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第44回全国高校生平和集会(長崎)報告

2017年9月11日



盆子原賢治さん(高校生平和ゼミナール全国連絡センター)

はじめに
 全国高校生平和集会は毎年、核兵器の廃絶をメインテーマに、広島か長崎で開催される高校生の集会です。広島開催のときは8月5日、長崎開催では8月8日に開催されます。今年は8月8日長崎の活水高校を会場に開催され、全国から19都道府県約110名が集まりました。1988年の第15回集会(広島)には約900名が集まりましたが、残念なことに近年は参加者の減少が止まりません。直前に台風5号が西日本を直撃したことで参加を中止した団体があったことも理由の一つですが、減少傾向が続く近年の中でも最少の参加人数でした。それでも現地長崎をはじめとした高校生たちが、学習と交流を深めた集会になりました。


2017年8月8日 活水高校(長崎)にて

集会内容
 午前中の開会集会では現地高校生による基調報告、被爆者の山川富佐子さんのお話、原水禁世界大会からの特別報告、吉永小百合さんのメッセージの紹介、全国各都道府県の活動報告、3.11後の福島の高校生を中心としたドキュメンタリー映画「種まきうさぎ」上映という内容でした。午後からは「学費、ブラックバイトについて考えよう」「原子力発電と原発事故について考えよう」、「憲法と自衛隊・日米安保条約について考えよう」、「核兵器廃絶の課題について考えよう」、「世界のヒバクシャと語ろう」の5つの分科会が行われました。
 私は「原子力発電と原発事故について考えよう」分科会に助言者として参加しました。そこでの討議について簡単に紹介します。
 助言者である私を含めて7名の参加者という、他の分科会に比べてとても参加者の少ない分科会でした。高校生にとってハードルの高いテーマになっているのかもしれません。ただ少数だけに全員が十分に発言できました。自己紹介、開会集会で観た「種まきうさぎ」の感想を出し合った後、しばらく私は助言を控え、高校生に進行を任せました。「原子力発電は、とても危ないものを扱っている」という点では全員一致。ではなぜやめないのかということに関しては、「やめるだけでは駄目で、それに代わるものが必要なのでは?」というところで議論がとまってしまいます。議論を広げていく必要性を高校生自身が感じたのでしょう。長崎の高校生から「チェルノブィリや福島は何十年も住めないといわれている。広島や長崎はなぜ住めるのか?」という疑問が出されました。ここから議論が広がり、福島差別のこと、核兵器廃絶のこと、原発の廃棄物処理の問題、被爆体験の継承、これらのテーマについて次々に各自の体験を元にした話が出てきました。どの問題も解決は困難だけど、でもそこから目を背けず学ぶことの大切さや、その学んだことを広げていくことの大切さを確認しました。
 分科会終了後、閉会集会を実施しました。閉会集会はそれぞれの分科会報告と感想、そして集会アピールの採択でした。集会アピールは集会内容の概要を前半部でまとめ、後半部では共謀罪について、内容も問題だが議論を尽くさないまま採択されたプロセスを疑問視し、議論の大切さを謳い、「平和」や「憲法」「民主主義」といった問題が気軽に話せる学校を望みますと訴えます。最終段落では核兵器禁止条約を評価するとともに、その条約に参加しない日本政府を批判します。少し長いですが、引用します。「国連で核兵器禁止条約が採択されました。この条約は核兵器の使用や保有などを法的に禁止した内容になっていて、核保有国や核の傘に守られている国に圧力をかける画期的なものです。世界の人々の世論が各国政府を動かし成立した条約です。しかしながら、日本政府は、被爆者や平和をのぞむ人々の声に耳を傾けることをせず、条約に参加しませんでした。私たち高校生は、今日学んだことを糧にして、被爆者の声を伝え、核廃絶を訴え続けないといけません。明日からそれぞれの学校に帰っていきます。今日学んだことを近くの友達に話すことからまず始めてみましょう。小さな事の積み重ねが、社会を動かすもとになります。ともに、頑張っていきましょう。」

おわりに
 18歳選挙権が実現し、2015年には、高校生の政治活動を禁止する文部省通達(69通達)は廃止され、新たに文科省通知(15通知)が出されました。15通知は「校外の政治活動はよいが、校内の政治活動は禁止」とか「校外の活動の届出の要不要は学校が判断」といった問題点がありますが、すくなくとも主権者教育を推進しています。全国高校生平和集会は前述の通り、参加者を大きく減らしていますが、今年の集会をみても高校生たちが、「平和」や「人権」といったことについて語り合える場を求めていることは間違いありません。このような集会に興味を持つ高校生が減っているわけではないのです。参加者減は主にサポートする教職員の高齢化などに原因があると思います。集会の必要性は未だ高いと思っています。もっと多くの高校生に参加してもらうための知恵や連帯が求められています。

◆盆子原賢治(ぼんごはら けんじ)さんのプロフィール

1965年生まれ。広島山陽学園山陽高校教諭。
広島高校生平和ゼミナール世話人。高校生平和ゼミナール全国連絡センター事務局。


<法学館憲法研究所事務局から>

高校生の平和活動の支援では、以前当サイトで「高校生の平和学習活動をサポートする」沖村民雄さん(東京高校生平和ゼミナール連絡会世話人)のインタビューを掲載しました。


 



 
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