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いま、放射線被害に立ち向かい、「命」と「人権」の尊さを実感すべきとき

2013年3月11日



大久保賢一さん(弁護士・日本反核法律家協会事務局長)

 「僕の自分史の中で一番、いいものになったと思うよ」
 肥田先生の深い思想と、一人ひとりのいのちと人権がなぜ、大切かを語っていただいた本書ができあがったとき、肥田先生はこうおっしゃいました。

 先生の一生と重ね合わせて、「フクシマ」後の放射線被害とこれからを語っていただく書籍を刊行しようと企画したのが、2011年9月でした。それから1年半近く、毎月、肥田先生宅にお邪魔して、様々なお話を聞き、時にその記憶の正確さといままでなしてきた活動に驚きと感動を覚えながら、やっと1冊の本にまとめることができました。
 本書は今年1月1日に96歳を迎えた肥田先生のすべてが凝縮された本です。
 私は、いま、そして将来に向かってぜひ、本書を読んでいただきたいと思っています。

 さて、肥田先生は軍医として勤務していた広島で1945年8月6日、投下された原爆により、被爆しました。
 自ら被爆したにもかかわらず、すぐさま被爆者の治療に当たり、自身も生死をさまよいながら生き抜き、今日に至るまで6000名を超える被爆者の治療に従事してきています。 その点で肥田先生の生涯は、まさに放射線と正面からたたかってきたと言っても過言ではありません。
 そして被爆者治療活動の過程で、1970年代に、現在では誰しもが知ることとなった「内部被曝」の存在とその治療の必要性を訴え、同時に核兵器廃絶運動にも積極的に取り組んできました。

 「武器としての核兵器は、その瞬間に大量の殺戮能力を持つばかりでなく、発した目に見えない放射線によって人を殺し続ける」「原爆も原発も同じ材料から作られたもの」と肥田先生は断言します。
 それは半世紀以上、放射線被害とたたかってきた肥田先生だからこそ言える見事に本質を突いた重い言葉です。

 本書は、また肥田先生の「いま、どうしても伝えておきたいこと」を深く理解していただきたいと考え、肥田先生の青年期における考え、広島での被爆体験、戦後医師としての活動内容、「内部被曝」問題への取り組み、海外における「核兵器廃絶」の活動、そして「内部被曝とのたたかいかた」を福島第一原発の事故後に多くの市民に訴えてきたことの意味などを自らの言葉で語っていただきました。
 放射線とたたかい続ける肥田先生は「ヒロシマ」「フクシマ」の本質を見極めることのできる数少ない生き証人であることは、十分理解していただけると思います。

 そしていま、2011年3月11日後に発生した福島第一原発事故から2年近くがたちましたが、未だ収拾の見通しが立たない現実があります。
 「内部被曝」という解明されきっていない問題を前に、多くの人は漠然とした恐怖と不安を抱きながら、日々過ごしています。
 肥田先生は核兵器の非人道性という本質を語り、原発の安全神話のウソを明らかにし、原発の再稼働か、廃止かのせめぎ合いが続くいま、放射線はエネルギーの問題ではなく「人のいのちの問題」ということから出発して、放射線とたたかいながら、「生きること、命を生かして生き抜くことこと」、そして二人といない人間一人ひとりの「命を生かす」ことこそ「人権」の本質と訴えます。
 ですから、放射線と立ち向かい生きることが、「命」と「人権」を大切にするこということにつながっていくのです。

 ぜひ、手にとって肥田舜太郎先生の「どうしても伝えておきたいこと」に直に触れていただければと思います。

◆大久保賢一(おおくぼ けんいち)さんのプロフィール

1947年1月1日、長野生まれ。弁護士。日本反核法律家協会事務局長。
著書に『日本国憲法からの手紙―拝啓お母さん こんにちは子どもたち』、『護憲論入門―カンバレ!日本国憲法』(以上、学習の友社)など。
2013年2月、『肥田舜太郎が語る「いま、どうしても伝えておきたいこと」―内部被曝とたたかい、自らのいのちを生かすために』を日本評論社より出版。 






 
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