法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

安倍首相から『日本』を取り戻そう

2014年12月1日



泥憲和さん(元陸上自衛隊三等陸曹)

 


泥憲和さんの新刊書

 朝日新聞の誤報を理由に、「国賊朝日新聞打倒!」のスローガンを掲げた右翼団体が不買運動や広告不掲載運動を展開し、果ては朝日新聞社を襲撃するなどの事件が頻発、言論はテロと戦わなければならなくなりました。
 現代の話ではありません。1928(昭和3)年に実際にあった話です。言論に対する攻撃を批判するどころか、そういった暴力をライバル紙攻撃に利用する新聞社まであったというのですから、ますます現代と瓜二つです。
 戦争への傾斜と情報操作、言論閉塞、そして世論の右傾化という現代社会の様相は、今のところ規模こそ小さいながら、戦前の日本と二重写しになって見えます。

 集団的自衛権が閣議決定されようとしていた6月、私は生まれて初めて、道行く人に集団的自衛権に反対してくださいと訴えました。私はかつて陸上自衛隊に在籍していたのですが、集団的自衛権の容認は、私が愛している自衛隊を、別なものに変質させる、そう思ったのです。訴えはフェイスブックで広がり、短期間に2万4千件もシェアされました。
 集団的自衛権とは何か、「殴られているのは他人なのに、自分が殴られたことにして、ケンカに加勢する権利」です。困っている友人を助けるために用いるならば、それは有益なことのように思えます。しかしながら、歴史的に集団的自衛権がそのように用いられたケースはありません。現実には、「君のためにすることだ」といって、大国が勝手に軍事行動を起こしたというケースばかりです。身勝手な行動を合理化するための、押し付けがましい理屈でしかありません。
 中小の国はそういった大国の行動に巻き込まれて、立場上選択の余地なく、自国に何の関わりもない戦争に動員される場合がほとんどです。
 大国の都合で起こされる戦争に動員され、見も知らぬ外国で、恨みもない相手を敵として殺し殺される。自衛隊の職務はそんなものではありません。そのような戦場に後輩の自衛官を送り込むことは許されない、私はそう考えました。

 私がこのように考えたのも、自衛隊の教育によります。ベトナム反戦デモが繰り広げられていた1969年のことです、あるとき、国防という職務がなぜ誇りうるものであるかを、ひとりの幹部教官から教えてもらいました。その幹部はこう語りました。
「国民の中には自衛隊に反対し、その存在を認めない意見もある。しかし一朝事あらば、諸君はそういう意見を述べる国民をも、命をかけて守るのが使命である。諸君の任務は、国民がわれわれを否定することもできる、自由な社会を防衛することである。ゆえに、われわれの任務は重く、崇高なのである」
 自衛隊の任務とはこういうものであると、私はいまも信じています。ですから、一国民としては、自衛隊は常に国民とともにあって欲しい。自由の守り手であってほしい。縁もゆかりもない外国で大義の定かならぬ戦いを繰り広げ、あまたの人を傷つけ、自分も傷つく、そんな自衛隊であってほしくありません。

 日本国憲法第12条の条文を思い起こしてください。
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」
 自由や権利は天から降ってくるものではありません。自らの努力で保持することを、憲法は私たちに求めています。
 日本国憲法第97条は「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」だと訴えかけています。
 私たち一人々々はちっぽけな人間ですけれど、人類史の一員です。自由獲得の努力を繰り返してきた人類の歴史に連なる存在です。いまもその歴史は動いており、私たち一人ひとりが歴史を作っています。「人類の多年にわたる自由獲得の努力」を他人事のように考えていたのでは、自由も民主主義も失われてしまいます。そういう自覚を持って生きれば、世界は違って見えると思います。受動的に生きていては見えないものが見えると思います。
 街頭で訴えた時、自分が歴史の一員として世の中を動かすのだなどと大それたことを考えたわけではありません。しかしそういった小さな行動を多くの国民が積み上げることによってしか政治を変えることができないし、そうした小さな行動が歴史を作る力なのだと、いまはそう思っています。

 憲法は神棚のお飾りではありません。生きたものとして使いこなさなければ錆び付いてしまいます。そう考えて、一冊の本を書きました。タイトルは「安倍首相から『日本』を取り戻せ」。この中には私の考える「憲法の精神」をぎっしりと詰め込んであります。憲法がただのお題目ではないこと、現実力をもって世界を変えていることを、軍事的な事例も含めて、豊富な具体例で示しています。多くの方に手に取っていただきたいと願っております。                       
以上

◆泥憲和(どろ のりかず)さんのプロフィール

元陸上自衛隊三等陸曹。元法律事務所勤務。戦争する国づくりを許さないはりま共同行動代表。

* 泥憲和さん出版記念イベント「安倍首相から『日本』を取り戻せ? 護憲派・泥の軍事・政治戦略」が下記の通り開催されます。詳しくはこちら

【京都会場】
日 時 12/7(日)18:30〜20:30 
会 場 ひと・まち交流館京都 第5会議室
(「京都駅」北東15分)
インターネットラジオ「凡どどラジオ」公開番組になります。
京都のアクティビストのゲストを予定

【大阪会場】
日 時 12/14(日)14:30〜16:30
会 場 Loft Plus One West(地下鉄・近鉄「日本橋駅」北5分)
インターネットラジオ「凡どどラジオ」公開番組になります。
大阪のアクティビストのゲストを予定

【東京会場】
日 時 12/22(月)18:30〜20:30
会 場 伊藤塾高田馬場校(JR・地下鉄「高田馬場駅」早稲田口1分)
ゲスト(予定) 池田香代子さん(ドイツ文学翻訳家)、伊藤真さん(法学館憲法研究所所長)、柳澤協二さん(自衛隊を活かす会代表)

※大阪会場以外は参加費1000円、大阪会場は2000円(前売り1500円) (出版協力カンパをいただいた方は無料)
主催・お申込み・お問い合わせ先 市民社会フォーラム civilesocietyforum@gmail.com
協賛 かもがわ出版




 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]