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「安保法制違憲訴訟(差し止め請求)第7回口頭弁論報告集会(6/20)」開催さる

2018年7月16日


2018年6月20日(水)安保法制違憲差し止め訴訟の第7回口頭弁論が行われました。これを受けての報告集会です。今回の報告集会は、衆議院第二議員会館にある多目的会議室で開催されました。

冒頭、寺井一弘弁護士からの挨拶がありました。
「国側はまったく争点に答えようとせず、本質的なところを何ら認否しようとしません。裁判所から反論書面を次回期日の2週間前に提出するように促されたにもかかわらず、国側代理人は提出を約束しませんでした。このように国側の姿勢は一貫して不誠実でありますが、我々はわが国に戦争をさせないために、この訴訟をがんばって進めていきたいと思っています。
また、13名の原告を尋問して欲しいという申請書についての説明も行いました。国側はそのようなものは必要ないと主張しましたが、裁判所はそれを蹴り10月15日と12月14日の2回の期日を決めています。これに対し、さらに国側は、早めに訴訟を終らすため、もっと早く期日を入れるよう再三主張してきましたが、わたくしどもは、裁判官にじっくりと原告の話を聞いてもらい、この裁判に真剣に取り組んでもらうため、このような余裕のある期日を確保しました。
安倍政権は、我々国民が違憲であるはずの安保法制を忘れてしまうことを狙っております。それに屈することなく、世論を喚起し、粘り強く闘いをつづけていく必要があると思っております。」

次に、意見陳述を行った福田護弁護士から報告がありました。
「本日で、書面をもとに法廷でお互いの主張を言い合う段階は終わり、次回からはいよいよ証拠調べ段階に移ります。国側はいままで書面で言うべきことを言ってきませんでしたので、今日はこちらからの言い分を話しました。
新安保法制で認められた自衛隊の機能として武器等防護というものがあります。これに基づき、北朝鮮からのミサイル防護のため作戦行動中のアメリカ補給艦を自衛艦「いずも」と「さざなみ」が護衛するということがありました。そうなると、北朝鮮にとっては、自衛隊ないし日本が軍事的対立の当事者に含まれることになります。このような危険があるにも関わらず、武器等防護の運用指針によると、自衛隊が武器等を防護しても原則として国民には公表されず、何か特異な事象があった場合にだけ事後的に速やかに公表すると決められています。つまり、先日の自衛艦が護衛したという報道は、公式発表ではなく政府関係者によるリークということになります。
このように原則として国民には知らされることがないため、他でも武器等防護が行われているかもしれません。しかし、例外的に国民に公表されるような、現実に他国から侵害されたとか、武器使用がなされたというような段階では、すでに開戦状態に至っている可能性があります。そのため、我々は、自衛隊がアメリカ補給艦を護衛したという新聞報道をもとに訴状に書き、法廷でそれを事実として認めるのかの認否を求めました。しかし、国側は他国との信頼関係を損なう恐れがあるから何も言わないという態度です。法廷では、このように一番の核心であるはずの事実について、知りません、分かりませんという態度を続けるのはおかしいのではないかと指摘しました。
また、PKOでは、今まで、自分の身を守るためだけに使えるとされていた武器を住民保護などの任務でも使えるようになりました。武装勢力に対抗するためには、危険な武器使用が前提となります。この点、国連PKOの方針ですが、2000年前後から住民保護のためには積極的に武力の行使を認めるというように変化しています。PKOにあたっては、自衛隊は国連の指揮下に置かれるため、この方針の変化は強く関連した事実といえます。そのため、国に対し認否を求めましたが、本件とは関連性がないという態度でした。
もう一つPKOに関しては、情報隠しという問題があります。公開された日報では、戦闘という言葉が繰り返し出てきており、現地の自衛隊員は遺書まで書いているような状況です。それにも関わらず、その後駆け付け警護の任務のため出動命令を出しています。正確な情報を隠すこと自体が戦争の危険につながりかねず、戦争の危険にさらされていることを主張立証するためには、情報隠しの実態がどうだったのか検証されなければなりません。そのことを書面に書いて出しましたが、ここでも国側は、本件とは関連性がありませんという態度です。裁判所に対し、このようなことが通用してしまうのかという問題提起をしました。」

さらに、古川健三弁護士から、次回以降予定されている原告本人尋問についての報告がなされました。
「5月に進行協議(非公開)がありました。弁護団からは予め立証計画を出していて、原告本人と証人の尋問を求めていました。証人については、原則として国賠と同じです。裁判所としては、原告のお話は聞きたいと開口一番に言い、積極的な姿勢を示しました。ただし、証人については、原告本人の話を聞いてから検討しましょうということでした。いずれにせよ、2日間の枠はめいっぱいつかわせていただく。差止では、約50人の原告がいますが、そのうち13名を申請しています。国側はもちろんノーと言っているが、2回期日を指定したので、裁判所としては、実質的に採用するという方向性を示しました。(※本原稿公開時点で、原告本人尋問は正式に決定されています。)
証言される原告は次の方々です。昨年、ICANのノーベル賞授賞式にも参加された被団協の田中煕巳さん、東京大空襲の被災者で戦争孤児の問題をテーマに活動されている金田マリ子さん、第1回の期日で感動的な法廷陳述をされた自衛官の子を持つ富山正樹さん、在日韓国人のピアニストで平和活動家の崔善愛さん、障害者としてご自身の身に迫る危険を語っていただく原かほるさん、有名な戦場ジャーナリストの志葉玲さん、交通関係では、船員(竹中正陽さん)、パイロット(山口宏弥さん)、鉄道(橋本次男さん)。戦争とは切り離せない分野です。また、厚木基地(森謙治さん)、横須賀基地(市川平さん)、原発(小倉志郎さん)について、そして、憲法学者の飯島滋明さん。たくさんのご証言をいただきます。ぜひ、法廷を満杯にしていただきたいと思っております。」

次に、差止訴訟の原告でもある飯島滋明教授(名古屋学院大学)から、発言がありました。
「福田先生が言及された「いずも」は日露戦争で言えば指揮艦「三笠」になります。5月7日から10日にかけて、米軍イージス艦「デューイ」と「ステレット」に対し、重要影響事態法に基づく洋上補給訓練をしています。今年の1月、佐世保の米軍部隊は強化され、遠征打撃群が、強化型の遠征打撃群に格上げされていて、強襲揚陸艦が「ボノム・リシャール」から「ワスプ」に変わっていて、これに付随するのが、「デューイ」と「ステレット」になります。この裁判が提起された一昨年4月には、危険があるというのは抽象的という反論があったかもしれないが、いま簡単に紹介したように、日米軍事的一体化はどんどん進んでいます。この弁護団が裁判で問うていることはどんどん現実化している。その先は本当の戦争になってしまうかもしれない。この裁判の重要性を認識してもらう必要があると思います。安倍首相が憲法改定で自衛隊を明記するということを言っていますが、日米軍事一体化が進み、自衛隊が戦わされる構図がある。それを認める憲法改正になるんだと思う。それがいけないと訴えているのが安保法制違憲訴訟です。
また、PKOの書類について、わたしも3年間公務員だった時期がありますが、公文書を捨てたり、書き換えたりするでしょうか? 少なくとも公文書は数年間捨てない。何かあれば責任を問われる。そんなことは、役人はおっかなくてできない。自衛隊、防衛省はもっと厳しいのではないでしょうか。こういうことがありましたという文書を残さないで、次の人たちは何を教訓にするんですかね?その教訓がない状況で自衛隊に行ってこい、戦ってこいというのをやるつもりなんでしょうかね?そうだとすれば、文書が残せないような部隊に海外派遣などさせてはならない。恐らく文書があることはわかってたんだと思います。政治の都合で出せない。ありませんと、とぼけていた。」
この日は、口頭弁論前のアピール行動、記者会見、報告集会について、リアルタイムでツイッターに発信しています。ぜひこちらもアクセスして、リツィート等をお願いします。
https://twitter.com/anpoiken_jp

なお、報告集会のプログラムは、下記にあります。福田護弁護士の意見陳述の全文が記載されていますので、ぜひアクセスしてご覧ください。
http://anpoiken.jp/sashitome/


 

 

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