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「営業の自由」を考える − ゴミ袋規制を素材に

2009年6月29日

武田一弘さん(「指定ごみ袋を考える会」会長)


―――静岡県西伊豆町がごみ袋を1社から一括して購入し、それを小売店に卸すことにしました。それまではいろいろな業者がごみ袋を製造・販売していましたから、入札によって決定された業者以外が排除されてしまいました。西伊豆町の措置は「営業の自由」を侵害するとして、排除された業者が提訴し、当研究所の顧問である浦部法穂・神戸大名誉教授が裁判所に意見書を提出しました。
 まず、いまごみ袋の規制がどのような状況なのかをお聞かせください。
(武田さん)
 住民のごみの収集は地方自治体の仕事で、その方式は自治体によって様々ですが、この間有料化と指定袋制度導入が進んでいます。西伊豆町のように、小規模な自治体を中心に特定の指定袋を入札によって1社から購入する制度の導入が広がっています。以前はいろいろな業者がごみ袋を製造・販売し、住民=消費者もそれぞれが安く便利なごみ袋を買い、使っていたのですが、そうではなくなってきています。

―――自治体が指定袋制度を導入する理由はどういうことなのですか。
(武田さん)
 指定袋制度導入の理由として一番強調されることは「ごみの減量」です。制度が導入されれば住民は指定されたごみ袋でごみ出しすることになり、たしかに導入後しばらくはごみの量は減っているようです。しかし、人々の意識もどんどん変わっていきます。指定袋制度の導入によってごみが減っていく、とは言い切れません。
私たちはごみ収集を有料化する場合でも、ごみ袋を指定する必要はないと考えます。有料化する場合でも住民に手数料分のシールを購入してもらい、そのシールをごみ袋の貼ってもらう方式がよいと考えます。それならば、住民は安く便利なごみ袋を買うことができます。ごみ袋の業者それぞれが安くて便利なごみ袋の製造・販売を競い合えばよいのです。

―――「ごみの減量」以外にも多くの自治体が指定袋制度を導入する理由があるようですね。
(武田さん)
 指定袋の販売代金の中にごみ収集の手数料を組み込むことで、自治体が手数料を確実に徴収したいということがあると思います。実はこれが指定袋制を導入する大きな理由になっているのではないかと思います。

―――いま地方自治体の財政が厳しくなってきていることは事実ですので、それが指定袋制度導入の重要な背景になっているのかもしれませんね。しかし、それを理由に住民から安くて便利なごみ袋を選択する自由を奪ったり、あるいは多くのごみ袋業者が排除されるようなことは許されないと思います。
(武田さん)
 その通りで、私たちも浦部法穂先生の裁判所への意見書に励まされました。
「ごみの減量」は、本来は厳密に出すごみの量に応じて住民が負担を分かち合うという方法がフェアです。自治体はごみ袋の規制にばかりに目が行きますが、その弊害も考えるべきです。ごみ袋の業者としては、行政による民業圧迫に憤りを感じます。

―――柔軟な対応をしている自治体もあるようですね。
(武田さん)
 長野などではごみ袋業者を1社に独占させるのではなく、複数の業者が登録され、袋の売価に競争原理が働き、住民も袋を選択できるような制度になりました。
 「指定ごみ袋を考える会」としては、ごみ収集が有料化される場合でもごみ袋業者を入札で1社に独占させるような方法ではなく、シール方式にすべきことを訴えていきたいと思っています。
既にごみ袋の製造・販売から撤退する業者が出てきています。入札方式に反対の気持ちを持ちつつ、自治体の意向に応じざるを得ない業者も少なくありません。しかし、業界全体が沈んでいく状況をなんとか打開していきたいと思っています。

―――人々の職業選択の自由=営業の自由を狭めるにはそれ相応の理由・目的が不可欠です。指定ごみ袋制度の導入もこの憲法の考え方をふまえて検討されなければならないと思います。
 本日はありがとうございました。


◆武田一弘(たけだかずひろ)さんのプロフィール

「指定ごみ袋を考える会」会長。
株式会社ケミカルジャパン代表取締役。


 
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