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空襲・戦争の記憶を引き継ぐ――静岡平和資料センター

2009年9月14日

浅見幸也さん(「静岡平和資料館をつくる会」運営委員)

―――「静岡平和資料館をつくる会」は静岡平和資料センター(以下、センター)を運営しています。アジア太平洋戦争と静岡・清水空襲の惨禍を後世に語り継ぐ、様々な資料を収集し展示していますが、このセンターの設立の経過からお聞かせください。
(浅見さん)
 1971年、戦争体験を残そうという呼びかけが新聞に掲載され、それが契機となって「静岡市空襲を記録する会」がつくられました。そして、『静岡市空襲の記録』(1974年)、空襲体験画集『街が燃える 人が燃える』(1985年)が発行され、静岡空襲が語り継がれることになりました。このようなとりくみの中で、空襲など戦争に関わる資料を収集し展示する公的な平和資料館をつくろうということになり、「静岡市空襲を記録する会」は「静岡平和資料館をつくる会」(以下、「つくる会」)に発展しました。1988年、私たちは静岡市に対して公的な平和資料館の建設を要望しました。静岡市は私たちの要望を受け入れ、1993年から市立体育館の一画に平和資料センターが開設され、資料の保管・展示場所を提供してくれました。私たちができるだけ広く便利な施設を求め続ける中で、静岡市も協力してくださり、1996年、相生町に移転、2008年6月、現在の地で新センターの活動ができるようになりました。

―――静岡市の理解と協力はありがたいですね。「つくる会」とその活動が市民から支持を得られているからだと思いますが、心がけていることなどをお聞かせください。
(浅見さん)
 私たちは、戦争の惨禍を後世に語り継ぎ、二度と戦争が起きないようにするという点で多くの市民と手を繋いでいます。政治的には保守系と言われる方々も参加しています。センターの施設の確保にあたっても保守系の市議会議員の方が尽力してくださいました。「つくる会」はセンターの運営の他に、様々な行事・とりくみを行っていますが、静岡市と市教育委員会には様々な協力をしていただいています。

―――センターには静岡の地での戦争関連資料がたくさん集まっているので、静岡の市民や小中学生などの学習の場として重要な役割を果たしているのでしょうね。
(浅見さん)
 センターのスペースが少しづつ広くなってきましたので、小学校からクラス単位の見学などを受け入れています。先生が引率して来館されたり、友だち同士で誘い合って来館したりして、学んでいます。子どもたちに戦争のことを伝えるのは難しいと言われることがありますが、センターに来た子どもたちは皆熱心に見学し、学んでいます。
 私たちはセンターの資料をたずさえて、各地に出向いて戦争体験を伝える活動もしています。加えて、このセンターの活動の特徴として、資料をいろいろなところに貸し出し、活用していただいているということがあります。学校やいろいろな団体から依頼を受けます。地域の女性団体が「すいとんを食べる会」を催し、その際にいろいろな資料をその参加者に紹介することもありました。遠くは、大分県や奈良県の方々からも資料貸し出しの依頼を受けています。

―――センターにはいろいろなところから貴重な資料が集まってくるのではないでしょうか。
(浅見さん)
 はい、軍人だった方が持っていた当時の写真や資料をご遺族の方が持ってこられたり、いろいろな方から資料が集まります。先日は軍刀が届きました。
 多くの資料が集まってくるのですが、センターのスペースには限りがあり、展示できる資料を絞らざるを得ず、また保管場所にも不自由な状態で、残念に思っています。

―――「つくる会」としては今後とも公的な平和資料館の建設を求めていくということでしょうか。
(浅見さん)
 そこに行けば戦争と平和に関わる資料や書籍、映像などが基本的に保存され、閲覧や視聴できる、そんな平和資料館が必要であり、ぜひ自治体としてつくってもらいたいと思います。この要望は今後とも続けることになります。私たちには平和資料館の運営のノウハウが蓄積されており、公立の平和資料館ができれば協力する立場です。

―――「つくる会」の活動は日本国憲法の理念に基づくものとされていますが、浅見さんの憲法に対する思いをお聞かせください。
(浅見さん)
 憲法の内容と考え方を理解するためには歴史を学ぶことが重要だと思います。いまなお国民の中に、日本国憲法はアメリカに押し付けられたものだという誤解がありますが、日本国憲法が日本の国会でその手続きをふまえて制定されたこと、日本国憲法には植木枝盛や鈴木安蔵など多くの日本人の案が反映されていること、日本国憲法の制定を圧倒的多数の国民が歓迎したこと、などを正しく伝えていくことが大事です。
 日本国憲法については日本国民に広げるだけではなく、世界の人々にも伝えていく必要があると考えます。また、かつての戦争については、その被害のこととあわせて日本が他国に対して犯した加害のことも学び、語り継ぐ必要があると考えます。
 私もかつて高校の社会科教員でしたが、憲法やその平和主義のことは学校の先生が子どもたちに伝えていくことがいよいよ重要だと思います。アジア太平洋戦争のことを実体験として語れる方々が減ってくる中で、学校の先生の役割に期待しています。

―――本日はありがとうございました。センターの一層の発展を期待したいと思います。

◆浅見幸也(あさみこうや)さんのプロフィール

「静岡平和資料館をつくる会」運営委員。元高校社会科教員。
静岡平和資料センターはこちら



 
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