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今週の一言

 

生きるために不可欠な支援に「応益負担」は違憲!

2009年1月19日

薗部英夫さん(障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会)

 2008年10月31日、障害者自立支援法が強引に成立させられてから3年。この日、東京・日比谷野外音楽堂には6500名の障害者が参加して、フォーラムと国会へのデモ行進がとりくまれました。同時に、8つの地方裁判所(福岡、広島、神戸、大阪、京都、大津、東京、埼玉)に29名が一斉提訴しました。

●自立支援法は、生存権や幸福追求権の侵害!。憲法違反です。

 2006年4月に施行された自立支援法は、身体、知的、精神の3障害の支援サービスを一本化し、障害種別や地域格差による不平等を解消し、「持続可能」なために「みんなで支えあう」とされました。私たちはこの狙いが障害者福祉に対する財政削減にあり、その根幹にある「応益負担」を国会審議段階から大問題としました。国会での「これからの福祉は買うもの」(厚労省局長)発言は大きな批判をあびました。
 食事をする。トイレや入浴をするなど命に直結する支援。また他者とのコミュニケーションや移動、情報アクセスなど健康で文化的に生きるための支援に対して、サービス料の原則1割を求めるのが「応益負担」です。障害が重ければ重いほど必要な支援は増えます。サービスが増えれば「応益」負担は増すのです。補装具や医療も例外ではありません。自立「支援」どころか「阻害」法です。
 一方、事業者も頭を抱えました。制度として何もなかったところから障害者といっしょに作業所などをつくり、行政に後追いで制度化させてきましたが、この法によって、障害者と事業者は分断され、事業者は障害者からの「取り立て」を強いられたのです。
 史上最大と言われた運動と障害者の声によって世論を動かし、政府に2度の負担軽減を実現させました。世界では障害者権利条約が発効し、国内法の是正が求められています。それは、障害者の問題がすべての人たちにつながる問題だからです。最近になって負担は「1割ではなく3%程度」「負担することで権利性が生まれる」などと詭弁していますが、根本の「応益負担」は温存されたままです。
 自立支援法は、生存権や幸福追求権の侵害であり、憲法に違反する。このことを司法の場で明らかにしたいと10月に「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会」が発足しました。全国弁護団(竹下義樹団長、藤岡毅事務局長)は80名を越えました。4月には第二次訴訟も続きます。

●原告と共に闘って時代を拓きたい

 「私がいちばん言いたいのは、お金がもらいたいから働いているのに、何で利用料を払う必要があるのかということです。給料もらうのに、利用料を払うのはおかしいと思います。応益負担には反対です」。キッパリと発言する大阪の大江春樹さん。就労センターで毎日休まず、みんなで協力して働き、給料が上がるようにがんばっているのです。大江さんは勉強会で学び、原告となりました。
 「これまで制度のない中で少しずつ「運動」でつくってきたのに、一丁両断で、首をはねられるような気持ちになります」と言う京都の稲継清秀さん。「この子の命は3歳までです」と医師から宣告された重度重複障害のある学さんのお父さんです。「この子を1日でも永く生きさせてやりたい」と保育所請願運動し、「就学猶予・免除」の時代、与謝の海養護学校づくりの運動に参加、卒後は地域で共同作業所を運営・・・。すべて何もないところからの運動です。「本来、社会福祉は、政治の責任で、障害者が安心して暮らせるようにすることです。なのに、自立支援法は権利としての福祉をないがしろにし、障害を理由に利用料をむしりとる。どうしてもがまんできない怒りを覚えます」。
 広島の秋保喜美子さんは訴えます。「地域の中でごく普通の生活がしたい。重い障害があっても働く喜びや生きがいを持ちたい。私たちは、特別なことを願っているのではありません。障害のある人が、安心して生活できる制度をつくってほしい。憲法でも認められているあたりまえのことです。この訴訟は障害者問題だけでなく、人間社会の基本を問いなおす大切な訴訟だと思います」。
 私たちは、原告を支えるため3000万円支援募金にとりくんでいます。ぜひ、ご協力ください。
 
 障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会


◆薗部英夫(そのべ ひでお)さんのプロフィール

 1956年群馬県生まれ。金沢大学卒業後、全国障害者問題研究会専従スタッフ、85年より事務局長。障害者・患者9条の会もとりくむ。日本障害者協議会(JD)情報通信委員長として障害者のICT施策にアクション。障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会では情報通信を担当。

 


 
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