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映画「エンロン」


                              
H.T記

 今、株式会社論が盛んになっています。株式会社は誰のためにあるのか?今後どうなるのか?というのも、アメリカでは、不正な会計処理にからんだ「エンロン」「ワールドコム」という巨大多国籍企業の倒産、IBM、ゼロックスなど有名大企業の粉飾決算、GMの経営危機、日本ではバブル崩壊による企業の相次ぐ倒産に続いて、最近ではライブドア、村上ファンドのスキャンダル、カネボウの粉飾決算など、株式会社制度が大きく揺らいでいるからです。

 映画「エンロン」は、1985年の設立以来、エネルギー業界の規制緩和を政権や議会に働きかけ、急成長を遂げ、売上高全米第7位になった巨大企業のドキュメンタリーです。2001年、エンロンと子会社との癒着問題を報じた記事がきっかけとなり、株価が大暴落。その後、粉飾会計、不正経理、不正取引などが次々と明るみに出、その報道からわずか46日後には破綻に追い込まれました。負債総額2兆円、自社株に投資した従業員は巨額の資産を失って失業しました。他方、経営陣はインサイダー取引で大量のストック・オプションによる株を売り抜け、大儲けしました。残された衝撃的なビデオ映像や音声テープによって、金儲けに徹する企業の反社会的な実態が暴かれています。記憶に新しいカリフォルニア州の大停電も、そんなエンロンの戦略の一つでした。

 奥村宏氏(元中央大学教授・株式会社研究家)は、著書「粉飾資本主義 エンロンとライブドア」の中で、ライブドアも、規制緩和を極限まで利用して不正会計や株式交換、株式分割などの高株価政策により、経営者が株式会社を食い物にして自己の利得を図ろうとした点でエンロンと多くの共通点があると指摘しています。そして、アメリカでは機関投資家が企業を支配し現在の運用実績を良くするために株価をつり上げ、ストック・オプションなどによって経営者を金儲け主義に巻き込み、株式会社制度は危機に陥っているとしています。「倫理なき資本主義」です。日本の場合も法人による株式持合いが崩れた後のビジョンが見えない、あるのは金儲け主義だけであると警鐘を鳴らしています。岩井克人教授(東京大学)は、「倫理性に支えられた社会こそ『市民社会』であり、倫理の基本は他の人間を自分の利益の手段として扱ってはいけない」ことだ、と書いています(06年7月25日付け朝日新聞朝刊)。個人の尊重を究極の価値とする日本国憲法(第13条)の下において、株式会社制度を考えるきっかけになる映画です。

   製作:2005年 アメリカ
   時間:110分
   原作:「THE SMARTEST GUYS IN THE ROOM」
   著者:べサニー・マクリーン、ピーター・エルキンド
   監督:アレックス・ギブニー
   主なキャスト
ピーター・コヨーテ(ナレーション)
元エンロン社員:ケン・レイ(元CEO)
ジェフ・スキリング(元CEO)
アンディ・ファストウ(元CFO)
上映館:新宿K's cinema他でロードショー中
公式サイト

                              

 

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