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映画『マリアのへそ』


                                                           
H.T.記

 貧困層が40%以上のフィリピン。首都マニラのストリートチルドレンのドラマです。高層ビルを背にした大都会の片隅の屋根のない路上が子どもたちの生活する場所です。登場する子どもたちは、すべて実際の路上生活者か、以前そうだった子どもたちの中からオーディションで選ばれました。学校にも行けない彼らの現実の生活がそのまま役柄になっています。

 主役は6歳の少女マリア、12歳の兄ジョエル、16歳の兄アラニオの3兄妹。
 兄妹の父はペディキャブと呼ばれる人力車の運転をしていましたが、事故に遭い働けなくなって、今は酒びたりの生活です。子どもたちは、道路での新聞売り、物乞い、捨てられた野菜などを拾って生きています。長兄のアラニオは駐車場の見張りなどの仕事をしています。夜になれば、4人の家族は身体を寄せ合い、一つのりんごに感激して4つに分けておいしそうに食べるなど、貧しいながらも楽しい食事の時間を過ごします。そして歩道上で川の字になって寝ます。母の行方を尋ねて山奥に出向くマリアとジョエルの姿は叙情的で涙を誘います。
 そんな彼らの話を聞き、相談に乗り、道端で勉強を教えている青年がいます。自らもストリートチルドレンだったブッチ・ナージャが自ら出演して、存在感たっぷりに演じています。この映画は彼なくしてはできなかったそうです。

 彼ら彼女らの生活は死や犯罪と背中合わせです。殴られ、轢かれ、そして病気が襲います。しかし、子どもたちの表情や仕草は生き生きしており、ユーモアとエネルギーが感じられます。とにかくマリアがくったくなく、元気です。

 「日本人が忘れがちな家族愛や他人を思いやる心」「夢と希望を持つことの大切さ」を感じ取ってもらいたかったというのが製作者の意図ですが、それは十分に伝わってきます。「自分を信じよう」「生きることは人生に希望を持つことだ」とのセリフ。極限状況で必死で生きている人たちゆえに、この言葉が一層光ります。
 そうは言っても、夢や希望は社会の支援がなくては適いません。グローバル化で私たちの生活はフィリピンの人たちのそれと一層無縁ではなくなったことを思うと、私たちにできることは何なのか、考えさせられます。

 監督からのメッセージを紹介します。
「路上に生きる子供たちは世界に1億人はいます。貧困、家庭崩壊、戦争など様々な理由で子どもたちは路上生活を強いられるわけですが、いずれにせよ大人の社会の責任です。最も悲惨なのは、そうした子どもたちが無力で希望さえも失っていることです。私は、アジアの国々を訪れる度に、路上で健気に生きる子供たちを見て何度も危機感を募らせてきました。この映画を通して、路上の子どもたちに勇気を与えたいと考えております。そして、日本の子どもたちにも、メッセージを送りたいと思います。他人をいじめたり、引きこもっている場合ではありません。力強く生きて欲しいのです。」

【映画情報】
製作:2007年 日本
時間:106分
原題:MARIA'S NAVEL
監督:野澤和之
出演:リカ・フォルテュナ/エドワード・パテロス/ダーウィン・マルデイ/ブッチ・ナージャ
上映館:東京・渋谷アップリンクにてロードショー中
公式サイト 

 
                                                           

 

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