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映画 「やさしい嘘」

Y.M 記
                                                           

 元ソ連邦に属した小国グルジアの祖母・娘・孫娘三代の話。
 グルジアの歴史とは侵略を受け続けた歴史である。多くの国々に併合され、分割されてきた。1991年、ソ連から独立をする。2003年には時のシュワルナゼ大統領が解任され、社会的な混乱も脱していない。貧しく、シャワーはすぐに止まり、電気さえしばしば消える。
 
 スターリンはこの国の出身である。祖母エカにとってスターリンはヒーロー。娘はこの国を悪くした元凶であると言う。孫娘は昔のことには無関心でスターリンのことも知らない。
 この一家の憧れの「富」の象徴として「パリ」が登場する。
 祖母エカの溺愛する息子のオタールはパリでは労働ビザさえ取れず、もぐりの肉体労働者として働いている。しかし、グルジアでの彼の身分は「医者」。ここに厳しい現実がある。
 孫娘もまた「パリ」に憧れを抱き、フランス語の勉強をしている。
 エカの一番の楽しみは愛する息子オタールのパリからの手紙。そして娘は兄オタールばかりを溺愛するエカに複雑な思いを抱いている。
 ある日、オタールの急な訃報が入るが、娘と孫娘はエカにこの真実を知らせることが出来ない。あの手この手で真実を隠し、「やさしい嘘」を貫き通す二人が書く、偽のオタールからの手紙を不審に思った祖母は、自宅の大切なフランス語の蔵書を全て売り払って、パリ行きのチケットに換える。
 そこで真実を知らされた祖母の取った行動もまた2人へ、そしてオタールへの「やさしい嘘」であった。
 エンディングの孫娘の決心、成長と自立への旅立ちにまた、爽やかな感動を覚える。
 祖母・娘・孫娘の3人は、グルジアの人々の歴史の象徴として描かれているのだろう。


【原題】Depuis qu’Otar est parti・・・
【制作】2003年 フランス・ベルギー合作
【監督】ジュリー・ベルトリチェリ
【出演】エステール・ゴランタン ニノ・ホマスリゼ ディナーラ・ドルカーロワ
【上映】日比谷シャンテシネ、MOVIX宇都宮、KBCシネマにて公開中 
     他全国順次公開予定
                                                           

 

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