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辻井,東郷,小森が縦横無尽に語る,歴史和解と東アジア共同体

2010年8月30日

南典男さん(弁護士)

 

1 下記の要領でフォーラム「アジアとの歴史和解と東アジア平和共同体の実現をめざして」を行う。この企画の意味と内容をご紹介したい。

               記

  日時       9月19日(日)午後1時30分〜午後5時
  場所       明治大学リバティタワー2階1022教室
  コーディネーター 小森陽一(東京大学教授)
  パネラー     辻井喬(詩人・作家,日本中国文化交流協会会長,日本芸術院会員)
           東郷和彦(駐ロシア公使・条約局長・欧亜局長・駐オランダ特命全権大使などを歴任,京都産業大学世界問題研究所長)

2 企画の意味と内容

(1)今,日本は閉塞状況にある。国民生活,経済,安全保障など,いずれの分野でも展望を持てないでいる。もちろん,国際的な経済環境が不安定なことが一つの要因となっていることは疑いがないが,それだけとも言い難い。
 私は,戦後つくられた日本の国家体制が社会と時代の変化に対応できなくなってきていることが大きな要因だと考えている。日本の主体的な国家ビジョンをつくることが閉塞感から脱却し,展望を見いだすことになる時期に来ているのではないだろうか。問題は,国家ビジョンの基礎に置くべき価値と理念である。

(2)昨年8月,民主党を中心とする連立政権が誕生した。この政権は,国民生活や弱者に視点を当てると同時に,東アジアとの連携を強める基本姿勢を打ちだした。「東アジア共同体構想」である。この構想は,日米関係のあり方を問い直すことと表裏の関係にある。
 この構想を提唱した鳩山首相は,普天間問題を巡って辞任した。日米関係のあり方を問い直そうとしたことが辞任の引き金になったと言われている。

(3)新たに首相となった菅氏は,日韓併合100年に当たって行われた首相談話では,村山談話を基礎に,「歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち,自らの過ちを省みることに率直でありたい」,「痛みを与えた側は忘れやすく,与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ない」,「この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し,ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明致します。」と踏み込んだ談話をしている。また,菅内閣の閣僚は全員,靖国神社を参拝しなかった。
 しかし,菅首相は,戦後補償問題や東アジア共同体構想に言及していない。

(4)アジアとの歴史和解の問題は,過去の問題とみられがちであるし,国民の一部の関心を持っている人びとだけが取り上げているようにも思える。
 しかし,この問題は,日本の国家のあり方と未来を展望する上で重要な意味を持っている。日米関係のあり方を見直すことと表裏の意味での東アジア共同体構想は,日本の外交,ひいては国民生活と直結する課題である。
 東アジア共同体構想は,日本とアジアが戦略的なパートナーとして深い信頼関係がなくては実現し得ない。深い信頼は,歴史和解の問題を抜きには語ることができない。その意味で,歴史和解問題は,日本の閉塞状況を打破し未来を展望する上で重要な位置づけが与えられるべきではないだろうか。

(5)今回の企画は,歴史和解の問題と東アジア共同体構想の,国民にとっての位置づけを多角的に明らかにし,未来を展望しようとするものである。
 こうした企画の意図から,外交に携わった東郷和彦氏と日本経済に関わった辻井喬氏をお招きして縦横無尽に語って頂くこととした。お二人の話を小森陽一教授(9条の会事務局長)がコーディネートしていく。
 なぜ戦後65年もの間歴史和解が実現しなかったのか,外交と経済の現場に長く携わったお二人に,具体的なエピソードを織り交ぜながら本質に迫って頂く。朝鮮戦争の時,村山談話とアジア女性国民基金の時,平壌宣言の時など,ポイントとなる時期に焦点を当て,歴史を遡って真相を明らかにする。その教訓から,歴史和解とは何なのか,その実現の条件とプロセスは何かを考え展望したい。戦後補償問題の解決,侵略戦争によって傷つけられた尊厳の回復,軍縮と平和(戦争の予防),経済と国民生活の安定,東アジア地域での環境・人権保護の取り組みなど,歴史和解と関連するテーマは多岐にわたり,その展望も私たちが考える以上に豊かなものではないだろうか。
 みなさんとともに考えていきたい。

◆南典男(みなみのりお)さんのプロフィール

弁護士。中国人戦争被害者の弁護団に加わり、多くの事件を担当してきた。



 
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