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今週の一言

 

橋下『維新』を問う!

2012年10月8日



中北龍太郎さん(とめよう改憲!おおさかネットワーク共同代表、弁護士)

———橋下徹・大阪市長が「日本維新の会」を結成し、国政に様々な影響が及ぼされようとしています。とめよう改憲!おおさかネットワークによる「11・3憲法のつどい」は「日本維新の会」をめぐる問題状況を憲法の視点で検証・批判する、大変時宜を得た企画だと思います。
 とめよう改憲!おおさかネットワーク共同代表を務める中北さんに、まず「日本維新の会」の動きが改憲問題にどのような影響を及ぼそうとしているのか、その情勢についての見方をお聞きしたいと思います。


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(中北さん)
 改憲の発議権をもつ憲法審査会の国会での審議が始まっていますが、審議会では改憲派が多数になっています。先日安倍晋三元首相が自民党の新総裁に選ばれました。安倍氏は首相の時に憲法改正国民投票法を強引に成立させました。改憲問題で自民党の先陣を行く安倍氏がまた表舞台に登場したのです。国民投票法ができたことで憲法の外堀が埋まり、そしていま改憲派が本丸の破壊を目指そうとしています。
 このような時期に橋下氏が「日本維新の会」を立ち上げました。この間彼は大阪府知事・大阪市長として様々な福祉施策を切り捨て、府民・市民の生活と人権を踏みにじる政策を矢継ぎ早に断行してきましたが、橋下氏が率いる「日本維新の会」は改憲についても、その政策の中で明確に掲げました。その政策である「維新八策」には憲法改正発議要件の緩和や憲法9条の国民投票が明記されました。その動きが自民党や民主党の改憲への動きとも結合し、今後ヒートアップしていくことが懸念されます。領土問題をめぐってナショナリズムを煽る動きがそれに拍車をかねない状況もあります。
 今後の国会の動向は予断を許しませんが、民主党と自民党・公明党が大連合を組んで消費税増税をすすめたように、改憲でも大連立が組まれる危険が迫っていることに警戒しなければなりません。

———とめよう改憲!おおさかネットワークは、これまで改憲に反対する多面的なとりくみを精力的に展開してきました。この間のとりくみを振り返っていただきながら、今後の活動についてのお考えをお聞かせください。

(中北さん)
 2006年に安倍政権が国民投票法を強引に成立させた時期に、改憲反対のとりくみを強めようとして、とめよう改憲!おおさかネットワークが結成されました。それまで改憲反対や平和・人権のとりくみ、労働運動をしてきた約60の団体が結集しました。以降、毎年11月3日に集会を開催し、5月3日には「九条の会」とも協力し合っての集会を催してきました。市民からのカンパを集めて新聞に意見広告を掲載するとりくみも展開しました。これらのとりくみは改憲への動きに対して、持続的に改憲の動きに警鐘を発するとりくみとして自負できるものだったと思います。このとりくみをいっそう発展させ、また「九条の会」とも連携して改憲反対の世論を広げていこうと思っています。

———大阪で橋下氏を多くの府民・市民が支持するようになってきた背景をどのよう考えますか。その要因や背景の分析は改憲反対の運動にとっても重要だと思いますので、お考えをお聞かせください。

(中北さん)
 自民党にかわって民主党が政権の座についたわけですが、民主党も市民の期待にこたえられず、市民の中に政治への絶望感が広がっています。経済が停滞し、その点でも西日本が地盤沈下してきていることに大阪の市民のストレスが高まっており、それが橋下氏への市民の期待の背景にあります。
 橋下氏は公務員や労働組合が様々な「既得権益」をもっているとして、激しく攻撃しながら人気を得てきました。マスコミも橋下氏の人気に便乗した報道姿勢をとり、橋下人気がますます上がるという、負のスパイラルが生じています。
 しかし、橋下氏の政策は矛盾だらけであり、それは市民の生活や権利を破壊するものです。その人気は一時的なものに終わる可能性があると思います。橋下氏は「日本維新の会」を通じて国政への進出をはかろうとしていますが、知事や市長は独断で政策を断行できるところがありますが、国政はそういうわけではありません。また、「日本維新の会」には政策実現への方針や力があるとは思えません。その候補者たちも橋下人気にあやかることばかり考えているようです。
 橋下氏の政治は決して市民の願いにこたえるものではありませんので、それを具体的に暴いていくことが今後重要だと思います。橋下氏は原発を容認するようになっていますが、いま脱原発は多数の市民の声です。いま多数の市民がオスプレイの沖縄への配備に反対しています。本土の市民も沖縄の人々の苦しみがリアルにわかるようになりつつあります。橋下氏にはこうした市民の声にこたえる姿勢はありませんから、原発やオスプレイなどに関わる市民の運動と世論を広げていくことで、橋下氏も含めた改憲勢力を包囲していきたいと考えています。

(インタビュー:2012年9月29日)

◆中北龍太郎(なかきた りゅうたろう)さんのプロフィール

弁護士。とめよう改憲!おおさかネットワーク共同代表、関西共同行動代表などを務める。
著書に『憲法を活かす −市民の人権を守る裁判から』(日本評論社)、『今こそ平和憲法を守れ』(明石書店)など。





 
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