法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

戦争と経済を人間の目で見る(その2)

2010年11月29日

品川正治さん(国際開発センター会長)

その1)から続く

経済も人間の目で見る

もう一つ大きな問題は、戦争を人間の目で見ている日本は、経済をなぜ人間の目で見ないのかということです。私は、経済人として、9条を持っている国は、経済も人間の目で見るべきであり、その方法があるかということを見つけるためにやってきました。ところが、グローバリゼーションは国家をさえ撹乱し、金融資本が一番もうけやすい形でやるのが経済だということになっています。アメリカは金融力と軍事力で世界全体を統合しようとしてきました。グローバリゼーションという言葉はアメリカの戦略用語でしかないと感じています。ところが、2008年のリーマンショックで、アメリカの金融主導型の市場原理主義とか資本主義は人間の生活との関係でどうなのか、という疑問がはっきりと出ました。

状況は国民が作る――年越し派遣村

この年の暮に、湯浅誠さんたちの「年越し派遣村」がありました。これは非常に大きな意義を持ったと思います。状況というのはお上が作り、国民はそれにどう適応し順応していくのか、というのが今までのあり方でした。"それは違うよ"ということを「年越し派遣村」は東京のど真中の日比谷で示しました。国会があり、中央官庁があり、最高裁があるど真中でやったわけで、状況は私たちが作ろうと思えば作れるということであり、日本の一番の矛盾を表に出したわけで、国民にものすごい勇気を与えてくれました。経済を人間の目で見ていくということは夢物語だという感じでしたからね。その意味で、2008年は神風が2度吹いてくれました。

世界史が変わる

中国に抜かれつつありますが世界でGNP第2位の経済大国である日本が、9条が基本ですとはっきりと言い切ってしまえば、アメリカは世界戦略を変えざるをえないわけです。それはとりも直さず世界史が変わるということです。今、日本国民はそういう時点に遭遇しています。
 国民が主権者として行動すれば、私たちが戦後ずっと憲法を守り続けてきた意味が生きてくると感じています。この年になってまだ講演したり本を書いているのは、そこに狙いがあります。

マスコミに一番の責任

 マスコミが一言でも、これはおかしいと書いてくれれば世論は変わるところまで来ています。しかしマスコミは、国民の怒りとかを一点に集中させることは絶対に避けようとしています。マスコミは、政治とカネだとか政局の問題に矮小化しています。4000人ものロビーストを使っているアメリカの政治と民主主義の問題に比べたら、鳩山さんの母親が息子にカネをやったなどということは大きな問題ではありません。この20年間の閉塞状況を作り出したのはマスコミだと思っています。マスコミは、国の進むべき方向がはっきりしないとか批判していますが、その一番の責任はマスコミにこそあります。私がものを言っているのは、マスコミに向かって言っているのと同じです。

主権は平等な国民にある

 主権は国民にある、というのは大きな問題です。敗戦のときの日本のGNPは世界の1%もありませんでした。今、経済大国になった日本で、主権者は私たちだと主張して行動すれば、経済のヘゲモニーも変わります。豊田章一郎氏と普通の人とでは、経済の社会では10万対1くらい違うかもしれませんが、政治の世界では同じ1票です。伊藤真さんなどが投票価値の平等について「一人一票」なんだという自信を持って若い人の間でどんどんやっておられることは、本当にそのとおりだと思います。是非続けてください。(談)(完)

◆品川正治(しながわまさじ)さんのプロフィール

1924年兵庫県神戸市生まれ。東京大学法学部卒。現在、経済同友会終身幹事、財団法人国際開発センター会長、全国革新懇代表世話人。日本興亜損害保険(旧日本火災)の社長・会長を経て、91年から相談役。93〜97年、経済同友会副代表幹事・専務理事。
映画「戦争をしない国 日本」成功させる会呼びかけ人代表。

主な著書
『戦争のほんとうの恐さを知る財界人の直言』(新日本出版社、2006年)、『これからの日本の座標軸』(新日本出版社、2006年)、『9条がつくる脱アメリカ型国家』(青灯社、2006年)、『立ち位置変えず―品川正治対談集』(新日本出版社、2010年)、『手記 反戦への道』(新日本出版社、2010年)


<事務局より>
品川さんの近著『手記 反戦への道』の紹介はこちら





 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]