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「安倍改憲」を阻止するために〜衆院選の結果を踏まえて

2017年10月30日



金原徹雄さん(弁護士)

 私は、東京電力福島第一原発事故に衝撃を受け、2011年3月28日から「メルマガ金原」と名付けたささやかな個人メルマガを友人・知人に送り始め、2013年1月からは、メルマガをそのまま転載するブログ(弁護士・金原徹雄のブログ)を開設し、今日まで毎日更新を続けています。
 毎日更新する弁護士ブロガーといえば、何と言っても澤藤統一郎先生ですが(「澤藤統一郎の憲法日記」)、私のブログなど、とても澤藤先生の足許にも及ばず、自らの意見を訴えるというよりは、主にインターネットで収集した情報を取捨選択して紹介することを主な目的として更新を続けてきました。
 ですから、本サイトの編集者から、「安倍改憲の問題点〜改憲を阻止するために(仮題)」という原稿を依頼された際にも、光栄とは思いましたが、果たして依頼の趣旨に沿った原稿が書けるのか不安でした。それでも、結局お引き受けした理由をご説明する代わりに、原稿依頼を受けた9月14日の夜に私が書いたブログ(「安倍9条改憲NO!」のために「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」はまだまだ頑張ります)の一部を引用したいと思います。
 

(引用開始)
 Facebookにも書きましたが、今年の5月3日に顕在化した「安倍9条改憲」の危機は、東京都議選での自民党の敗北によっても、少しも去ってなどいません。代表選前後からの民進党の状況を踏まえれば、危機は一層深化していると言っても良いでしょう。健康問題を含め、安倍首相退陣の可能性が高まれば高まったで、衆参両院で改憲勢力が2/3以上の議席を確保しているうちに、何が何でも改憲発議をという政治的圧力が高まるでしょうし、走り出してしまった機関車にブレーキをかけるだけの理性と能力が自民党に備わっているかも疑わしく、場合によっては、「安倍なき安倍9条改憲」という事態もあり得るという想定が必要なのではないかと考えられます。
 「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」や「九条の会」が「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」を立ち上げ、「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」(3000万人署名)をスタートしたのも、そのような危機感と情勢認識の結果によるもののはずです。
 まさに、今こそ、従来からの運動の成果を踏まえつつ、そこから一段も二段も飛躍した大きなうねりを巻き起こすべき時期だと思います。
(略)
 私たちが、2014年以来、毎月続けて来た「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」も、このような情勢の下、さらにパワーアップし、より多くの方に参加いただくことにより、「安倍9条改憲NO!」を一層アピールする有力なツールにしなければと思います。
 そして、月に1回の「ランチTIMEデモ」だけではなく、もっと多彩な人々が、様々な団体が、色々な場所で思い思いのアピールを(デモでなくてもよいけれど)企画・実行するのが理想でしょう。
 安保法案(戦争法)制定阻止の闘いに比べ、市民の側の盛り上がりがいまひとつではないかと懸念する声も聞こえてきますし、正直、同じ心配を和歌山の地で感じることも事実です。私が、「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」の参加者数にこだわるのも、そういう背景があってのことです(それにしても、弁護士の参加が6人だけというのはないよなあ)。
(引用終わり)

 以上のような認識の下、「9.8キックオフ集会」において、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」共同代表の小田川義和さんが提起した、①3000万人署名達成、②大規模集会の開催(東京で全国で)、③学習会・講演会・街頭宣伝の各地での開催など、さらに、「九条の会」事務局が全国の9条の会に呼びかけた、④全ての「9条の会」が学習会を持つこと、⑤それぞれの地域で他団体と協力し合って市民アクションを立ちあげ共同の輪を広げることなどをご紹介した上で、私の地元・和歌山での取組状況や展望を書けば良いだろうと思ったのですが・・・。

 そこに降って湧いたような衆議院の解散・総選挙です。結果はご存知のとおりで、大山鳴動したものの、自民公明の与党勢力はほぼ現状維持で2/3超のままとなりました。これに対し、民進党は希望の党への合流騒動により、立憲民主党、希望の党、無所属で当選した衆議院議員、民進党(参議院議員)の4グループに分裂してしまい、再結集や連携という言葉が飛び交っていますが、現時点(投開票から3日目に書いています)では不透明というほかありません。
 今度の選挙について、私自身は市民連合わかやまの一員として、推薦した日本共産党候補(1区、2区、3区)の応援に務めましたが、結果は全員落選でした。
 そもそも、和歌山では、民進党から立候補を予定していた1区の前職(解散前には離党確実と言われていましたが)と2区の新人が希望の党の公認を得て出馬することになり、この時点で、市民連合わかやまが働きかけていた市民と野党の共闘による野党統一候補の擁立(もちろん、民進党を含めての話です)は、断念せざるを得なくなりました。市民連合わかやまが3人の共産党公認候補を推薦(社民党県連支持、自由党県連応援などもありました)したのは、そのような経緯によります。
 希望の党ではなく、せめて無所属で立候補してくれていたらと思いますが、今さら言っても仕方がありません(共産党が候補をおろし、立憲民主党や無所属候補を支援した地域がうらやましい)。
 ただ、懸念されるのは、和歌山において、安保法制反対、共謀罪阻止などの闘いを通じ、ようやく順調に機能してきた総がかり行動実行委員会の枠組が、希望の党、共産党の両陣営に分かれて選挙戦を闘ったことにより、ぎくしゃくしたものにならないかということです。まあ、希望の党などと言っても、県レベルではおそらく実態ゼロだろうと思いますし、1区の前職は自民党候補を寄せ付けずに議席を守りましたので、支援組織同士の関係については、それほど心配しなくても良いのではと楽観したい気持ちもあります。 

 さて、「安倍改憲」です。単純に議席の数だけで考えれば、改憲勢力に圧倒的に有利な状況は変わらない、どころか、一層悪化したとも言えます。希望の党で当選した50人全員を改憲派とくくる必要はないでしょうが、相当部分は実質的改憲派でしょう。 なお、ここで「改憲」というのは、主に「9条改憲」を想定しています。
 野党第一党となった立憲民主党や、与党である公明党の動きが気になるところですし、特に公明党に対しては、圧倒的な国民各層から「9条改憲は認められない」とアピールするための「手紙大作戦」はどうだろう?などと思ったりします。そのような工夫も含めて、私たちに出来ることは何でしょうか?
 解散前から提起されていた「3000万人署名」をはじめとする、9条の会を含む多くの組織による取組目標の達成もとても重要ですが、それと併行して、なかなか私たちの声が届いていない層への浸透を工夫することがとても大事なことだと思います。
 今回の選挙戦に関わった市民連合わかやまのメンバーが投開票日の翌日集まり、意見を述べ会う機会がありましたが、そこで、ママの会や学生の皆さんから語られたことは、直接には衆院選での経験ですが、「安倍改憲」にどう立ち向かうかを考える際のヒントの宝庫でもあると感じました。そのことは、おそらく和歌山だけではなく、全国各地で通用することではないでしょうか。
 そのひとつひとつをご紹介する余裕はありませんが、みんなの話に共通するのは、始めから「どうせだめ」と諦めたりせず、勇気をもって話しかけてみるということでした。
 また、私が今度の選挙戦を通じて注目したことのひとつは、立憲民主党の選挙戦略、とりわけ、公式Twitterの発信力、街頭演説の見せ方の工夫(動画サイトを含むインターネットを介した拡散を見通した)などが、従来のそれとは明らかに異質かつ新鮮なものであり、それが多くの国民からの支持を短期間で集めることにかなりの程度役立ったのではないかと思われることでした。
 選挙スタッフとして、元SEALDsのメンバーが協力していたとも言われていますが、このようなインターネットを利用した政治的発信には、まだまだ工夫の余地が大きいのだということを実感しました。

 「安倍改憲」の危険性をいかにして国民に浸透させていくか?以上に述べたとおり、フェイスtoフェイスで話しかけて理解を求める地道な活動と、インターネット、SNSなどをフルに活用した活動を両輪としながら、常に新しいアイデアを補給しつつ、主張自体は堂々と正攻法で進むべきだろうと確信します。これが、今回の衆院選から得た最も重要な教訓かもしれません。

 最後に、今回の解散騒動の直前に、私が所属する「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が開催を決定していた企画(リレートーク・自民党・改憲4項目の検証)をご紹介します。同会が会員によるリレートークを開催するのはこれが3回目で、1回目は2005年(自民党改憲案の検証)、2回目は2013年(立憲主義と平和主義の危機に立ち向かう〜自民党「日本国憲法改正草案」の検証〜)でした。
 企画当初に解散総選挙は想定していませんでしたが、いよいよ自民党が選挙公約に憲法「改正」条項として明記した4項目が改憲発議される可能性が高まった情勢下、その問題点を広く市民に知っていただく機会に出来ればと念願しています。

名称 リレートーク「自民党・改憲4項目の検証」
日時 2017年11月21日(火)午後6時30分開演(開場6時)
会場 和歌山市あいあいセンター6階ホール(固定席153席)
 和歌山市小人町29 TEL:073-432-4704
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
入場無料、予約不要
内容(憲法9条を守る和歌山弁護士の会会員が解説します)
第1トーク 自衛隊明記(9条加憲論)
第2トーク 緊急事態条項(緊急時の国会議員の任期延長を含む)
第3トーク 教育無償化+参議院の合区解消
第4トーク 国民投票を見据えたこれからの運動について

弁護士・金原徹雄のブログ

◆金原徹雄(きんばら てつお)さんのプロフィール

1954年、和歌山市に生まれる。
1989年、和歌山弁護士会に入会。以後、和歌山市で平凡な「町弁」生活を続ける。
2006年〜2012年、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」事務局長。
3.11による福島第一原発事故に衝撃を受け、2011年3月から、原発問題や憲法問題について考える「メルマガ金原」の配信開始。
2013年1月からメルマガを転載する「弁護士・金原徹雄のブログ」を「毎日更新」中。他に、「守ろう9条 紀の川 市民の会」運営委員、「市民連合わかやま」会計担当幹事など。






 
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