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今週の一言

 

大企業蓄積強化のための「一体改革」
 〜 分配の不平等と再分配の不公平の是正で国おこしを

2012年3月19日


富山泰一さん(不公平な税制をただす会事務局長)

 政府は「社会保障と税の一体改革」は「社会保障の充実」のためと宣伝している。消費税導入時の政府税制調査会会長加藤寛氏は後に「(消費税導入時は)高齢化社会のためといわれ、ああいえば一般の人に分かりやすいから」と語っており、又々同じ理由である。
 消費税導入後の社会保障と税制の推移を見ると、社会保障は負担増・給付減の繰り返しで、税制は大企業・大資産家・高額所得者に有利な大減税と逆に一般国民は所得税・住民税の所得控除の改廃、消費税増税という庶民負担増が強行された。今回の5%増税も、必要な財源は1%で足り、その残りの4%は社会保障費に当てている一般財源との入れ替え財源となる。別な見方をすれば4%分は法人税減税財源になりこれまでの繰り返しである。

税財政を通じた再分配の不公平拡大が国を滅ぼす

 政府、大企業は、日本の国際競争力が低いのは、法人税が高いからといっている。しかし経団連の阿部泰久経済基盤本部長は「実はそんなに高くない」といっている。高い、低いの比較は国際的には税金と社会保障負担を合計した数値で比較しており、その比較ではOECD30ヵ国中日本は24位である。1位の69.9に対し日本は38.6と約半分であり、その上日本は租税特別措置(減税)が648項目と比類のない大減税国で、意図的比較といえる。分配の不平等と特定者への減税により、マクロ的にみてジニ係数が拡大し、租税負担率が減少、社会保障負担率は増加し、税収減を社会保障負担増で穴埋めしている逆進的負担といえる。つまり生活の安定等再分配が機能していない弱肉強食化現象を深めている。
 企業でいえば、僅か0.28%の大企業が全産業の蓄積の60%弱を独占しており、個人所得税では確定申告者の3%の人が2兆2250億円もの大減税をほぼ毎年受けている。それら不公平税制は所得の再分配を極端に弱めており、長期不況と財政危機の原因者といえる。
 消費税の最大の欠陥は低所碍者ほど重い負担を強いられている。中小事業者は売値に消費税を上乗せできず、自腹を切らされている。一方輸出品は「輸出免税」となっており、トヨタ自動車は自分で税を払わずに2,246億円も消費税の還付がされている。大企業は価格転嫁をしており、その上に還付するのは実質補助金といえ直ちに廃止すべきである。
 消費とは、所得の処分形態であり、消費自体には担税力がなく課税する根拠がない。しかも消費税のそもそもは戦費調達と戦後処理財源として生まれたもので、政府は基幹税と位置づけることで国民の意識変革を策しており、本来の租税理念に反し、欺瞞である。

財源はある、消費税導入前の税制に戻せば財政危機は解決する

 消費税が導入される直前から税負担の理念を財界・政府が一方的に変えた。それは、それまで応能負担による課税と、最低生活費非課税の配慮が強かった考え方を、企業の経済活動阻害要因を排除する「活性化」「国際競争力」重視に変えた。自民党の「公平・中立・簡素」から民主党の「公平・透明・納得」の変化もその原点は「税金会費論」であり、会費を払わなければ「保障しない」という考え方で、「公平」とは何かが問われていない。
 不公平税制是正の観点から見た財源は、課税ベース(課税所得)を縮小する租税特別措置(減税=隠れた補助金)と税率引下げによる二重の減税により税金を徴収しない額は、2011年度の試算では、28兆1108億円もある。その仕組みは消費税導入を境にした税収減であり、税制を導入前に戻すことが財政再建の最短の道である。また歳出予算の不要不急経費見直しが必要で、具体的には一般会計(公共事業費・軍事費・政党助成金等)だけでなく特別会計(埋蔵金等)も改革を指摘されており、精査することで財源が生まれる。

◆富山泰一(とみやま やすいち)さんのプロフィール

1935年東京生まれ。小学校教師、税務署勤務を経て税理士。現在、世界納税者連盟加盟団体・不公平な税制をただす会事務局長、財源試算研究会主査、日本租税理論学会会員、埼玉自治体問題研究所顧問。
著書に、『日本税制の総点検』(共著・勁草書房)、『消費税によらない豊かな国ニッポンヘの道』(あけび書房2009年)『庶民増税によらない社会保障充実と震災復興への道』(あけび書房2011年)

*法学館憲法研究所は3月23日(金)に公開研究会「消費税と憲法―応能負担原則を問い返す」を開催し、憲法の視点から消費税増税の問題を考えます。多くの方々のご参加をお待ちしています。


 
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