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今週の一言

 

首都東京の米軍基地・横田基地を問う

2010年11月29日

盛岡暉道さん(「横田基地問題を考える会」世話人・弁護士)

———米軍横田基地の周辺住民は、その航空機騒音被害に苦しみ、被害の賠償と夜間の飛行差止めを求めて裁判をたたかってきました。裁判は、2009年に最高裁判決が出され、飛行差止めは叶いませんでしたが、被害に対する国の損害賠償を勝ち取り、結審となりました。基地問題と住民の皆さんの要求・たたかいの現状からお教えください。
(盛岡さん)
 長年の住民たちのたたかいによって、裁判で一定の損害賠償をかちとり、また騒音被害も小さくなりました。しかし、住民たちの受けとめ方は多様です。はじめて提訴した1970年代からこの土地に住んでいる人たちには、その頃に比べたら夜間飛行も減って、「静かな夜」がもどってきたという感覚があります。しかし、1990年代くらいにこの土地に移ってきた人たちには、騒音はその頃とあまり変わっていない、まだひどい、という感覚が強くあります。横田基地を飛び交う航空機による騒音はいまだに環境基準に違反しており、住民たちのたたかいが続いています。
 2009年の最高裁判決ののち、「横田基地等の公害対策」を進める準備会ができ、引き続き騒音被害の解消を求めることにしています。
 このほかに、米軍基地そのものを問う組織もできました。「横田基地問題を考える会」や「横田基地撤去を求める西多摩の会」です。これまでの裁判でのたたかいは、日米安保条約に対する意見の違いなどはお互いに問うことなく、騒音被害の解消という一点で団結したたかってきました。しかし、米軍基地自体の撤去も求めていく時期になっているとの機運も高まり、私もいまその必要性を強く感じています。

———横田基地そのものが問われるべきとのことですが、横田基地をめぐる最近の動きをお教えください。
(盛岡さん)
 いま、府中にある航空自衛隊の航空総隊司令部が横田基地の米空軍司令部のところに移されてきており、横田基地内に次々と新しい施設が建てられています。防空及びミサイル防衛の日米一体化が進められ、米空軍と自衛隊によるミサイル防衛の「統合共同作戦センター」が設置されようとしているのです。横田基地が日米のミサイル防衛の拠点とされ、神奈川の座間基地などとともに米軍の世界戦略の軍事拠点になろうとしているのです。
 住民たちの中には、米軍基地自体の撤去を求めても無理という諦めの気持ちがまだ強いのですが、沖縄の普天間基地移転をめぐる動きなどから、横田基地自体を問おうという人々が増えています。世界中で首都の住宅地に他国の基地が存在していることは異常だという声が広がりつつあります。

———横田基地の問題への盛岡さん自身の関わり、横田基地訴訟のたたかいの特徴などをお聞かせください。
(盛岡さん)
 1971年、横田基地の住民のみなさんが、騒音被害をなくすために裁判でたたかいたいと相談にいらっしゃいました。弁護士一年生の私も先輩弁護士とともに担当することになりました。私は騒音被害に苛まれ、のちに住民たちが集団移転を余儀なくされた堀向地区に転居し、住民のみなさんといっしょにたたかうことにし、ずっと地元でたたかってきました。
 戦後、日本各地に米軍基地がおかれ、地域住民は騒音被害に見舞われましたが、横田基地周辺の住民たちによる裁判は初めての米軍基地訴訟(1976年から)で、厚木基地訴訟と並んで古い歴史があります。1996年には、初めてアメリカを被告とする裁判も提起しました。そして、夜間飛行の差止めは叶いませんでしたが、一定の損害賠償をかちとり、不十分ながらも被害の減少を実現してきました。
 横田基地の場合、米軍に、できるだけ住民の意向にも配慮せざるを得ないという立場で対応しようという方針があるように思われます。毎年「横田基地日米友好祭」を開催し、住民の理解を広げようとしています。そのようにして、横田基地を米軍の世界戦略の軍事拠点が進められようとしているのであり、いまこそ横田基地の存在そのものを問うていかなければならないと考えています。

———横田基地をめぐる状況・問題点がよくわかりました。日本国憲法が掲げる平和主義の観点から米軍基地・横田基地の存在そのものを問うていかなければならないと思いました。本日はありがとうございました。

◆盛岡暉道(もりおかてるみち)さんのプロフィール

弁護士。「横田基地問題を考える会」世話人。「九条の会・あきしま」世話人。
元横田基地公害訴訟副団長。


* 法学館憲法研究所の浦部法穂顧問が理事長を務めるNPO法人「人権・平和国際情報センター」が12月4日(土)に「50年目の砂川・横田・朝霞 —東京・安保をめぐるバスツアー」を実施します。横田基地では盛岡暉道さんが案内されます。



 
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