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今週の一言

 

怒りとともに投票所へ

2014年12月8日



永尾廣久さん(弁護士・福岡県弁護士会)

 

念のため解散?

 いよいよ衆議院総選挙の投票日が迫ってきました。年末の気ぜわしさに拍車をかける総選挙です。この総選挙の費用700億円は、もちろん私たちの負担する税金です。700億円あったら、いったい何が実現できるでしょうか?
 小・中学校の定員を30人以下にできませんか?
 司法修習生の給費制が復活できませんか?
 総選挙費用700億円がムダづかいじゃなかったと言えるようにするためには、私たちが日頃感じている怒りを投票所に行って意思表示するしかありません。

アベノミクスって何?

 私の住む福岡県大牟田市は、ずっと前から深刻な不景気にあり、今も続いています。
 20年以上も前のバブルにも、私のまちは、とんと縁がありませんでした。地価の高騰など遠い別世界の話です。
 依頼者と面談すると、いつだって不景気な話ばかりです。たまには景気のいい話をもって来てくださいよと頼み込んでも、そんなことあるはずないでしょ、あとは宝くじに当たるしかありませんという答えが返ってきます。かつて二つあったデパートは二つとも閉店してしまい、その跡地は10年以上も空地となったままです。
 市内の商店街は、どこもかしこも完全にシャッター通りとなってしまいました。今あるのは、コンビニと大型のショッピングセンターだけです。広い駐車場をもつコンビニは市内のあちこちに見かけます。ショッピングセンター内ではテナントの入れ替わりがめまぐるしい状況です。
 いずれ景気が良くなることを信じて待ちこがれてきましたが、この4月の消費税のアップは、本当に家計を直撃しました。財布のひもを皆が固くしたため、飲食店は閑古鳥が鳴き、モノづくりの工場も注文が減りました。アベノミクスで良くなったという企業は、私のまちに見あたりません。でも、これは全国どこでも同じなのではないでしょうか。

争点は安倍内閣の暴走を許すのかどうか

 安倍内閣が7月1日に閣議決定した集団的自衛権の行使容認について、安倍首相は今度の総選挙の争点にしないと言います。信じられません。
 日本国憲法の平和主義を全否定するような内容なのに、その点について国民にきちんと説明せず、政権党がその賛否を求めないって、許されることなのでしょうか。
 特定秘密保護法の施行の日が迫ってきました。なんでもヒミツ。処罰されるときまでヒミツ。これで、民主主義国家と言えるのでしょうか。
 集団的自衛権というのは、自衛隊が海外へ戦争へ出かけることを意味します。平和な国ニッポンのブランドが一挙に地に落ちてしまいます。これからの日本の国のあり方を完全に変えてしまうようなことを総選挙の争点にしないとしつつ、選挙が終わったら、安倍首相は「国民から信任されましたから・・・」なんて言い出すのではないでしょうか・・・。これでは、まるでペテン師のやり方です。許せませんよね。

マスコミ操作がひどすぎます

 11月22日、福岡県弁護士会では650人の参加で集団的自衛権に反対する市民集会を開き、福岡一の繁華街・天神をサウンドカートともにぎにぎしくパレードしました。弁護士会の取組として初めての画期的な規模です。
 高校生や大学生も発言する、大変いい内容の集会でした。ところが、残念なことにテレビ局はどこも取材に来ず、地元の新聞が翌日、小さく報道しただけでした。
 集団的自衛権が総選挙の争点ではないということで無視されたのか、それとも、いつもの「考える」ではなく、「反対する市民集会」だから敬遠されたのか。どちらにしても、マスコミは政権党の争点隠しに加担しているとしか思えません。
 弁護士会が無料で広報する枠を持っているテレビのお知らせコーナーで、この集団的自衛権に反対する市民集会を広報しようとしたところ、大手広告代理店が圧力をかけ直前になって取り止めとなりました。これまた、ひどい話です。
 
一票の格差、小選挙区制の問題点はそのまま

 バタバタと解散して、総選挙に突入してしまったため、一票の格差の是正は放置されてしまいました。そして4割台の得票で8割の議席を占めるという小選挙区制の問題点も浮上することなく、そのままです。
 これで、投票率が6割を下まわってしまったら、最悪ですよね・・・。
 自民党が、いま国会で絶対多数を占めているといっても、実は2年前の総選挙のとき、自民党は全有権者比で小選挙区では25%弱、比例代表でも16%しか支持を得ていません。今の選挙制度は、民意を反映しているものではないのです。
 それなのに、当選した国会議員は、あたかも民意を代表しているかのように厚かましく振る舞っています。

投票率は55%?

 選挙どころじゃないという気分の人が、あなたのまわりにいませんか。生活に追われて、それどころではないという人は多いと思います。でも、みんながあきらめて投票所に行かなかったら、それを喜ぶ人たちがいるのです。その人たちを喜ばせていいんですか?
 主権者であることを実感するのは、残念なことに投票所だけというのが現実です。そんな貴重な機会を逃してしまうのは、もったいないことでもあります。

毎日一冊の書評

 最後に、自己紹介を兼ねて一言。私は10年以上も一日一冊の書評をネットにアップしています。対象としているのは、古今東西の本です。福岡県弁護士会のHPですが、意外に好評なんですよ。ぜひ、のぞいてみてください。

◆永尾廣久(ながお ひろひさ)さんのプロフィール

1948年 、生まれ(福岡県大牟田市)
1972年 、東京大学法学部卒業
1974年 、弁護士(横浜弁護士会)
2001年 、福岡県弁護士会会長
2002年 、日本弁護士連合会副会長
2011年 、日弁連憲法委員会委員長
弁護士法人しらぬひ・不知火合同法律事務所所長

 




 
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