法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

「紀州九条せんべい」誕生物語

2011年6月27日


中北幸次さん(「紀州九条せんべいの会」事務局長)


 12枚の玉子せんべいに憲法九条の条文を焼き分けた「紀州九条せんべい」。その誕生物語をお聞きいただきたいと思います。

たたかいは楽しくなければいけない

 1997年9月、関西電力本店包囲総行動。中之島公園を出発した私たちデモ隊を迎えてくれたのは、ジャズバンドが演奏する「聖者の行進」でした。さらに本店前ではシャンソンが歌われ、まるでお祭りでした。絵描きで音楽好きの私でしたが、闘争と文化の結びつきを目の前に、カルチャーショックを受けました。
 「社内であっても思想差別は許されない」との最高裁判決。しかしそれに従わない関西電力。ならば、と労働者たちは具体的差別である、賃金是正を求めて裁判に立ち上がりました。いわゆる関電賃金是正裁判です。私はこのたたかいを支援する和歌山の会の事務局に身を置いていました。この日、私の活動観は一変させられました。
 以来、「たたかいは楽しくなければいけない」が私のモットーになったのです。これが「紀州九条せんべい」誕生につながっています。

丸暗記の力

 9条世界会議が開かれ、私たちは大阪会場のオープニングで500人の大合唱に参加しようとメンバーを募ったところ28名が集まりました。(後日このメンバーを中心に和歌山うたごえ九条の会が結成されました。)この時の演奏曲の一つに、外山雄三作曲の「日本国憲法第九条」がありました。九条の条文をそのまま歌ったものです。この練習のお陰で、私は九条の条文をすっかり暗記することが出来たのです。
 丸暗記の力はすごいです。車を運転していても条文が浮かんできます。「日本国民は……誠実に希求し」、希求するってどういうこと? 「……国の交戦権はこれを認めない」、認めないって、誰が認めないの? とまあ、こんなことをいつも考えるようになったわけです。このことも「紀州九条せんべい」誕生につながっています。
 ちなみに戦争の時代、子どもたちは「教育勅語」を丸暗記させられたといいますね。

せんべい屋さんとの出会い

 仕事柄新聞作りのお手伝いをします。その年、橋本市関連労組が発行している新聞にぽっかり空白が出来てしまい、「橋本うまいものクイズ」をやろうと提案しました。商品の写真だけ載せて、読者にどこの何かを当ててもらうという単純なものですが、面白いと言うことになり取材を手伝うことになりました。紀の川製菓とはその時に出会ったのです。役得で帰りにせんべいをいただきました。これが美味しくて、後日また買いに寄りました。そこで焼き印(金型)さえ作ればオリジナルせんべいを作ってもらえることが分かりました。店頭には12枚入りのせんべいが売られています。これだと思いました。12枚のせんべいに九条の条文を焼き分ける構想はすぐに浮かびました。

出資者を集めよう


 焼き印1本2万円、12本で24万円。ラベルや栞もいるだろうし、諸雑費を入れて立ち上げに40万円はかかるかな。どうしようか考えている時、私の構想を聞いた深谷氏(和歌山市九条センター事務局長)は、「それはいい、出資者を集めよう。そして出資者を会員にしたせんべいの会を作ろう」と提案してくれました。かくして、医者、弁護士、大学教授、演出家、労組役員等々、県内の著名人9人に呼びかけ人になってもらい、出資金集めに取り組むことになったのです。
 しかし改めてせんべい屋さんに頼みに行って、問題が発生しました。12種類も焼けないというのです。「12種類焼き上がらないと袋詰めできない。大変な手間だ」と。いろいろ話し合って、1日で焼ける数量300袋は注文するという条件で何とか受けてもらえることになりました。

甘〜い紀州九条せんべい

 出資者はあっという間に100人を超え、50万円が集まりました。
 ついに完成した紀州九条せんべい。「食べる前に正しく並べてください」といいながら、一昨年のメーデーから普及を始め、この2年間でその数は1万袋を超えました。
 出資者を中心に「紀州九条せんべいの会」も立ち上げました。

 代表になっていただいた和歌山大学の鈴木裕範准教授は、総会で「憲法とお菓子の甘い関係」という話をしてくれました。
 紀州九条せんべいを多くのみなさんに食べていただきたいです。そしてぐっと噛みしめていただきたい。甘さが口の中に広がります。目を閉じて思いを巡らせてください。かつて甘さに飢えた時代がありました。甘さは平和の文化であることを感じていただきたいと思います。
 「紀州九条せんべい」について詳しくはチラシをご覧ください。

「紀州九条せんべいの歌」
 昨年「紀州九条せんべいの歌」が生まれ、YouTubeにアップしました。最後に全国のみなさまにご紹介したいと思います。

中北幸次(なかきた・こうじ)さんのプロフィール

1950年、和歌山県海南市生まれ。日本機関紙協会和歌山県本部前事務局長。和歌山うたごえ九条の会事務局長。紀州九条せんべいの会事務局長。





 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]