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今週の一言

 

哀れなるわが大地―核兵器廃絶と脱原発を今こそ

2012年9月3日



TOMOKOさん(ヴォーカリスト)

―「ザマナイ〜時代よ!」の熱唱が終わったばかりの、東京・新宿の老舗の歌声喫茶「ともしび」でインタビューしています。TOMOKOさんは40年間に亘る旧ソ連によるカザフスタンの核実験を歌ったこの歌を、カザフ語から日本語と英語の詞にして唄われ、各地のデモやライヴ等で感動と共感の輪を広げておられます。

(TOMOKOさん)
 2009年夏、NHKで放映された「ノーモア・ヒバクシャ」という核実験や核兵器による世界各地の被曝者を扱った番組の中で、カザフスタンの国民的歌手ROZA Rymbaevaさんの「Zaman-ai」を聴き頭を殴られたような衝撃を受けました。日本でも誰かが歌い継がなければという思いに駆られ、カザフのヒバクシャを支援するNGOヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクトと協力して日本語・英語化に着手し、2010年夏に広島市の「平和のともしびのつどい」に招かれ、平和公園の慰霊碑前で歌ったのが最初です。タイトルの「Zaman」は「時代」、「ai」は「嗚呼」という詠嘆で、カザフ民族に降りかかった40年間の核実験、1980年代の弾圧事件、1920年代の大飢饉の悲劇を併せ「何という酷い時代!」という意味が込められています。
 「健やかな子らは なぜ消えた」で始まる日本語版はyoutubeでご覧いただけます。福島の原発事故初期の一連の取材ののち、私共のCDをお聴きになり、ご自身の著書「セミパラチンスク」を復刊する決意をされたフォト・ジャーナリスト 森住卓さんより、悲しくも現地の核被害の真実を写した素晴らしい写真をご提供いただきました。
 カザフでは、日本の四国ほどもある核実験場で、500回近い核実験が行われ、一説には100万人を超えるともいわれる周辺住民が被曝し、今日でも苦しんでいます。この歌は1986年のチェルノブイリの事故の後も続いたこの核実験場を閉鎖させるための運動に人々の力を結集するのに大きな役割を果たしました。311後の日本でも、これは福島の歌だと泣きながら聴いたという方も大勢いらっしゃるので、脱原発にも必ず資する歌であると信じております。

―核大国は核兵器の特権を維持することに熱心で、核兵器の廃絶は現実にはなかなか進みませんね。

(TOMOKOさん)
 核兵器の廃絶は後戻りせずに実現するよう、各国が真剣に取り組むべきです。オバマ大統領の2009年4月プラハでの演説で、世界中の核廃絶を願う人々が核兵器全廃に近づくことを喜んだのに、翌年にもう臨界前核実験を行った。怒りを禁じ得ませんでした。

―TOMOKOさんは脱原発のデモに活発に参加され、毎週金曜日に行われる首相官邸前デモでは「ふるさと」を歌っておられるのですね。

(TOMOKOさん)
 核兵器と原発の問題は根底でつながっています。ノーモア・ヒバクシャを見た後核実験についての本を読みましたが、どこを辿っても結局は原発との関係が浮き彫りになってきて、原発の存在自体が暴力であるということがよくわかりました。
 311後、ショックで動けない時期もありましたが、核の被害の実相を表した歌をお預かりした以上私も何かしなければと動き始めました。放射線被害は本当に心配ですし、故郷や家や家族・友人との絆、田畑や仕事を奪われた17万もの人々があまりにも気の毒です。また事故がいつ終息するかさえわからない状態で、近いうちに再度大地震の可能性が言われているのに原子力発電所の再稼働を始めるなど、狂気の沙汰です。


首相官邸前ファミリーエリアにて「ふるさと」合唱
 金曜日の官邸前抗議行動では、小さなお子さんや赤ちゃんを連れたお母さんたちもお集まりの「ファミリーエリア」で19時にみなさまとご一緒に「ふるさと」を歌わせていただいています。抗議活動やデモというと怖いというイメージを持っておられる方もあると思いますが、体力のないこどもや障碍者やお年寄りも安心して参加でき、安全かつしっかりと自分たちの意思を表明する場があるということはとても重要だと思います。このエリアを担当されている「パパママぼくの脱原発ウォークin武蔵野・三鷹」さんからのお誘いで、同じ想いの皆様と声を合せて歌わせていただいています。
 
―「ザマナイ〜時代よ!」でも「ふるさと」でも、核による被害者は人間だけでなく、大地で命を育む総てのいのちが被害者であり、自然と人間との共生という響きが感じられます。

(TOMOKOさん)
 どれほど科学技術が進んでも、人間は自らを完全に自然から切り離して生きてゆくことは不可能です。人間の身体がそもそも自然の一部なのですから。人間は母なる自然の前に謙虚になる必要があると思います。
 カザフ人は本来、シャーマニズムの伝統を色濃く受け継ぐ民族です。私も自然から大いに力をもらうタイプでして、実家の近くに緑豊かな公園があるのですが、ザマナイを歌わせていただくことになったときも、そこにそびえていた大きな樹にどう歌えばよいか教えてほしいと日々祈っていました。
 ザマナイの英語化を決意させたのも、実はその公園に棲みついていたカワセミでした。気付くと近くにとまっていたこの美しい生き物を護るためにより多くの人に聴いてほしい、そうだ英語でも、と思いついた次第です。悲しいことにそこも放射性物質で汚染されてしまい、こどもたちを見かけることはとても少なくなりました。訪れるたび、いきものたちに異変がないか観察しつつ、人間の愚かさを心で詫びています。

―憲法第9条を改定しようという動きがまた高まっていますね。

(TOMOKOさん)
 原発再稼働を巡るあまりに不誠実な政府の対応に、今改定となればどんなふうに改悪されるかわからないという危機感を覚えました。今の日本では絶対に触れてはいけないと思います。

―今後のご活動について伺わせてください。


歌声喫茶ともしびにて

(TOMOKOさん)
 諸事情で歌わせていただけない日もありますが、私の体力と状況が許す限り、金曜日の首相官邸前抗議・ファミリーエリアに行きたいと考えています。
 実は私は障碍持ちでして、9月22日に障碍を持つミュージシャンによるプロ・アマ・年齢・自作・カバー、あらゆる条件を問わないバリアフリーな音楽祭「ゴールド・コンサート」に出場することになりました(於:東京国際フォーラム)。出場者のレベルは高く、メジャーでご活躍の方やマスメディアに多く取り上げられている方々もあり、ゲストも豪華です。高校生以下のお子さんと引率の保護者の方や先生は無料でご招待していますので、同事務局にお申込みください。障碍者理解のためにもぜひ多くの方にご来場いただければ幸いです。宜しくお願い致します。

―今日は、お忙しいところ、大変ありがとうございました。これからもお元気でご活躍ください。

(TOMOKOさん)
 ありがとうございました。

◆TOMOKOさんのプロフィール 

ポップスをはじめソプラノから民族Voiceまで操る全方位型ヴォーカリスト。命の大切さと家族愛を歌った自作J-pop「酉の市」で2005年秋、浅草酉の市(85万人規模)史上、神楽殿より公式に歌唱した初めての歌い手となる。2009年夏「Zaman-ai」と衝撃的な出会いをし、2010年秋カザフ語(カザフ名誉芸術家 ROZA Rymbaeva)・日本語・英語(TOMOKO)3カ国語版CDリリース(制作:ヒロセミ)。前・広島市長 平岡 敬 氏(ヒロセミ名誉会長)と合同の平和授業や平和コンサート、ミニライヴ等、各地で共感の輪が広がりつつある。
Blog「永遠の歌を求めて」





 
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