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世界初の大学立の平和博物館=立命館大学国際平和ミュージアム

2009年3月30日

高杉巴彦さん(立命館大学国際平和ミュージアム館長)


―――立命館大学国際平和ミュージアムは世界初の大学立の平和博物館とのことですが、設立の経緯からお聞かせください。
(高杉館長)
 1980年代以降、立命館大学は社会のグローバル化をふまえた研究と教育が重要であると考えました。そして、1988年に西日本初の国際関係学部を設置しました。2000年には大分に立命館アジア太平洋大学ができました。立命館大学国際平和ミュージアムの設立もこのような流れの中に位置づけられます。同時にそれは、立命館大学の教学理念である「平和と民主主義」を具体化する教育・研究機関および社会開放施設として開設されたものです。
 立命館大学国際平和ミュージアムは、初代館長に加藤周一先生をお迎えし、1992年に設立されました。2005年には全館をリニューアルし、現在に至っています。

―――平和博物館は各地にありますが、立命館大学国際平和ミュージアムの特徴はどういうところにありますか。
(高杉館長)
 立命館大学国際平和ミュージアムは過去の戦争の悲惨さを語り継ぎ、歴史的に検証しながら、あわせて現在でも世界各地に生じている武力紛争・戦争の実相を伝えています。また、戦争をしないことだけが平和なのではなく、貧困、飢餓、人権抑圧、環境破壊、民族抑圧などの解消も平和というものを実現していく課題なのだとの立場から、各種の展示も行っています。
原爆の実相を伝えたり、日本の侵略の事実を伝えるなど、各地の平和博物館がそれぞれの地域やテーマをふまえた展示をしているのに対して、立命館大学国際平和ミュージアムの場合は平和ということについて学び考えるトータルな展示になっていることも特徴です。また、大学という学術機関がつくりましたので、扇情的な展示ではなく、事実を大事にしているという特徴もあります。したがって、小中学校や高校の平和学習には役立っているようで、全国から多くの見学者をお迎えしています。
 最近は、年間5万数千人が来館されますが、そのうち3万人くらいは小学生・中学生・高校生です。多くの学校が京都に修学旅行にいらっしゃり、名所を見物しつつ、立命館大学国際平和ミュージアムも見学されることが増えてきています。ここは長野県上田市にある戦没画学生の慰霊美術館「無言館」の分館にもなっていて、画学生たちの遺作なども展示しています。この展示には若い世代の人たちがいろいろなことを感じているようです。

―――大学立の博物館ということで、立命館大学が過去の戦争にどのように関わったのかも明瞭に示していることにも感銘を受けました。
 ところで、国際平和ミュージアムが立命館大学の学生教育にどのように役立っているのかもお聞かせください。
(高杉館長)
 学部によっては1年生全員に対するオリエンテーションの一環としてミュージアムの見学を実施しています。また、様々な科目ごと、担当教員ごとにも活用していただいています。
 学生たちにはミュージアムの運営を担う「ミュージアムスタッフ」として活動してもらっています。毎年数十名、あるいは100名を超える応募があります。平和ミュージアムというと暗いイメージを持っていたという学生が、実際に見たら誤解していたと言って応募してきたこともありました。

―――大学立のミュージアムですから、諸外国からの見学者も多いのではないかと思いますが、見学された方からはどのような感想が寄せられていますか。
(高杉館長)
 欧米からの来館者からは、過去の戦争における日本の被害と加害の両方を展示していることに感銘を受けたというお話をよく聞きます。特に中国や韓国からの来館者は、日本の戦争責任に関わる展示の存在に驚かれます。
 私はこれからの平和博物館は「悲惨と怨念のミュージアムから和解と共存のミュージアムへ」と発展させる必要があると考えています。

―――アジアの人々との友好関係を築いていく上でも立命館大学国際平和ミュージアムの果たしている役割は大きいと思います。
最後に、立命館大学国際平和ミュージアムをさらに発展させる課題としてはどのようなことを考えておられるかを教えてください。
(高杉館長)
 この間、市民や小中学生・高校生などに平和について考えてもらう、社会教育施設としての役割は果たしてきていると思っています。
 これからは、社会に対してもっともっとメッセージを発信していきたいと思います。昨年末から今年にかけてイスラエルによるパレスチナへの攻撃が展開されましたが、私たちは緊急にその写真展を開催しました。このような活動を発展させることは重要だと考えています。
 大学立のミュージアムという特性もふまえ、平和研究・平和教育にどのように寄与していくのかも課題です。子どもたちに平和について学び考えてもらう上で、その発達段階をふまえて、それをどのように伝えていくのか、ということも重要な研究課題だと考えています。

―――大学が国際平和ミュージアムを設立し、運営していることの意義は大変大きいとあらためて感じました。
 本日は有益なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

◆高杉巴彦(たかすぎともひこ)さんのプロフィール

立命館中学・高校教諭、立命館慶祥中学校・高等学校校長、立命館学園常務理事、立命館アジア太平洋大学副学長を歴任し、現在立命館大学国際平和ミュージアム館長。

 


 
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