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映画「モーターサイクル・ダイアリー」

Y.M 記
                                                           

 伝説の革命家、チェ・ゲバラの青春の日々である。
 「チェ」とは親愛の情を込めたゲバラの愛称。キューバの子供たちは今でも口を揃えて「チェのようになりたい」と歌う。チェの遺志は人々の心に永遠に生き続けている。
 キューバ革命時、十数人のゲリラから始まった革命軍は、二万人にも及ぶ政府軍と闘い、時のバチスタ政権を倒し、貧困に苦しむ人々を抑圧から解放した。
その後の彼は名誉や地位をあっさりと捨て、理想を求め、国境を越えた新たな革命へと旅立つ。彼はコンゴ、ボリビアで闘い、ついに銃弾に倒れ夢に散る。
 「自由を求める人々が僕のささやかな努力を望む限り闘い続ける。永遠の勝利まで。革命か死か。」ゲバラがカストロに宛てた別れの手紙。
 「チェの思想が実現していたら、世界は違ったものになっていただろう。戦士は死ぬ。だが、思想は死なない。」カストロはそう返した。
 
 23歳の裕福な医学生エルネスト(ゲバラ)は親友アルベルトとともにおんぼろバイクに乗って南米大陸探検の未知への旅に出る。それは、好奇心のままに10000キロを走破する無鉄砲な計画だった。アンデス山脈を抜け、チリの海岸線に沿って進み、アカタマ砂漠を通ってペルーのアマゾン上流へと。
 旅の途中には、彼らにとって未知の姿のラテン・アメリカとの出会いが待っていた。政治的信念を持ったがために土地を奪われた夫婦との出会い。インカ帝国の栄光と現代のまとまりのない都市風景とのコントラスト。隔離医療施設に閉じ込められた人々とのふれあい。ついにベネズエラに着いた時、ふたりが旅した距離はキロ単位でははかれないまでになっていた。ラテン・アメリカ深部への旅は彼らの生涯の最初の揺らぎ、生涯変わらぬ情熱と原動力となる。
 運命の軌跡、自我の確立、一個人がアイデンティティとこの世界における居場所を見つける旅、それはまた、私たちにラテン・アメリカのアイデンティティの軌跡をも見せてくれる。
 
 チェ・ゲバラの革命者としての人格の基となった青春時代の旅での日々、その道中を描いた映画、それがこの「モーターサイクル・ダイアリーズ」である。
 チェ・ゲバラが尊敬していた革命家はあの坂本竜馬。私たち日本人のアイデンティティとは何であるのかということも想起させられる。
 「あの頃世界で一番かっこいいのがゲバラだった」ジョン・レノンはこんな言葉を残したという。

【原題】THE MOTORCYCLE DIARIES
【制作】2004年 イギリス・アメリカ合作
【制作総指揮】ロバート・レッドフォード
【監督】ウォルター・サレス
【原作】エルネスト・チェ・ゲバラ「モーターサイクル南米旅行日記」
【出演】ガエル・ガルシア・ベルナル ロドリゴ・デ・ラ・セルナ ミア・マエストロ
【上映館】10月9日より恵比寿ガーデンシネマ 他

                                                           

 

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