戦争に徴兵された経験があり歴史学を教える初老のマレー教授(ロバート・レッドフォード)が、学生の教育に執念を燃やしていました。参戦の空しさを説く教授ですが、指導していた学業優秀なマイノリティ(黒人とヒスパニック)の仲の良い学生2人が、志願兵としてアフガンに向けてすでに出発していました。「参加することの重要性」を胸に、そして、帰国後の大学院進学時の授業料免除に期待しての決断でした。
 期待した2人に去られた教授は、豊かな素質はありながら勉強に身が入らない学生を呼び出し、今こそ社会に目覚める時だと全力で向き合っています。

 その頃、アフガンでは、すでに教授の教え子の2人を含む小隊がヘリで最前線に向かっていました。アーヴィング議員が示していた新戦略となる高地を目指して。ヘリから山岳地帯に潜むタリバーン勢力に向けて銃撃する2人。しかし、1人は下方からの銃弾で負傷し、雪原に落下します。見殺しにできない友人は、ヘリから飛び降ります。2人をめがけて岩陰から火を吹く銃砲。救助する力のない米軍ヘリ。雄弁な議員が居るワシントンの執務室とあまりに対照的で苛烈な異国の前線…。

 カメラは、同時進行している上記3つのシーンをめまぐるしく交錯させます。注意していないと脈絡をつかむのが難しい面もあります。しかし、監督は、政治家、ジャーナリスト、教育者、学生、兵士、それぞれの生き様を交錯させることによって、観客に自ら考えることを迫っているようです。

 アーヴィング議員の執務室に飾られている共和党のセオドア・ルーズベルト大統領の次の言葉をロス記者がじっと見入るシーンがあります。「正義と平和のいずれを選ぶかと問われたら、私は迷わず正義を選ぶ」。正義と平和が対立項として捉えられています。“では「正義」とは何なのか、「平和」と対立するものなのか、若者よ、「正義」という大義の下で犬死にするな、選択を誤るな”という、マレー教授に扮するロバート・レッドフォードの声が聞こえてきます。氏は、イラク戦争が始まった頃、「政治に無関心ではいられない」と発言し、ブッシュ政権を批判していました。

【映画情報】
製作:2007年 アメリカ
監督:ロバート・レッドフォード    
原題:LIONS FOR LAMBS
時間:92分
出演:ロバート・レッドフォード/トム・クルーズ /メリル・ストリーブ
上映館:全国で公開中
公式サイト 

 
                                                           

 

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