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今週の一言

 

憲法を破壊し、戦争への道を目指す秘密保護法の成立

2013年12月16日



成見正毅さん(弁護士・みやざき九条の会代表)


1 自公連立の安倍政権は国民、各界の圧倒的反対の声を無視して12月6日、特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)の採決を強行し、成立させた。
 この法案は本年7月の参議院選の公約にもなかったのに9月26日政府が国家安全保障会議(NSC)設置法案と同時成立を目指すことを突然表明し、10月25日に国会提出されたが、それ以前に全く内容が明らかにされていなかった。そして11月26日衆議院で強行可決、続いて12月6日参議院で強行可決、成立した。

2 この法律には憲法の原理を真っ向から否定する重大な危険性があることから国民、各界の強い反対運動が全国で起こり、国会審議中に全国各地での数々の抗議集会、各界からの反対声明等、空前の反対運動が盛り上がった。マスコミの世論調査でも過半数の国民が反対、8割以上が慎重審議を求め、公聴会でも全員が反対又は懸念を表明した。
 しかし12月6日、日比谷野外音楽堂で1万5000人が反対運動に詰めかけ、数万人の市民が国会を取り巻く中で法案は強行可決された。
 法案の内容もさることながら、このような重要法案を国民、各界の猛反対を押し切ってかくのごとく短期間に数の力で強行成立したことは全く異常、暴挙という外ない。審議の中で危険な内容が次々と明らかになったためである。

3 秘密保護法の主な問題点は以下のとおりである。
 第1に、行政機関の長が防衛、外交、スパイ、テロに関わる広範な情報を「特定秘密」に指定して、何が秘密かも秘密にする。秘密の範囲は不明確で、秘密指定の濫用をチェックする第三者機関もない。これでは国民の生活に関わる重要情報の外、憲法違反や重大な権力犯罪、人権侵害等が秘密指定され半永久的に隠ぺいされ、国民の知る権利が侵害される。又罪刑法定主義にも明確に反する。
 第2に、特定秘密の漏えいや「管理を害する方法での取得」、教唆や共謀、扇動そのものの重罰の反面、内部告発者に対する保護はなく、報道の自由が損なわれ、萎縮させられる危険がある。国会議員や裁判官、弁護士も処罰の対象となり、国会や司法による行政のコントロールが損なわれ、権力濫用を防ぎ、基本的な人権を守ろうとする三権分立が崩される危険がある。
 第3に、特定秘密を取り扱う者を選別する口実で「適性評価制度」が導入され、公務員や民間労働者及びその家族のプライバシー情報を政府が堂々と収集管理し、利用できるようになり、思想信条による差別、監視、密告が横行する危険がある。

4 安倍首相は9条をはじめとする現行憲法の改変に並々ならぬ意欲を見せ、集団的自衛権の行使につき、従前歴代自民党政権が憲法9条により否定してきたにもかかわらず、憲法解釈上許されるとの方向を示し、わざわざその立場をとる法制局長官にすげ替えた。
 先の国会で同時に成立した国家安全保障会議(NSC)設置法と秘密保護法は政府が続いて予定している「国家安全保障基本法」や「集団的自衛事態法案」と結びつき、アメリカと軍事情報を共有すると共に、戦争を遂行しやすいように国民の目・耳・口をふさぐことが狙いであり、侵略戦争拡大に利用された戦前の軍機保護法、治安維持法と同質であり、現行憲法の破壊である。
 この法律の施行は1年以内であるが、我々は今後これを施行させない、改めて廃止させるという世論と運動を圧倒的に高めていく必要がある。

◆成見正毅(なるみ まさたけ)さんのプロフィール

1967年 東京大学卒業
1971年 司法研修所入所
1973年 弁護士登録(25期)
1982年 宮崎市で宮崎中央法律事務所開設
1998年から2年間 宮崎県弁護士会会長
宮崎県弁護士会で憲法委員、司法改革委員
1981年より現在まで宮崎民主法律家協会と日本科学者会議との共催で74回開いた「憲法と平和を考えるつどい」を担当





 
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