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「花と兵隊」からみる私たちの役割

2009年8月3日

伊東きくえさん(ドキュメンタリー映画『花と兵隊』を応援する会 設立者)

 

 「あなたには いま 伝えておきたい」このキャッチコピーが映画を観終わった後に改めて心に響く作品、それが『花と兵隊』である。1945年8月15日を迎えてもなお、日本に還らず現地に残り続けた日本兵たちがいた。この映画はタイでいまなお暮らし続けている6人の元日本兵を追ったドキュメンタリーである。現在30歳の松林要樹監督は取材当時20代。監督と同年代で終戦を迎え、その地に残ってそこで「花」を咲かせ、その花を閉じようとしている未帰還兵たちの足跡を辿ることで、彼らがその時何を感じ、そしていま何を思っているのかを描いている。また映画の中では、未帰還兵だけでなく、その家族にも焦点を当て、彼らがその地で咲かせた「花」に彩りを加えている。彼らと結婚した現地の人は、その時何を思い、どのような気持ちで共に過ごしてきたのか。その暮らしを見つめることで、彼らが現地に残り続けた理由に迫る。戦後60余年を経て、いまだからこそ話せる話、いましか聞けないことを話してくれた方もいる。

 この映画は、万人が入り込みやすい作品に仕上がっている。多くの場合、戦争をテーマにした作品は映像自体が重くなりがちで、興味がある人しかみないことが多い。それはそれで非常に大事なことであると思う。しかし、この作品は登場する人たちの性格やタイの気候風土のためだろうか、映像が明るく美しく感じる。未帰還兵の奥さんたちの明るさもまた重要な要素の一つだ。そういった作品の持つ美しさ、繊細さが見る人への敷居を低くし、普段あまり戦争に関する作品に触れない人の心にも響きやすくなっていると思う。この映画を通じて、若い世代にはあまり知られていない未帰還兵の存在をまずは知ってもらうことは、いまこの時代だからこそ非常に重要なことだと思う。冒頭に書いた映画のキャッチコピーの意味を、映画を観終わった後に改めて考えてほしい。映画を見るだけにとどめず、その後に掘り下げていくことで、この映画は深みを増していくと思う。

 あの戦争を直接体験していない監督や私たちの世代が、あの頃のことを知るチャンスは「いま」しかない。そして、孫ほど年の離れた人にだからこそ、そして「花」を咲かせ、終えようとしている今だからこそ伝えられることがある。この映画を通じて、改めて過去を知り、見つめなおすことの意義を感じた。そして、その過去から現在、そして未来に思いをつないでいくことの重要性も感じる。作品中に登場する6人の未帰還兵のうち、作品完成を待たずに2人が生涯に幕を閉じた。その事実が、なおさらこの作品の中で語った言葉一つ一つに重みを加えている。この映画に出てくる人たちの思いを過去の思い出話として終わらせるのではなく、その思いを受け取り様々な形で次の世代に繋げていくことが非常に重要なことだと思う。

【劇場公開情報】
8月8日より、シアター・イメージフォーラムにてロードショー、ほか全国順次公開

シアター・イメージー・フォーラム
Tel : 03-5766-0114)
10:15〜/12:30〜/14:45〜/17:00〜/19:15〜
※8/8(土)、初回上映後と2回目上映前に松林要樹監督による舞台挨拶あり

◆伊東きくえ(いとうきくえ)さんのプロフィール

1981年、福岡県生まれ。
東京女子大学卒業後、船で世界を周る。下船後その時感じたことなどを元に、報告会を行ったり市民活動に携わったりしている。「花と兵隊」を試写見て、この映画を一人でも多くの人に見てもらいたいと感じ、「ドキュメンタリー映画『花と兵隊』を応援する会」を設立。
応援する会ブログ



 
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