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五日市憲法草案を東京の宝に!

2010年11月1日

前田眞敬さん(あきる野9条の会事務局長)
        

あきる野9条の会の発足と活動


写真は草案が眠っていた深澤家の土蔵

 「九条の会」アピールが発表された2004年、原水爆禁止あきる野協議会(1988年設立)の忘年会の席上で「九条どうする」「誰がやるのか」などと大論議になりました。やがて、理事長の瀬沼辰正さんが「よし、やろう。憲法記念日まで」と決意し、私が事務方を指名されました。80歳を越えた瀬沼さんを先頭に百軒以上を訪問し、64人が呼びかけ人を了承しました。了承した方々は「どんな人が呼びかけ人か?」と聞く人はなく、全員が自分の意思で判断しました。2005年4月29日の発足イベントには250人が集まり、あきる野9条の会が発足しました。会の目的を「九条を守る一点での共同」とし、誰もが自分の意思で自由に活動できる会をめざし、主要な活動の決定は志願制のサポーター会(月例)で行い、事務局が日常業務を行います。会が隔月発行する「A9ニュース」は賛同者のうち約850人に45人が分担して配付しています。
 発足した年の「市民の戦争体験を聞く会」では、初めて原爆体験があることを涙ながらに語った方もいました。バスを仕立てた「市内の戦跡めぐり」では、空襲現場や「青い目の人形」などを見学しました。この活動は59人が執筆する冊子「私たちの戦争体験記」、「続 私たちの戦争体験記」の発行につながりました。フォトジャーナリストの郡山総一郎さんの講演と地元のピアニスト関裕子さんの演奏には470人が参加しました。映画「日本の青空」は脚本家が市内在住で、五日市憲法草案が劇中劇で登場します。改憲を主張する安倍首相の参議院選挙を前に、この上映会を行い1150人が鑑賞しました。この映画をきっかけに五日市憲法草案を学ぼうと2007年12月に学習会を行いました。翌年2月、呼びかけ人で地元の研究者・鈴木富雄さんは冊子「今、五日市憲法草案が輝く」を発行しこれまでに2000部を普及しています。その後、日本国憲法の源流を学ぶと題して「田中正造と憲法九条」の学習、映画「いのちの山河・日本の青空U」上映会、「韓国併合100年と『坂の上の雲』」の学習に取り組みました。

東京・9条まつり・自主企画で五日市憲法草案

 九条の会東京連絡会で東京9条まつりがテーマになったとき、東大和9条の会が「五日市憲法草案」で自主企画をと提案がありました。東大和市の旧奈良橋村は、草案を起草した千葉卓三郎が五日市町を後にして、豪農の鎌田家に身を寄せていたところで、ここで草案を仕上げたとも言われています。当会はこの提案に合流し、草案学習に取り組んでいる光が丘9条の会(練馬)と3者で「五憲の会(五日市憲法草案を東京の宝に!の会)」をつくり打ち合わせを重ねてきました。地域的に離れた九条の会がひとつのテーマで連携して活動するのも初めての試みです。
 また、当会は東京9条まつりプレ企画「五日市憲法草案再発見ツアー・温泉付き」を計画し、9月19日にツアーを行いました。案内人を鈴木富雄さんにお願いして30人が参加して草案ゆかりの地を見学しました。(写真は草案眠っていた深澤家の土蔵)
 11月13日の東京9条まつりでは、再発見ツアーのビデオ上映、電子紙芝居「青春を駆け抜けた千葉卓三郎」、深澤家の土蔵から草案を発見した新井勝紘専修大学教授が「五日市憲法草案と青春群像」と題して講演しますので、ぜひお出でください。
 あきる野市は15年前に秋川市と五日市町が合併してできました。五日市町は、渋谷区が村だったころに五日市町(明治12年)を名乗りました。炭や黒八丈という絹織物、木材の産地で、それを筏で江戸・東京に輸送した秋川から多摩川という「高速道路」で直結しており、先進の文化が取り入れられ、自由民権運動の高まりと千葉卓三郎の存在、それらを支援する豪農がいたのです。そして当時の若者が、山仕事や農作業を終えて提灯を下げて討論の場である学芸講談会に通い、夜も白むころ家路に付いたのです。こうした討論と膨大な諸文献や外国憲法などを学び、卓三郎は204条の日本帝国憲法(五日市憲法草案)を執筆します。それは、天皇制のもとで三権分立を明確にし、「国民の権利」を細かく規定している「民主」憲法であったのです。鈴木富雄さんは、民権運動の援助者・深澤権八の死は、自由民権運動への明治政府の弾圧とあいまって、草案が蔵の中で眠り続けることになったと言います。草案が眠りから覚めるのは87年後の1968年。自由民権運動の研究をしていた色川大吉東経大教授らに発見されその存在と卓三郎の名が明らかにされました。自由民権運動の中で起草され現憲法と「地下水脈」でつながっている五日市憲法草案。今の時代に、青年たちの自由をもとめる心意気とその成果である草案を、憲法九条を守り生かす運動の中で広めて行きたいと思っています。

参考:あきる野9条の会 東京9条まつり

◆前田眞敬(まえだ まさよし)さんのプロフィール

1944年 東京生まれ
1988年 原水爆禁止あきる野協議会会員、現在同理事
2004年 補聴器メーカーのリオン株式会社を定年退職
2005年 あきる野9条の会事務局長、現在に至る
2010年 国連NPT再検討会議要請ニューヨーク行動に参加



 
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