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みんなで調べよう「政治とカネ」
〜 公益財団法人「政治資金センター」が収支報告書を収集して公表します 〜

2017年6月5日



上脇博之さん(神戸学院大学法学部教授)

 国会議員や知事ら政治家の政治資金収支報告書を分析した経験を有する弁護士・公認会計士・ジャーナリスト・学者らが、昨年(2016年)6月下旬に一般財団法人「政治資金センター」を設立し(代表理事は松山治幸・公認会計士。住所は大阪市内)、私は理事の一人になりました。その後、大阪府から公益認定を受け、12月1日にその登記を終え、「政治資金センター」は公益財団法人になり、活動しています。

 本センターが目指していることは、後述するように複数ありますが、その中でも1番に目指していることを詳しく紹介しましょう。それは、衆参の国会議員や都道府県知事らの政党支部や政治団体の政治資金収支報告書(以下「収支報告書」)を「誰でも」「インターネットで」「すぐに」「閲覧・印刷できる」ようにすることです。
 「そんなことは以前から可能なのではないか」「単純なことではないか」と思われる方も少なくないでしょうが、実際には、これまで政治家の収支報告書を入手した経験のある者なら誰でも痛感していることなのですが、結構時間と手間のかかることなのです。

 政治資金規正法は、政治団体や政治家の政治活動が「国民の不断の監視と批判の下に行われる」ようにするために、「政治団体に係る政治資金の収支の公開」を行う(第1条)とあり、これに対する判断は国民に委ねる(第2条)と定めています。したがって、政治家の政治団体の収支報告書は、当該政治団体によって提出されれば、その要旨の公表後、国民は誰でも、それを閲覧し、入手することが「可能」です。
 ところが、「可能」であっても、簡単ではないのです。
 第一に、政治家は政治団体を幾つでももつことが禁止されていないので、複数の政治団体をもっていますから、一人の政治家が、誰から幾らの政治資金を集め、誰に対しどんな支出をしているのかを正確に知るためには、その政治家がどこにどのような政治団体を幾つもっているのか把握する必要があります。
 第二に、その政治団体の収支報告書の届け出先が、総務大臣のものもあれば、各都道府県選挙管理員会のものもあります。複数の政治団体を有している政治家は、総務大臣に提出のものと、地元の選挙管理員会に提出のものがあるので、探すのが大変です。
 もっとも、政治資金規正法は「国会議員関係政治団体」について定めており(第19条の7)、その政治団体名や届出先は、総務省のWEBサイトで、議員ごとに公表されています(「現職国会議員の国会議員関係政治団体一覧」)。この「一覧」を発見しさえすれば、各国会議員の政治団体の名称、数、届け出先は把握できます。
 ところが、「国会議員関係政治団体」に該当しない政治団体(「その他の政治団体」)であっても、派閥や特定の国会議員のための政治資金集めをしているものがあります。しかし、そのような政治団体については、総務省の上記サイトにはリストアップされてはいません。国会議員以外の都道府県知事や地方議会議員の政治団体については、そのようなリストは一切作成されてはいません。
 さらに、国会議員の政治団体がすべてわかっても、その収支報告書の提出先が総務大臣であったり、都道府県選管であったりするので、収支報告書を閲覧・入手するだけでも、かなりの手間を要します。総務大臣への提出分については、総務省が、国会議員以外の政治団体も含め各収支報告書を3年分インターネット公開していますし、都道府県選管もインターネット公開しているところがあります。これらについては、政党支部や政治団体の名称さえ分かっていれば、比較的容易に入手できます。
 ところが、都道府県選管の中には、収支報告書をインターネット公開していないところがあります。そこに提出されている収支報告書については、情報公開請求の手続きをとり、収支報告書の開示を受けて入手するしかありませんし、これは、1日では無理で、何日もかかります。
 そこで、本センターでは、衆参の国会議員全員と47都道府県知事の政治団体の政治資金収支報告書につき、インターネット公表されている分だけではなく、情報公開請求して開示された分も含め、本センターで入手し、WEB上に、国会議員・都道府県知事ごとに、各収支報告書をPDFファイルで掲載することを目指しているのです。
 収支報告書は毎年11月末までに前年分が公開されます。したがって、本センターでは、毎年、以上の方法で収支報告書を全て収集します。総務大臣と都道県選管が収支報告書を保管しなければならない期間は3年間なので、それより前の分は順次公表されなくなりますが、政治家の政治活動は3年とは限らないので、その前の収支報告書もPDFファイルでWEBに公開することを通じて、有権者の判断の資料を提供し続けようとしているのです。
 現職国会議員の「国会議員関係政治団体」だけでも2016年8月31日時点で計2004の政治団体があるので、これらを少なくとも3年分入手して、PDFファイルで公表するには、多大な労力・費用・時間を要します。検索機能も完備するので、労力・費用・時間は、思いのほか、多大になります。

 今年2月1日に、安倍内閣のすべての閣僚と衆議院議員の2014年分までの少なくとも3年間(一部の議員についてはその前の分も)の収支報告書をPDFファイルで公開しました。2015年分も4月初めに公表しました。参議院議員の分や都道府県知事の分は、この夏までに公開する段取りで、今作業を進めています。その後、漏れた分を補充して追加公開します。
 さらに、政党本部、政党のために政治資金を集めている政治資金団体(国民政治協会など)、派閥の政治団体、主要な業界の政治団体の分も、公開したいと意気込んでいます。
 2016年分は今年11月に公表されるので、それも以上と同じ要領で収支報告書を入手し、公開します。

 以上のほかに、本センターが第2に目指していることはウェブサイトでの検索機能の完備です。例えば、どの企業がどの政治家に政治献金やパーティ券の購入をしているのか、検索で判明するようにしたいのです。
 第3は政治家の政治資金の分析とその結果の公表、第4は政治資金に関する法律の解説や裁判所の判例の分析、第5は収支報告書の見方や分析に関する研修の実施です。

 最後に、皆さんにお願いしたいことが2点あります。その第1は、是非とも全国の国民一人一人が本センターの活動成果を活用していただき、各自で関心のある大臣・国会議員・知事の政治資金を分析してほしいのです。
 例えば、「会議」名目で支出がなされている場合、支出先が本当に「会議」ができる場所(店)なのかどうか、その場所(お店)の実態は、地元の方が一番知っているし、調査しやすいからです。可能であれば、本センターが募集している「ボランティアのスタッフ」になっていただき、以上の分析・調査を行ってください。
 第2は、ご寄付のお願いです。前述のように、収支報告書の入手・公表には、多大な時間と労力が必要ですので、そのための費用もかかります。公益財団法人への寄付は所得控除が受けられますので、本センターへの寄付も所得控除を受けられます。是非ともお願いします(その詳細。)

◆上脇 博之(かみわき ひろし)さんのプロフィール

神戸学院大学法学部教授・憲法学

1958年7月生まれ。鹿児島県姶良郡隼人町(現「霧島市隼人町」)出身。
1984年3月、関西大学法学部卒業
1991年3月、神戸大学大学院法学研究科博士課程後期課程単位取得退学
1991年4月〜1993年3月、日本学術振興会特別研究員(PD)
1994年4月、北九州大学法学部・専任講師(赴任)
1995年4月、同大学同学部・助教授
(2001年4月、北九州市立大学法学部・助教授[大学の名称変更])
2002年4月、北九州市立大学法学部・教授
2004年4月〜 神戸学院大学大学院実務法学研究科・教授
2015年4月〜 現在

学位
博士(法学) 2000年2月 神戸大学

市民運動
「政治資金オンブズマン」共同代表
「憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議」(兵庫県憲法会議)事務局長
公益財団法人「政治資金センター」理事
「国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」会員
など

単書
(1)『政党国家論と憲法学 — 「政党の憲法上の地位」論と政党助成』信山社・1999年[北九州大学法政叢書17]。
(2)『政党助成法の憲法問題』日本評論社・1999年。
(3)『政党国家論と国民代表論の憲法問題』日本評論社・2005年[神戸学院大学法学研究叢書14]。
(4)『ゼロからわかる政治とカネ』日本機関紙出版センター・2010年。
(5)『議員定数を削減していいの?』日本機関紙出版センター・2011年。
(6)『なぜ4割の得票で8割の議席なのか  いまこそ、小選挙区制の見直しを』日本機関紙出版センター・2013年。
(7)『自民改憲案 vs 日本国憲法  緊迫!9条と96条の危機』日本機関紙出版センター・2013年。
(8)『安倍改憲と「政治改革」 【解釈・立法・96条先行】改憲のカラクリ』日本機関紙出版センター・2013年。
(9)『どう思う?地方議員削減 【憲法と民意が生きる地方自治のために】』日本機関紙出版センター・2014年。
(10)『『誰も言わない政党助成金の闇  「政治とカネ」の本質に迫る』日本機関紙出版センター・2014年。
(11)『財界主権国家・ニッポン  買収政治の構図に迫る』日本機関紙出版センター・2014年。
(12)『告発!政治とカネ  政党助成金20年、腐敗の深層』かもがわ出版・2015年。
(13)『追及!民主主義の蹂躙者たち  戦争法廃止と立憲主義復活のために』日本機関紙出版センター・2016年。 
(14)『日本国憲法の真価と改憲論の正体  施行70年、希望の活憲民主主義をめざして』日本機関紙出版センター・2017年。 

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