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今週の一言

 

自衛隊による違法な国民監視活動にストップを

2009年11月2日

小野寺 義象さん(弁護士・自衛隊国民監視差止訴訟原告かつ弁護団事務局長代行)

1 ことの発端は
 2007年6月、日本共産党が公表した自衛隊の内部文書によって、陸上自衛隊の情報保全隊がイラク派兵に反対する市民や団体の活動を組織的・系統的・日常的に監視し、その情報を収集・分析・管理保管していることが曝露され、大きな社会問題になりました。当時、私たちは、全国11の裁判所で、自衛隊イラク派兵差止訴訟(後に、名古屋高裁で画期的な違憲判決(参考1参考2)が出た訴訟です)をしており、この監視は他人事ではありませんでした。特に、内部文書の作成者が「東北方面情報保全隊長」、監視対象の多くが東北各県の市民・団体・地方議会・地元報道機関等であったので、東北の弁護団として放置することはできませんでした。

2 原告100名を超える大型訴訟に
 このような経緯で、同年10月5日、仙台地裁に、自衛隊の国民監視差止訴訟を提起しました。その後、第6次訴訟まで提起し、現在、原告は東北6県の107名になりました。原告には、実際に監視対象になった学者・弁護士・地方議会議員・平和運動家・シンガーソングライター・主婦など多彩な人が加わっています。

3 訴訟の内容は
 私たちは、この訴訟で、自衛隊の監視活動は、@報道機関にも及んでおり報道の自由・国民の知る権利を侵害する、A市民の表現の自由を侵害する、Bプライバシーの権利を侵害する、C肖像権を侵害する、D思想良心の自由を侵害する、E平和的生存権を侵害する、Fそもそも自衛隊の市民監視行為は自衛隊法等の法令上の根拠がなく、その個人情報の収集・保全は行政機関個人情報保護法にも違反している、さらに、G自衛隊の市民監視活動は立憲主義に対する背反であり戦前の「憲兵政治」復活の危険があるという、基本的人権保障や民主主義・立憲主義に対する重大な侵害行為であり、国家的不法行為であると主張しています。
 その上で、国に対して、自衛隊イラク派遣に対する原告らの一切の表現活動、思想活動に対する情報収集・活動監視活動を行ってはならないとの差止めと原告各自に慰謝料100万円の国家賠償を請求しています。差止めまで請求し、単なる損害賠償訴訟にとどめていないのが特徴です。

4 訴訟がめざすもの
 自衛隊の国民監視は、国による戦争遂行と言論思想弾圧が表裏一体の関係にあることを見事に実証しています。戦争行為を遂行するためには自国民の戦争反対活動や報道を監視・抑圧することが不可欠であることは、戦前の国家総動員法の立法や国民精神総動員体勢による特高警察・憲兵・隣組等による思想弾圧・言論抑圧等の教訓からも明らかです。このおそれは過去のものではありません。現に、立川テント村事件では、自衛隊と警察との合作で、ビラを配布した市民が逮捕・勾留され、表現の自由が侵害される時代になっているのです。
 この訴訟は、原告の人権侵害救済だけでなく、憲法9条を改悪して戦争する国作りを進める動きを食い止める国民の抗議・抵抗運動そのものです。

5 訴訟の現段階は
 本日(11月2日)には、第11回弁論が開かれます。現在、法廷では、代表的原告について、自衛隊による監視活動がどのようになされ、どのような被害を受けたかの立証が進んでいます。今後は、自衛隊の実態・憲法論・国家賠償論など、実態や法理論の主張立証に進んでゆきます。そして、自衛隊の責任者の尋問を何としても実現したいものです。
 この訴訟における国の対応は異常なもので、内部文書の成立に関する認否すら拒否しています。国の指定代理人席に自衛隊の制服組・情報保全隊員が座っています。

6 ブログもみてください
 機会があれば、この訴訟の続報をご報告させて頂きたいのですが、最新情報はブログでご覧下さい。また、資料集(増補版。800円)も作りましたので、関心のある方はご連絡下さい。


◆小野寺義象(おのでら よしかた)さんのプロフィール

1955年 宮城県生まれ
一番町法律事務所(仙台)に所属
自衛隊国民監視差止訴訟原告かつ弁護団事務局長代行
トンネルじん肺根絶訴訟東北ブロック 弁護団事務局長
宮城憲法会議 幹事長など

※自衛隊国民監視差止訴訟については、こちらもご参照ください。(法学館憲法研究所事務局より)


 
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