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日本の民主主義と地方自治のあり方の本質を問う

2015年12月21日



平良暁志さん(沖縄「建白書」を実現し未来を拓く島ぐるみ会議 事務局統括)

 沖縄県の翁長雄志知事は10月13日、アメリカ軍普天間飛行場の移設先となっている名護市辺野古沖の埋め立て承認を正式に取り消した。
 同日、午前10時から記者会見した翁長知事は、埋め立てを承認した仲井真弘多前知事の手続きは法的に瑕疵があるとしたほか、仲井真氏が2010年の知事選で普天間の県外移設を掲げて当選したにもかかわらず、2013年に辺野古埋め立て承認へと転換したことを「容認できなかった」と痛烈に批判した。
 就任から約10カ月での決断だった。
 翁長知事は「閣僚との対話や1カ月間の集中協議でも溝が埋まらなかった」と強調したうえで「沖縄の考え方、思い、今日までのいろんなことに理解をいただけることはなかった。さらに国との厳しい裁判闘争を意識し、法律的にも、政治的な意味でも県民、国民に理解いただけるよう、出発していこうという気持ちである」と決意を表明した。
 「島ぐるみ会議」では、翁長知事の取り消しの翌日、10月14日、県庁記者クラブで共同代表6人が揃って記者会見し「翁長知事を支え、新基地建設を阻止する島ぐるみ声明」を発表した。声明では「安倍政権が沖縄県民の圧倒的多数の民意を無視して辺野古への新基地建設を強行すれば、辺野古新基地や普天間基地のみならず、沖縄県内全ての基地撤去を求める。(中略)沖縄県民の受けた長年の苦難、民意の重さを充分認識するべきだ」と政府の対応を厳しく批判した。
 これに呼応するかのように、沖縄県民の世論が反応した。沖縄県内外から名護市辺野古キャンプ・シュワブゲート前で抗議行動をする市民が日を追うごとに増え続けている。翁長知事を支持する支援集会も県内各地で開かれている。
 沖縄県内41市町村のうち30市町村に自主的に立ち上げられた「島ぐるみ会議」(自治体単位で立ち上げられた新基地建設に反対する住民組織)では、各地域が分担して早朝行動に取り組んでいる。
 沖縄県警機動隊もこれに対抗し、11月4日には警視庁から応援の機動隊100人が投入され現場では連日市民との激しいもみ合いが続く。対立の激化によって逮捕者やけが人も多数出ている。辺野古のゲート前はまさに異常事態だ。
 沖縄県警と警視庁から応援で派遣された機動隊を合わせると実に200人規模の異常な警備は無抵抗非暴力主義で抗議する県民を威圧し弾圧し続けている。無抵抗の市民による座り込み抗議活動を強制的に排除する強行な対応は安倍政権の沖縄への冷遇政策の象徴そのものである。
 「島ぐるみ会議」では翁長知事の「取り消し」を受けて11月15日(日)から22日(日)の日程で総勢26名(事務局含む)の訪米団を米国に送り、名護市辺野古で強行されている新基地建設を断念させるため、米国政府(行政、議会)、米国の市民団体、シンクタンクとの面談、ロビーイング、ワークショップ、交流を行った。訪米団は4つのグループに分かれ、西海岸のサンフランシスコ(15日?17日)、次にワシントンDC(18日?20日)で行動した。
 訪米団はアメリカの最大労組(AFL-CIOは全米1250万人の組合員を擁する米国最大の労組、オバマ大統領の支持母体)に協力を求め沖縄と連帯して辺野古移設を断念させることを確認。ワシントンでも米連邦議会内で集会を開いた。
 今回の「島ぐるみ会議」による訪米は、辺野古新基地建設が沖縄県民の民意に反し強行されている事実を直接伝え、また、手続き上も法的にも多くの問題を抱え米国政府もその「当事者」であることを認識すべきだという厳しい現実を米国本土で訴えるという点で大変重要な意義を持つ。
 また、「島ぐるみ会議」では、辺野古現地への支援として、那覇発辺野古ゲート前行きの大型バスを毎日運行し(土日祝祭日も含む)運行回数は320回を超え乗車人数は13,000名以上になった。この間、各地域「島ぐるみ会議」の辺野古行きバスの先駆けとして役割を担い、県内各地域の市町村「島ぐるみ会議」からもそれぞれ辺野古ゲート前抗議行動のバスが出るようになった。
 沖縄ではこれまでかつてない規模の市民が立ち上がり新基地建設に反対する大きなうねりが巻き起こっている。
 「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」事務局長で、20年前、8万5千人が結集した初の県民大会の事務局長を務めた玉城義和県会議員(名護市選出)は、過去4回の県民大会を振り返り「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖と返還、県内移設断念の理念はこれまで県民運動によって醸成されてきた。翁長知事を先頭に県民が一丸となって日本政府や米国本土へ民意をぶつける。県民は火の玉になって翁長知事を支え、戦後最大規模の基地撤去を求める県民運動になる」と話す。
 まさに「日本の民主主義国家としての品格が問われている」。
 しかし、日米両政府の対応は冷淡だ。菅義偉官房長官も「日本は法治国家なので」と繰り返し沖縄側を突き放し続けている。国は翁長知事の権限全て取り上げ、知事に代わって埋め立てを承認する「代執行」の手続きに着手した。
 一方、翁長知事はこれまで、沖縄の民意を無視し続ける政府に対して、丁寧なまでに行政手続きを踏んできたが、ついに国との全面的な法廷闘争へと突入した。翁長知事は、あらゆる手段を通じて辺野古新基地建設を阻止する構えだ。
 辺野古新基地建設問題は、日本の民主主義と地方自治のあり方の本質を問う問題だ。憲法に保障された地域自治、地方自治の権利を国家が自ら否定することは決してあってはならない。沖縄県民の民意は既に示されている。そのことを日本国民全体の認識として共有してほしい。

建白書島ぐるみ会議
 

◆平良暁志(たいら さとし)さんのプロフィール

1973年沖縄県国頭郡大宜味村生まれ。
沖縄「建白書」を実現し未来を拓く島ぐるみ会議事務局統括。




 
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