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映画『ひめゆり』


                                                           

 今回はこの映画についての2人のコメントを紹介します。

<H.T.>

 「ひめゆり」という言葉はご存知の方が多いでしょう。アジア・太平洋戦争末期の1945年3月、米軍は艦砲射撃とともに沖縄中部への上陸作戦を開始しました。「ひめゆり」は、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校(通称「ひめゆり学園」)に在学中、陸軍野戦病院の看護に動員された15歳〜19歳の学徒たちのことです。
 当時日本の敗戦は必至で、近衛文麿首相は、天皇に対して講和のための交渉を提案しました。しかし、天皇は、「もっと戦果を上げてからにせよ」と拒否しました。天皇を含めて当時の軍幹部の主要な関心は、敗戦後の国体(天皇制)の維持にありました。沖縄は日本本土への上陸を可能な限り引き延ばすための捨石として利用されました。沖縄本島に行かれた方はよく分かりますが、あの狭くなだらかな中部から南部にかけての土地で、陸空海からの一方的な激しい攻撃にさらされつつも、日本の勝利を信じて3か月以上ももちこたえた事実は想像を絶します。地獄そのものの中で、人生がこれからという、うら若いひめゆり学徒隊のほとんどが亡くなりました。島民全体では4分の1の方々が亡くなりました。

 この映画は、学徒隊の生存者22名の方々の貴重な証言で構成されたドキュメンタリーです。病棟になった鍾乳洞や自決しようとした海岸など、体験した現場に赴いての事実に基づく迫真の語りから、実際の戦場のようすが、手に取るように目に浮かび、イマジネーションが豊かにかきたてられます。
 戦争というものが何であるか、その本質を知るうえで、これ以上ない作品であり教材であるといえるでしょう。

 映画に登場する本村つるさん(ひめゆり平和祈念資料館館長)は、下記公式サイトに次のようなメッセージを寄せておられます。

 戦後、ひめゆりを題材に小説や映画が数多く世の中に出ましたが、それらのほとんどがフィクションです。実は、私たちはそれらが出るたびに、落胆し、憤慨していました。
 今回の映画ではひめゆり学徒生存者が生の声で当時の様子を鮮明に語っています。
 この映画は、生き残った者の真実の叫びであり、亡くなった友への心の奥底からの鎮魂の思いを綴ったものです。
 生存者はほとんどが80歳を越えました。いつかは消えてなくなります。でも何年たっても、この映画が、資料館とともにひめゆりの記憶を後世に確かに語り継ぐ大事な財産になるだろうと信じています。

 戦争体験が風化していると言われて久しくなります。今、戦争を知らない世代が、再び、本格的な戦争ができる国日本を作ることを目指しています。そのためには、戦争の残酷な真実が知られることを一番おそれています。ひめゆり学徒隊の多くは、軍から渡された手榴弾を抱いて自決しました。生きて捕虜になれば必ず辱めを受けた後戦車にひき殺される、あるいは股裂きにされると教え込まれ、そう信じきっていたからです。しかし、最近、歴史教科書に対して、沖縄戦で軍に自決を強制されたという記述は事実に反するとの検定意見がついて問題になっています。

 「ひめゆり」はまた、軍は国民を守るための存在ではないことを教えています。「伊藤真のけんぽう手習い塾」第31回「非暴力で守りつづける沖縄の伝統文化」の中では次のような紹介がされています。
 “自衛隊の目的は、「わが国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国柄、天皇制を中心とする一体感を共有する民族、家族意識」という意味の国を守ることにあり、けっして個々の国民の生命や財産を守ることではないということが、統合幕僚会議議長までされた栗栖弘臣氏の「日本国防軍を創設せよ」(小学館文庫)に書かれています。”

 この紹介文はあくまで一つの参考に過ぎません。是非、ご自身の目と耳で、数少なくなった生存者の方々の「遺言」を確認してください。


<Y.K.>

こんなに長い映画を観るなんて大丈夫かなと思っていました。
実際に観てみると、長さを感じないほど、集中して観てしまいました。
戦争が進むのに分けて、3部構成になっています。
どんどん話がひどくなっていき、兵隊がどのようにして亡くなっていくのか、ひめゆり学徒がどのようにして亡くなっていくのか、耳をふさぎたくなるような話がたくさんありました。
そして、ひめゆりの生存者の方は、そのような状況を常に目の当たりにしてきて、大変な心の傷となっているであろうに、語ってくださっていることに驚きました。
当時の戦争教育がどうであったかとか、日本はなぜ敗戦をもっと早く決めなかったのかとか、気になるところはたくさんありました。しかし、映画を観てそれらのことに言及することよりも、本当に心から戦争はもう二度としてはいけないと思いました。
ひめゆり学徒たちが、最後に南部の海まで追いつめられて、海には米軍の船がたくさんあって、そこで、とびかう銃弾に撃たれている、という戦争が信じられますか。彼女たちを殺す戦争の意味がわかりません。岩には今もその銃弾の跡が残っていました。
兵隊だけでなく、若い少女たちも当然に命が奪われていく、そんな戦争があったなんて、知性を持った現代人がすることではないと思っています。
戦争がもう二度とおこりませんようにと願わずにはいられない、映画でした。

【映画情報】
製作:2006年 日本
共同製作:財団法人沖縄県女師・一高女ひめゆり同窓会
製作・配給:プロダクション・エイシア
監督:柴田昌平
時間:130分
出演:ひめゆり学徒生存者の皆さん
上映館:東京・ポレポレ東中野にて公開中(7月13日まで)、7月以降、岩手、名古屋、大阪、広島にて公開
公式サイト 

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