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「9月6日に前中国大使・丹羽宇一郎さんを招いた戦後和解についての集会を開きます」

2014年8月25日



穂積剛さん(弁護士)

 

 9月6日(土曜)に,前中国大使で『中国の大問題』(PHP新書)などの著書のある丹羽宇一朗さん(もと伊藤忠商事社長・会長。現早稲田大学特命教授,伊藤忠商事名誉理事)を招いて講演会を開催します。
 私たち「『撫順』から未来を語る実行委員会」は,今回の集会を「日中市民で考える戦争と平和,そして未来 〜平頂山事件を通して〜」と題して行います。
  戦争の加害国の市民と被害国の市民はどのようにして和解できるのか,日本と中国の現在の関係においてその関係改善は可能なのか,東アジアの未来に向けて私 たちは何をすべきなのかを検討します。そして第二次大戦中のドイツによる加害行為について,ヨーロッパではどのような努力と行動がなされ,私たちはどうい う到達点に達しているのかを検証したいと考えています。


 1932年9月16日,中国東北地方の撫順にある炭鉱で,旧日本軍が約3000名の平頂山集落の住民を無差別虐殺した「平頂山事件」が起こされました。この事件の現場は現在掘り返され,被害者の無数の遺骨がそのまま残された「平頂山惨案遺址紀念館」が設立されています。
 さらにこの撫順には戦後「撫順戦犯管理所」が設置され,約1000名の日本人戦犯が収容されましたが,中国側の人道的な取扱により彼らは人間としての良心を取り戻し,1950年代後半に日本に帰国してから「中国帰還者連絡会」を結成して,反戦平和活動に取り組みました。
 すなわちこの「撫順」は,日本軍による代表的な加害行為が行われた場所であり,しかも加害者がその人間性を取り戻した「加害と再生の地」として象徴的な意義を有していたのです。

 平頂山事件の被害者たちは,1996年に日本政府に対して損害賠償請求訴訟を提起しましたが,2006年5月に最高裁で敗訴しました。しかし弁護団と支援団体は,その後も一貫して被害者の要求を実現する活動を続けてきました。
 中国帰還者連絡会は2002年に会員の高齢のため解散しましたが,その意思を継ぐ組織として「撫順の奇蹟を受け継ぐ会」が結成され,現在も活動を継続しています。
 そして私たち「『撫順』から未来を語る実行委員会」は,平頂山事件訴訟の弁護団と支援の市民団体,そして「撫順の奇蹟を受け継ぐ会」を中心に,日中の平和友好を築く取り組みをしている市民が結成した団体です。

  私たち「『撫順』から未来を語る実行委員会」は,「加害と再生の地」である撫順という場所をキーワードにして,加害国である日本と被害国である中国とが, どのように和解していけるのかを課題に活動してきました。その問題意識から,経済人として中国社会に長期にわたって関わり,さらに2010年6月から 2012年12月まで中国特命全権大使を務めた丹羽宇一朗さんに講演を依頼し,お引き受けいただいたものです。

 平頂山事件訴訟は,平頂山事件の被害に遭いながら奇跡的に生き延びた3人の幸存者を原告として闘いましたが,その過程で幸存者たちが掲げた「解決要求」は次のようなものでした。

日本政府は、
(1) 平頂山事件の事実と責任を認め、幸存者及びその遺族に対して、公式に謝罪を行うこと
(2) 謝罪の証しとして、
ア 日本政府の費用で、謝罪の碑を建てること
イ 日本政府の費用で、平頂山事件被害者の供養のための陵苑を設置・整備すること
(3) 平頂山事件の悲劇を再び繰り返さないために、事実を究明し、その教訓を後世に伝えること

 この要求の中には,「日本に対する賠償請求」は含まれていません。それは幸存者たちの願いが被害の回復ではなく,歴史的事実を踏まえた真摯な反省と謝罪を日本が実行することで,真の日中友好を実現させたいという強い思いにあったからです。
 幸存者と私たちが目指す真実の和解のあり方を模索するため,実行委員会のメンバーは去年,今年とヨーロッパ各国を訪問し,ヨーロッパにおける和解のあり方 について検討してきました。そこでの成果について,これからのアジアの平和実現の材料として報告したいと考えています。

 戦争当事国の戦後和解はどのようにして実現させるべきなのか,その目標に向けて私たちはどこまで到達してきているのか,さらに今後私たちは何をすべきなのか。日中関係・日韓関係が戦後最悪と言っていい低水準にある今だからこそ,考える機会にしていただければと思います。

《市民集会》
 日時: 2014年9月6日(土曜)午後2時〜4時半
 場所: 日比谷図書文化館 地下1階大ホール
 資料代:1000円(学生500円)
※会場の定員が200名程度のため,先着順入場となります。

 もう一つ,今回の目玉企画があります。
 それは,「撫順平頂山惨案遺址紀念館」の好意を得て,紀念館の「出張パネル展示会」を日本語で開催することです。平頂山惨案遺址紀念館が日本で出張展示を 行うのは「本邦初」となります。撫順に行かなければ見ることのできない紀念館の展示を日本で見ることのできる,貴重な機会となります。

《パネル展示会》
 日時: 9月6日(土曜)午前11時〜午後1時50分,同日午後5時〜6時
9月7日(日曜)午前10時〜午後5時
9月8日(月曜)午前10時〜午後4時45分
 場所: 日比谷図書文化館 4階会議室
 入場料:無料

 この機会に,ぜひ足をお運びください。
 私たち「『撫順』から未来を語る実行委員会」が作成したサイト『平頂山事件資料館』も,ご訪問下さい。

◆穂積剛(ほづみ たけし)さんのプロフィール

弁護士。みどり共同法律事務所所属。
弁護団活動は平頂山事件弁護団ほか。




 
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