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ラスト・カフィーヤ®は「平和の象徴」

2017年1月16日



北村記世実さん(パレスチナ・アマル 代表)


北村さんとラスト・カフィーヤ®
 

展示販売中のラスト・カフィーヤ®
 

パレスチナ唯一の織物工場
 

60年間使われている日本製の織機

 パレスチナといえば、みなさんはどういった印象をお持ちでしょうか? 紛争、テロ、壁など、ネガティブなイメージが多いのではないかと思います。でも、私が知るパレスチナは、そういったものとは真逆なものでした。やさしくて、明るくて、いつもおしゃべりしては笑いあっている。貧しいけれども、助け合いながら、営みを愛しんでいる。
 私がそんなパレスチナの人々に魅了されたのは、1999年のことでした。当時、医療系NGOの現地駐在員としてガザにいた大学時代の友人から、ボランティアの案内をもらったのがきっかけでした。
 文庫本二冊の知識しかなく、不安を抱えたまま飛び込んだ私を、現地の人々はあたたかく迎えてくれました。私はPRCS(パレスチナ赤新月社)のリハビリセンターで、ハンディキャップのある子供たちと一緒にワークショップをいたしました。担当のクラスの先生は、いつも昼食のホブス(パン)を私の分も用意してくれたり、友人たちから家に招かれ、貧しいながらも、どこからか工面して私をもてなしてくれました。
 「三丁目の夕日」やサザエさんのような、古き良き日本に似たやさしさや思いやりが路地裏にまであふれていて、私は何とも言えない心地よさを感じました。
 当時のパレスチナは、ノルウェーから修学旅行生が来るぐらい、表面上は穏やかな時代でした。しかし、2000年に起きた第二次インティファーダ(抵抗運動)により、状況は一変しました。
 私は現地の友人たちが心配で、2001年夏NGOのちょっとしたミッションを携えて、パレスチナを再訪しました。ガザにつくなり、セルビス(乗り合いタクシー)に乗っている私を見た通行人に「ヤフード(ユダヤ人)!」と唾を吐かれました。みんなイライラしていて、恐怖と猜疑心と不安が街を暗く覆っているようでした。そこはまさに戦場で、夜になると軍事用ヘリが飛んできて町を破壊しました。イスラエルの入植地からは定期的に銃声が響き、偵察機が低空飛行を繰り返し、常に人々に重圧をかけていました。
 そんな中、私は3日前に知り合った男性を、イスラエルの銃撃により殺害されました。彼は友人の友人でした。私も家に招かれたのですが、英語は話せず、始終アラビア語で友人と話をしていました。思い出したように、私に「写真を撮って」と何度かせがまれたのですが、なんだかぞんざいな態度に断ったのですが、そのことが悔やまれてなりません。私が撮ってあげれば、それが男性の最後の写真になっていたし、友人との最後の思い出になったのに……。
 そんなことがあり、腹に響く爆音や耳をつんざく銃声にも疲れて、私はガザを後にしました。帰国した私は、友人にメールを書こうとしても指が震えてしまい、今思えばPTSDのようになってしまいました。
 それでもパレスチナのために何かしたいと、国内でNGOの活動に参加していたのですが、2004年のガザへの大規模な攻撃の際、現地の友人とチャットをしていると、「銃撃でパソコンを置いている机が動いている。私も殺されるかもしれない」との悲痛な叫びが聞こえました。私はとても無力感を感じ、そんな有事の際にも役にたつ人間になりたいと看護師を志しました。地元の赤十字看護専門学校に入学したのですが、残念ながら私には合いませんでした。では、次に何をしようかと思っていた時に出会ったのが「社会起業」の概念でした。そしてパレスチナにある素敵な品々をみなさんにお届けできればと2013年9月6日に、苦労は買ってでもせよとばかりに立ち上げたのが、パレスチナ・アマルでした。
 実際、パレスチナはとても豊かな文化や伝統工芸品があります。アマルが特にご紹介しているのは、最後のパレスチナ織物「ラスト・カフィーヤ®」です。
 もともとガザはガーゼの由来になるぐらい織物産業が盛んだったのですが、イスラエル建国以降工場が破壊されてしまい、今ではパレスチナに一軒しか織物工場がありません。しかも、そこで使われている織機はすべて日本製で、主に「SUZUKI LOOM」です。今は自動車メーカーのスズキは創業当時織機の輸出をしており、工場では60年間大切にメンテナンスしながら使われ続けてきました。
 「日本製はすばらしいな!」とオーナーがいうのを誇らしく思いました。
 日本の技術とパレスチナの織物文化の融合が、ラスト・カフィーヤ®を生み出しています。大きさは120㎝×120㎝の正方形で、ストールとして用いられています。旧式の織機がゆっくり織ることで、空気が入りふんわりと味わいのある風合いがあります。そして日本にはない独特な配色が特徴です。
 私は毎日巻いているのですが、軽くて暖かく、夏には冷房対策もできるので、年中重宝しています。
 アマルでは、ラスト・カフィーヤ®を「平和の象徴」としています。それは、長年平和を求め続けてきたパレスチナ人のアイデンティティーの象徴だからです。
 パレスチナというと「紛争地」のイメージしかない方々に、ラスト・カフィーヤ®を通してパレスチナの伝統や文化、職人の営みを知っていただければと、百貨店やギャラリーでの催事も行っています。
 1月30日より、東京・京橋のギャラリーで、パレスチナのものだけではなく、イラクやシリアから、和平への願いをこめて作り上げたアラブの美をお届けします。近郊の方はぜひお越しくださいませ。また、オンラインストアでも販売しておりますので、よかったらご覧ください。

■□ Amal for Peace展 2017 ■□■

  中東和平の美 〜美への希求から伝えたい和平への願い〜

期間:2017.1/30(mon)-2/4(sat)
11:00-19:00(最終日17:00)*初日は13:00より
ラスト・カフィーヤ・イラク現代アート・シリア刺繍 展示販売
*JIM-NETのチョコ募金もできます!

場所:ギャラリーモーツアルト
  東京都中央区京橋1-6-14 YKビル1F 

◎イベント:(各17:00-19:00 入場無料)
 1/30(mon)Opening Party(食事・ドリンク持込歓迎)
 2/1(wed) トークライブ 北村[Amal Falestini]・相沢恭行[PEACE ON] ゲスト:佐藤真紀[JIM-NET]
 2/3 (fri) Skypeトーク 山崎やよい[イブラ・ワ・ハイト]&"Yatch(相沢恭行)" ギター弾き語りLIVE

主催:Amal Falestini(パレスチナ・アマル
   PEACE ON
共催:JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)
   イブラ・ワ・ハイト


◆北村記世実(きたむら きよみ)さんのプロフィール

1972年、愛媛県今治市生まれ。滋賀県守山市に夫と娘と住む。
「パレスチナのモノでオシャレを楽しむ」をコンセプトに、2013年に「パレスチナ・アマル」を設立。各地での展示会の他、ウェブサイトでも販売を行う。
商品や展示会情報は、http://palestine-textiles.jp



 



 
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