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ヒバクシャの想いを次世代に伝えるバトンリレー、輪を広げるとりくみ

2009年8月31日

写真提供=日本原水協
折原悠子さん(埼玉高校生平和ゼミナール委員長)

 

 

―折原さんは、埼玉高校生平和ゼミナールの活動に関わりながら、去年・今年と原水爆禁止世界大会に参加されたときいています。核廃絶や平和の問題にとりくむようになったきっかけは?
折原さん:高校の生徒会活動をしていたときに、高校生全国交流集会の実行委員になったんです。そこで、埼玉高校生平和ゼミの活動を知り、参加するようになりました。小学生のときに広島の原爆資料館でショックを受けたことが、今から思うと平和の問題への関心の根っこにあったのかもしれません。
埼玉高校生平和ゼミは、ニュースなどで気になって自分たちが学びたいと思ったことを、学習会で先生に分かりやすく教えてもらったりとか、真面目なこともするんですけど、普段の学校のこととか、勉強のこととか話したり、恋バナだってするし、平和の活動をやっていても日常とリンクしている、それが私にはとても魅力です。

―今年の世界大会に参加されて、どんなことを感じられましたか?
折原さん:去年広島で行われた大会に初めて参加したときは、先輩たちについて歩くことが多くて、わりと受身だったんですが、今年の長崎の大会では、世界青年のつどいや女性のつどいなどで発言者になったので、自分でとりくんでいる充実感がありました。高校生って注目されるし、自分でも若者の力はすごいんだぞーというのを見せたい、知ってもらいたい、という気持ちの高まりがありましたね。

―発言はどのようなことを?
折原さん:埼玉高校生平和ゼミの普段の活動紹介や、私たちは何をすべきなのかということを発言しました。
被爆者の方の年齢が高くなってきている中で、私たちは被爆者と直接話ができる最後の世代なんだということから、自分たちは次に伝えていくバトンにならなくてはいけない、その準備をしなくてはいけない、ということを話しました。それから、平和は、教科書や学校だけでは学びきれないことがたくさんあります。現地に行ったりさまざまな人の話を聴いたりして、これまで自分が知らないでいたということに気づくことが第一歩だろうと思うんです。知らないという状態を知らないことが一番いけないことだと思っています。だから自分で実際に見たり聞いたり触れたりすることがとても大切なのだ、ということも話しました。
 また世界青年のつどいの企画には、折鶴セレモニーというのがあって、全国各地の人たちの想いが詰まったたくさんの折鶴を、会場2階席の手すりから掛けおろしたんです。その折鶴に囲まれた中で、被爆者の方が核兵器廃絶に対する熱い想いを語ったのが、とても印象的でした。

―一方で、日本も核武装すべきだと主張している大人もいますが、折原さんはどう思われますか?

写真提供=日本原水協
折原さん:核の傘を自分で持つ、という考え方ですよね。核兵器って、使ってしまったらヒロシマ・ナガサキのような被害が起きて、しかも後世に伝わっていくというのはもちろんですが、でも、現実に使う前の段階から、大きな被害を受けている人が世界的にたくさんいるんですよね。核兵器の製造過程とか、その工場の周辺の人たちとか。それを考えると、核の傘って、持っていても使わないから被害を受けないということじゃない、傘じゃないって思うんですよ。守るんじゃなくて、既に攻撃しちゃっている。そのことに何でもっと気づいてくれないのかなと思います。政治家とか責任ある立場の人は、もっと被爆者の声とか、実際に核の傘を持っている国で被害を受けている人たちの声とかを、真剣に受けとめてほしい。

―核武装論は、日本が軍隊を持つことを前提にしているようです。その点からも、核の問題と憲法を変えて軍隊を持てるようにしようという動きの問題とは切り離せないのではないかと考えていますが、みなさんの間では憲法についてどのような話をされていますか?
折原さん:大多数の高校生は、憲法をちゃんと読んだことはないし、テストに出るから読むくらいで、今の教育の中では自分の生活とリンクさせられない環境になっているんじゃないか。その点私は平和ゼミに関わることで、環境的にはずい分恵まれているんですけど、憲法が自分の生活とリンクしているということを知る、そういう機会をみんなが持つにはどうしたら良いのかっていうのが大きな課題だと思うんですね。
先日、NHKの人から家で親子が餓死していたという事件についての話を聴きました。最初、餓死ではなく心中だと思われていたのが、最後は水と調味料だけで生きていたということが判ったという話を聴いて、それが日本で起こったというのが信じられない気持ちでした。食べ物がどんどん廃棄される風潮がある中で、一方で食べられない人がいるっていうのは、何かおかしい。全部自分につながってくるというのを、もっとみんな感じてほしいと思っています。
 憲法のことでは、私自身は9条が大切だと思うけれども、反対の意見の人について頭から全部否定はしたくないんですよ。相手を尊重しないで、自分の意見を通そうとするのは、何か矛盾しているなって感じるんですよね。
 核兵器廃絶のためには、輪を広げていくことが何より必要だと思います。大きなことを変えるのは、草の根の市民の声だと思うんですよね。高校生も一人だけでは微力ですが、集まったときのパワーは、本当に無限大です。そういううねりをつくろうとするなら、相手を尊重し、相手を理解しようとする心が大事になってくると思います。
 私たちは、大人の背中を見ています。大人の人たちには、一つひとつの行動を軽い気持ちでやってほしくないし、また子どもを信じてほしい。子どもも大人を信じられるような、そういう社会になればもっと平和に近づけると思います。

―今日は、私たち大人の責任もかんがえさせられる、大変重要なメッセージをいただきました。本当に有難うございました。

◆折原悠子(おりはらゆうこ)さんのプロフィール

1991年生まれ。
埼玉県立浦和西高等学校所属。埼玉高校生平和ゼミナール委員長を務める。



 
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