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今週の一言

 

高校生の平和学習活動をサポートする

2010年12月13日

沖村民雄さん(東京高校生平和ゼミナール連絡会世話人)

―――沖村さんは東京の高校生たちの平和学習活動に長くたずさわり、今年、それを記録する『学ぶこと、語ること、生きる希望と平和な未来 − 核兵器と戦争のない21世紀をめざす高校生たち』(平和文化)を出版されました。まずは、30数年にわたる沖村さんのとりくみの内容・経過の概略をお聞かせください。
(沖村さん)
 私は大学生の頃、ベトナム戦争反対や沖縄返還のたたかいなどに参加しており、高校の教員になって生徒たちに憲法の平和主義のことを伝えたいと考えていました。1972年に東京の私立高校の社会科教員になり、生徒たちに憲法の考え方を授業で語ったのですが、なかなか生徒たちの心を揺り動かすことができませんでした。
 いろいろ模索するなかで、授業で基本的なことを学習しながら、生徒たちが自主的に平和や社会問題について学ぶ場ができないかと考えました。1977年、私は生徒たちに、学園祭で社会問題を発表してみないかと呼びかけ、そこから生徒たちの平和問題研究会がスタートしました。その後、彼らのとりくみは他校の高校生たちのとりくみに結びついていき、私も、「三多摩高校生平和ゼミナール」、「東京の高校生平和のつどい」のとりくみ、「東京高校生平和ゼミナール連絡会」、「世界の子どもの平和像を東京につくる会」のとりくみ、「イラク攻撃反対全国高校生平和大集会」、韓国・中国の高校生との交流などにたずさわり、高校生の活動を援助してきました。

―――沖村さんが一貫して高校生たちの平和学習活動をサポートしてきsたのは、どのような問題意識からでしょうか。
 

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(沖村さん)
 私は高校の社会科教員になって、授業で憲法の考え方を教えたのですが、生徒たちが、憲法と現実の矛盾に目をむけ、自分の頭で考え、自分の考え(見解)をもって、それを社会にむけてアピールしていくことが重要だと考えるようになっていきました。生徒たちには、憲法の条文などの知識を暗記するのではなく、憲法の考え方の基本的なところを学んで欲しいと思います。そして、憲法の考え方が活かされる社会をつくるために何が必要か、考えてほしいと思い続けてきました。
戦争と平和、憲法について、学び、調べ、表現する高校生の自主的な平和学習活動をとおして、平和と人権、民主主義のにない手になってほしいという思いが、高校生のとりくみをサポートしてきた大きな理由です。

―――高校生のときに積極的に平和のことを学んだ人たちの中には、進学・就職の後もいろいろなところで平和のために行動しているのではないでしょうか。
(沖村さん)
 進学後・就職後の状況は様々ですが、たとえば高校卒業後も平和サークルをつくって活動しているOB・OGたちもいます。「P魂S(ピーソウルズ)」というサークルもそのひとつですが、東京大空襲のことを語り継ぐ活動をしています。
 そのほかにも、各地で、地域の「九条の会」に入って頑張っている人や、平和のための戦争展の活動をしている人がいます。また、私たちと一緒に、高校生の活動を援助しているOB・OGもいます。

―――ところで、いま、高校生たちには平和活動をしにくい状況もあるのではないでしょうか。どのような状況なのか、お聞かせください。
(沖村さん)
 その通りですね。いろいろな困難を抱えています。以前はもっと、高校生同士がお互いに思っていることを語り合っていたのですが、最近は高校生同士の人間関係がますます希薄になっています。平和ゼミナールのことも学校の中では語りにくい雰囲気があります。
 生徒たちが勉強その他で競争させられる状況がすすみ、またみんなと違ったことを言ったり、行動したりすることを、排除する傾向がますます強くなってしまっています。
 もちろん、いまでも多くの高校生が頑張っており、多くの教員がサポートしているのですが、いろいろと工夫も必要になっています。

―――沖村さんは憲法の考え方を生徒たちに伝える努力をしてきましたが、いま生徒たちの憲法についての理解・認識はどのような感じでしょうか。
(沖村さん)
 高校生の憲法意識調査では、憲法9条について「変えないほうがよい」という回答が6割を超えています。私は、この結果は、これまで学校の教員が憲法の平和主義の考え方を伝える努力をしてきた成果だと考えます。もちろん、憲法の平和主義の考え方と自衛隊、日米安保条約の関係のことになると、生徒たちはどう考えてよいかわからない、というところがあります。いま、とくに、沖縄の基地問題と日米安保条約について、具体的な事実を提示して、子どもたちとともに学び、深めることが重要な学習課題ではないでしょうか。

―――憲法そのものの役割についての高校生たちの認識はいかがでしょうか。"憲法は一番重要な法だから、国民みんなが守らなければならない。憲法が守られていないのであれば、みんなが守れる憲法に改正した方がよいのではないか"というような認識もあるのではないでしょうか。憲法を守らなければならないのは国民ではなく、政府や権力者であるという立憲主義の考え方を伝える必要があると考え、法学館憲法研究所も中高生向けの憲法映像教材をつくったのですが、沖村さんはどうお考えでしょうか。
(沖村さん)
 私も、立憲主義と「法の支配」について、高校生に語ってきました。高校生たちの中にも、憲法は単なる理想だ、現実と合っていない、というような考え方があります。「現実」とはいったい何か、憲法を守らなければならないのは誰なのか、というようなことをどのように伝えていくかは極めて重要な課題です。

―――沖村さんが高校生の平和学習活動を広げていくにあたって、そのほかに大事だと考えていることをお聞かせください。
(沖村さん)
 私は、高校生たちにはぜひ実際の戦争の体験談、その生の声を聞いてほしいと思っています。イラク戦争が始まろうとしている時に、開戦反対の声をあげた高校生の多くは、広島の被爆者や東京大空襲の被害者の話を聞いていました。そのような戦争体験の継承が、戦争というものをリアルに感じ、戦争反対の声をあげた土台になっていたと思います。国連憲章など、国際法の学習も重要だと思っています。
 高校生の平和活動については、長崎の高校生たちが核兵器廃絶と世界平和実現のための一万人署名に毎年とりくんでいます。長崎では高校生の自主的な活動を市民運動がサポートする関係が築き上げられているようです。こうしたとりくみが全国的に広がってほしいと思います。
 東京では、12月23日に16回目を迎えた「東京の高校生平和のつどい」が行なわれます。多くの高校生に、『バッテリー』の著者あさのあつこさんの講演を聞き、分科会でおおいに語り合ってほしいと思っています。

―――高校生たちの平和活動の現状と展望を語っていただきました。今後とも連携していければと思います。本日はありがとうございました。

◆沖村民雄(おきむらたみお)さんのプロフィール

1948年生まれ。1972年、桐朋中・高等学校に社会科教員として着任、2009年に同校を退職。現在、全国民主主義教育研究会会員、平和・国際教育研究会会員、東京高校生平和ゼミナール連絡会世話人、高校生平和ゼミナール全国連絡センター(代行)。
2010年、『学ぶこと、語ること、生きる希望と平和な未来 − 核兵器と戦争のない21世紀をめざす高校生たち』を出版。

東京高校生平和ゼミ連絡会

*2010年12月23日、「高校生平和のつどい−平和への『大』1歩」が開催されます。そのチラシを掲載し、ご案内します。PDF1,PDF2




 
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