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DVD『大田昌秀・今平和を語る〜沖縄戦の原体験から無防備平和の夢へ〜』 制作を終えて

2010年7月26日

木村 修さん(マブイ・シネコープ代表)

 

【1】沖縄の『誇り』を訴える大田氏
 新年あけて間もない1月11日、今年85歳を迎えられる元沖縄県知事・大田昌秀氏の平和への情熱がほとばしるばかりの講演を聞くことができた。『考えてみますと私の人生の10代までは文字通り戦争に出るための準備期間だった』と切り出し、アメリカで奇しくも発見した牛島司令官の『訓令』を全ての参加者に示しながら人生の原体験から語り出した大田氏。いっときでも惜しむかのように縦横無尽に話題を広げながら、最後は『私は沖縄が誇るべきことは何かと絶えず考えて来ました。結論は平和力です』と力強く一時間に及ぼうかという話を結ばれた。この日の全発言は、辺野古新基地建設が日本の進路を決める課題となっている今、是非とも本土の全ての人に耳を傾けてほしい、そんな思いで制作を開始したのがこの講演記録だ。

【2】『平和をつくる』を呼びかける無防備地域宣言運動
 舞台は、那覇市無防備条例の制定を求めて、直接請求運動を成功させてきた『戦争はイヤです!那覇市民の会』が主催する「平和に街づくりシンポジウム」。無防備地域宣言運動は、ジュネーブ条約第一追加議定書(2004年6月・日本批准)を生かして、非武装・戦争非協力の平和な街づくりをめざす。同58条は軍事施設と住民生活地域の分離に平時から努力することを加盟国に要求している。この平和創造の市民運動は、先日惜しまれて他界された作家の井上ひさし氏の言葉を借りれば、『9条守れから半歩でも前へ。守れから、「する」護憲運動へ』の転換を追及し、ついに那覇市にもその波が広がって来ていた。翌日には那覇市臨時議会が開かれるというこの日、2期8年『基地返還アクションプログラム』を提唱して、日本政府・防衛施設庁と厳しい論戦と折衝の毎日を過ごしてきた大田氏の一言ひとことは、『講演』という枠を越えて、平和のために市民一人ひとりが、今何をなすべきかの指針をこめた激励となっていた。

【3】一人ひとりが平和を『つくる』時代へ
 沖縄戦史研究に人生を捧げることを決意した原体験から初めて、テーマは日米密約の歴史へ。密約の日米外交は佐藤内閣の沖縄返還交渉に止まらず、吉田内閣のサンフランシスコ講和からライシャワー時代の全過程に及ぶ。そして普天間基地「代替案」とマスコミが書きたてる辺野古新基地建設が、実は沖縄返還以前の1966年に始まり、それを再び持ち出したのは日本政府の側であったことが明らかにされる。しかし大田氏は戦争の国際政治の波に翻弄され続けて来た沖縄を振り返るだけでなく、今この小島沖縄が世界から注目される、平和の鍵を握る島になりつつあることに話を発展させる。歴史を振り返ると今から90年も以前に、紛争の島から平和の島への歴史を歩みだしたフィンランド自治領オーランド諸島の例がある。その基本理念が非武装と住民自治であったことに参加者のまなざしが輝く。非武装の独自の歴史を持つ沖縄の将来を見通す鍵がこの歴史にあることが示唆される。そしてこの小島沖縄に、今平和を希求する世界各層の関心が寄せられていることも話題豊かに紹介された。

【4】地域で学校で上映の場を
 大田氏はまた『ヨーロッパの若者たちで修士論文、博士論文で沖縄をテーマとしているのが非常に多い。私の事務所にあるだけで500冊をこえますよ』と、沖縄への世界の青年層の関心の高まりを紹介してくれた。この話題に平和学の授業でこの映像をみてくれた沖縄のある学生は『沖縄人として光栄に思い、希望がわいて来た』という感想を寄せてくれた。”沖縄を見る”ことは今、この”日本を見直す”ことである。
 学校の授業でも地域のグループの集まりの話題に切り出しにも使いやすくと35分の小編にまとめた。
 この秋本土のあらゆる場で、是非とも活用してくださることを願ってやまない。

※無防備平和のとりくみについては、以前当サイト今週の一言「無防備平和 ― 札幌市民の挑戦」でもご紹介しています。あわせてご覧ください。

◆木村 修(きむらおさむ)さんのプロフィール

 1948年新潟県生まれ 大阪府立高校に勤務 退職後、戦後五〇周年記念沖縄県民映画『GAMA-月桃の花』続編『MABUI』の制作・上映運動に取り組み、その後2000年11月に(有)マブイ・シネコープを設立。
 2001年よりドキユメンタリー制作を開始し、これまで『ジュゴンの海』、『バークレー市民がつくる町』『シンディ・シーハン〜母の日のメツセージ』『アメリカ帰還兵・イラクに誓う』等を発表したてきた。



 
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