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今週の一言

 

九条俳句裁判は控訴審を迎えます

2017年12月18日



佐々木新一さん(弁護士・九条俳句訴訟原告弁護団団長)

1 何故社会的な関心を集めたのか
 昨年10月13日さいたま地裁第6民事部(大野和明裁判長)は、九条俳句訴訟判決で「さいたま市が原告の俳句を公民館たよりに掲載しなかったことは違法である」と認定し、原告に慰謝料を払うことを命じました。さいたま市の誤りが公に認められました。その俳句とは『梅雨空に 「九条守れ」の 女性デモ』という俳句です。この判決は広く社会的な関心を集め、大きく報じられました。
 公民館に集う俳句の会が、毎月の例会で秀句を選出しその秀句を公民館たよりが3年8ヶ月にわたって掲載してきた関係の下で、この俳句が公民館の判断で掲載を拒否されたのは、この俳句に「九条守れ」という表現が入っていたからでしたが、市民の楽しみのための俳句の「表現」が気に入らないからといって、行政が一方的に掲載をしないというのは、「行政が人の心に威圧的に踏み込んでくるということであって到底許されない」という当たり前の感覚と、時代の空気がそこまで来ているのかという危機感と、その「表現」が「九条守れ」という時代の課題そのものであるという切迫感が、自由を求める市民にも、表現・報道活動を本質とするメディアにも共通のものであったということだと思います。

2 判決の積極的な意義
 判決は、この俳句を掲載することが「公民館の中立性や公平性・公正性を害することはない」から、市の行為は「原告の思想や信条を理由とした不公正な取り扱いをしたことになり、当然にたよりに掲載されると考える原告の期待は、著作者の思想の自由、表現の自由が憲法に保障された基本的人権であるという(原則に立ち返ると)、法律的に保護されるべき人格的利益であるから、市の職員の行為は違法である。」と述べています。
 原告と市民応援団は、判決を受けて市に、①違法状態を解消するためこの俳句をたよりに掲載すること、②再発防止策をとること。を申し入れました。謝罪や責任者の処罰も求めませんでした。市が反省して、再びこのような誤りを犯さないという保障を解決の基準として求めたのです。しかしさいたま市は「控訴する」と宣言しました。そこで、原告も控訴しました。

3 控訴審に向けて
 判決は積極的な意義を持っていますが弱点もあります。例えば公民館は、たよりは、学習成果を発表する場であり、表現の場となっています。行政による「規制」は、当然に表現の自由を侵害するものであってはなりません。その当たり前の論理を判決は明言しませんでした。また、社会教育施設で働く職員が守らなければならない責務について、教育基本法、社会教育法等から論じることを放棄しました。そのような部分を含めて、原告勝訴の結論は当然としても、理由部分がこのまま維持されるべきものとは言えません。大きな課題をもった控訴審となります。引きつづきご支援をお願いします。

「九条俳句」市民応援団HP
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◆佐々木新一(ささき しんいち)さんのプロフィール

1975年、弁護士登録。元埼玉弁護士会会長、前自由法曹団埼玉支部長。
九条俳句訴訟弁護団長。生活保護基準引き下げ違憲訴訟・安保法制違憲訴訟等の弁護団に参加。


<法学館憲法研究所事務局から>
九条俳句不掲載訴訟に関する今週の一言
武内暁さん(「九条俳句」市民応援団代表)2015年11月30日
「公民館・公共・表現の自由とは、市民が主役とは」

九条俳句不掲載訴訟に関する映画de憲法
映画『ハトは泣いている 時代の肖像』





 
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