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日本航空の不当解雇撤回と真の再建をめざす闘い

2011年4月25日


内田妙子さん(日本航空キャビンクルーユニオン執行委員長)


2010年1月19日、日本航空は経営破綻し、会社更生法の申請を行いました。公共交通機関の役割を果たすため、会社更生法の下、運航を継続しながら再建を目指すことになりました。更生計画の中心は人員削減で、日本航空グループ全体で2010年度末までの1年間で約16000人を削減するという計画でした。この削減数は当初3年計画でしたが、前倒しされ、各職場で急激なリストラが進行しました。客室乗務員・運航乗務員も同様に人員削減の対象となり、2010年9月、10月の2回にわけて希望退職の募集が行われました。しかし、9月の募集結果が応募者数に満たなかったことを理由に整理解雇の人選基準案が9月27日に提示されました。この基準案は病気休業を伴う休業日数や休職、成績、年齢というもので、会社が一方的に提示したものです。年齢は高い者からとされました。人選基準案の対象とされた日本航空では、6つの労働組合がありますが、どの労働組合も会社の基準案に合意していないなかで、人選基準案の対象とされた者が10月から一切の乗務を外され、管理職2名による個別面談を指示されました。対象者は、10月以降も「希望退職」か「整理解雇」かの選択を迫られ、退職届を出すまで、解雇の脅迫を受け続けたのです。このような希望退職とは名ばかりの募集が12月まで続きました。希望退職の募集年齢は一般職で45歳以上とされていました。私たちの労働組合日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)は、募集当初から年齢を引き下げるよう要求していましたが、11月半ばになってわずか3歳の引き下げを行ったものの、形式的なものでした。CCUは無給休職や一時帰休、ワークシェアなども提案しましたが、検討さえされず、会社が一方的に決めた「人選基準案で整理解雇する」の方針を変えなかったのです。労使交渉の場はもつものの、不誠実な対応に終始しました。客室乗務員の人員削減目標数は662人で12月9日時点では762人になっていたのですが、客室乗務員108人に解雇予告通知が行われたのです。
 経営破たんから約1年2ヶ月後の2011年3月28日に、東京地裁は更生手続きの終了を決定しました。2011年4月1日から新たに日本航空株式会社として再出発しました。更生計画の2010年度の利益目標は日本航空グループ連結営業利益641億円でしたが、3倍に迫る1700億円の利益が予想され、史上最高となる数値です。
 その一方で、日本航空は、人員削減目標を既に達成(日本航空本体で1500人に対し1733人・客室乗務員662人に対し786人/12月27日現在)していたにも関わらず、2010年12月31日(大晦日)に客室乗務員84人、運航乗務員81人、総数165人の「整理解雇」を強行しました。客室乗務員72人と運航乗務員74人は、違法・不当な解雇の撤回を求め、経営破たんから1年経った2011年1月19日に東京地裁に提訴しました。原告団は、1.2010年12月31日をもって強行された解雇を撤回させ、地位確認、職場復帰などの全面解決を実現する 2.「利益優先」より「安全最優先」とし、「安全性」と「公共性」を確保した公共交通機関として、あるべき日本航空の再生を実現していく 3.整理解雇法理(整理解雇の4要件=人員整理の必要性・解雇回避努力・人選の合理性・手続きの相当性)を守り、働く者の権利を守る 4.歪んだ航空行政の誤りを明らかにし、市場原理主義の航空政策を改めさせ、利用者・国民の期待に沿った日本航空の再生を実現していく ・・・ことをこの裁判で求めています。希望退職によって客室乗務員も運航乗務員もベテランが大量に退職しました。加えて、客室乗務員では53歳以上が、運航乗務員では55歳以上の機長と48歳以上の副操縦士が解雇されました。現場では安全性の低下が危惧されており、東北地方大震災の臨時便運航に伴い定期便が運休するなど公共性にも疑問が投げかけられています。真の再建に向け、不当解雇撤回闘争を一日も早く勝利して職場復帰を果たしたいと思います。

◆内田 妙子(うちだたえこ)さんのプロフィール

1953年(昭和28)、大阪府岸和田生まれ。1974年日本航空に入社、国際線客室乗務員として乗務するなか、2010年12月31日に被解雇者となり、JAL客乗不当解雇撤回裁判の72名原告団長として活動中。2001年から航空労組連絡会議長を4期務め、2009年8月から日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)執行委員長。





 
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