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アベノミクスの虚構や歴史認識への疑問、そして原発輸出への不安

2013年7月29日



庄司捷彦さん(弁護士)

 参議院議員選挙の投票日に一つの論文に出会いました。世界8月号「安倍・黒田氏は何もしていない」と題する伊東光晴京都大学名誉教授の一文(p109〜)です。専門外なので正確に理解出来たとは言えませんが、私の理解した論旨は「世にアベノミクス効果と喧伝されている円安や株価上昇は、安倍内閣登場の前から始まっていた経済動向の結果にすぎない。第1の矢といわれる通貨供給量の大幅な増加は、設備投資に向けられてはおらず、銀行の当座預金が増加しただけで、白川前総裁時代と変わってはいない。株価変動の主な要因は外国投資ファンドの動向であり、彼等の株価上昇への動きは昨年10月(野田政権時代)から始まっていた。」と言うのです。これでは、「アベノミクスによる景気回復」なるものの実態が、経済学的に正確な分析や事実にもとづくものではなく、政治家のプロパガンダであり、これに乗せられたマスコミの創りだした虚構にすぎないと言うことになるのでしょうか。その晩、遅くまで報道されていた選挙結果は自民党の大勝利でした。

 「アベノミクス効果は支持を得た」と報じてもいました。国民は今回もまた、政治家やマスコミの誤った誘導によって、歪められました。勝利した安倍内閣の面々は、自分たちの掲げた「日本を取り戻す」とのスローガンに酔っている様子でもあります。しかし彼らは「日本の何が失われたのか、何を奪われたのか」について語っていません。「どんな日本を取り戻そうとするのか」についても具体的には語っていないのです。このスローガンは、中国や韓国だけではなくアメリカからでさえも強い違和感をもって受け止められています。「日本という国は、先の大戦での周辺諸国への侵略行為、その結果としての敗戦の事実、これらの歴史への責任を正確に認識しているのだろうか」との、いわゆる「歴史認識への疑問」を抱かせているのです。安倍総理は、閣僚たちの靖国神社への参拝を止めようとはしないばかりでなく、これへの批判に対して「脅しには屈しない」とさえ語ったのでした。友好国でさえも警戒心を抱かざるを得ない言動と言わなければなりますまい。勝利を得た自民党が今後の言動でどのような「歴史認識」を示すのか、これまで以上に注目しなければと思います。

 さらに、私の住む石巻市は、3.11最大の被災都市であるとともに、女川原発の所在地でもあります。「原発事故は収束した」との政府発表を信じている人はいるのでしょうか。事故原因も未だ不明なのです、炉心の状況も何一つ判明していないのです。15万人を越える人間が故郷を奪われています。汚染水の海への流出も続いてます。ところが政府は「安全な原発」などとの「見え透いたウソ」で飾り立てて、原発プラントを輸出しようとしているのです。国内での原発新設に絶望したメーカーたちの生き残り作戦なのかもしれません。

 しかし、原発プラントの輸出を公言し、セールスマンの役を演じている安倍首相の行動には、別の視点から大きな危惧を感じます。輸入受け入れ国から「使用済み核燃料は日本国が引き取ること」を、輸入の交換条件として要求されたらどのように応じるのでしょうか。「高度の安全性」がセールスポイントならば、輸入国から「危険物としての使用済み核燃料の引き取り」との交換条件を提示された時、これを拒絶できるのでしょうか。人類は未だ「放射性物質の半減期を短縮する技術」には到達していないのです。原発は地上のあらゆる生命体にとって「悪魔の技術」なのです。

 私の課題は、原発再稼働の阻止と憲法9条を護ること。「新たな政治情勢を、井上ひさしなら、加藤周一なら、どんな言葉で語るのだろうか」などと考えながら、さて自分はどんな言葉で語るべきか、どんな事実を伝えるべきか、考えながらの日々が続きます。
 加えて、これからの日常には、週に一度、このホームページを訪ねることも加わることになるでしょう。どこかでの再会を期して!

◆庄司捷彦(しょうじ かつひこ)さんのプロフィール

1943年宮城県石巻市で生まれる。1974年弁護士登録(横浜弁護士会・湘南合同法律事務所)。
1980年石巻市に移転。主な所属団体:自由法曹団、日本労働弁護団、反核法律家協会、日本民主法律家協会、原爆症認定訴訟、じん肺損害賠償訴訟などの弁護団に参加。日本国民救援会宮城県本部会長。詩人会議所属、筆名みちのく赤鬼人(せっきじん)。詩集「もしも千人の詩人がいたら」他。


<法学館憲法研究所事務局から>
庄司捷彦さんは、当研究所が普及をすすめているDVD「STOP戦争への道」の製作者の一人です。憲法を守り活かす取り組みをともに進めて参りたいと思います。



 
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