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今週の一言

 

教員が自由に意見を交し合える学校を!

2009年1月12日

土肥信雄さん(東京都立三鷹高校校長)

―――土肥さんは学校の職員会議で教職員の意向を聞く挙手・採決を禁止する東京都教育委員会(以下、都教委)の各学校長への通知に異論を唱えておられます。まず、土肥さんのお考えをお聞かせください。
(土肥さん)
東京都の学校現場は最近大きく変わってきました。いろいろな問題があるのですが、特に学校の入学式・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱についての都教委の各学校への指導は大きな問題でした。もともと東京都は国旗掲揚・国歌斉唱をする学校の比率が他の道府県に比べて低い状況でした。都教委は各学校への指導を強めることになりました。そして2003年に卒業式入学式における教育課程の適正な実施を求める職務命令を全ての都立高校の校長に出し、卒業式入学式で国旗を掲揚し、国歌を斉唱することを強制したのです。 私は国旗・国歌の強制にも異論があるのですが、そのことについては校長という立場もふまえて対応せざるを得ませんでした。この問題は、1998年に職員会議を校長の補助機関として、最終決定権は校長にあることを明確にしている中での出来事でした。都教委も国旗国歌問題は都立高校における最大の課題であると認識しており、職員会議の補助機関化の中で国旗国歌問題は解決したのです。そして補助機関化ですでに最終決定権が校長にあるということが明確になっているにもかかわらず、2006年に職員会議で教職員の意向を聞く挙手採決の禁止の通知を出したのです。このことは、明らかに教職員の言論の弾圧をしているとしか思われません。したがって私は、職員会議での挙手・採決禁止について断じて認める訳にはいかないのです。特に生徒指導にあたっては、校長が実際に指導している教員の意見を聞いて方針を決めることは当然のことです。最終決定権は校長にありますので、私自身校長として多数の教員の意見には従わずに判断したこともあります。多数決の結果がいつも正しいとは限りません。でも、全教職員の意見を聞くことは極めて重要なのです。逆に教員等が自分の意見を表明できなくなると、教員たちに仕事へのやる気がなくなっていくことになります。それは怖いことです。

―――土肥さんは2008年8月4日に都教委に対して要請書を提出し、以降都教委の方針の問題点を社会的にも訴えてきました。その経緯をお聞かせください。
(土肥さん)
私はその前にも校長会の場で発言し、通知の撤廃を求めていました。しかし都教委からは明確な説明がありませんでした。やがてこの事態が教育学者や法学者などにも伝わり、私はその人たちの支援をいただきながら主張していくことにしました。
これまで都教委は通知を撤廃せず、私の行動を問題視するようになってきています。私が社会的に発言していることと、私が都教委の内部問題を外部に漏らしたということを問題視しています。都教委はいま、職員の業績評価を事実上相対評価でおこなうよう指導しているのですが、そのことを私が報道機関に明らかにしたことを守秘義務違反だと言っているのです。しかし、職員の業績評価は都教委の実施要領に絶対評価によると明記されています。したがって、都教委はこのことで私を処分できない状況にあります。
私は都教委に対して職員会議での挙手・採決禁止の問題についての公開討論会の開催を求めています。この問題については都教委にも言い分があるでしょうから、公開の場で明らかにして欲しいと思います。社会が都教委の主張を認めるようでしたら、私はそれに従うということを明確にしながら、公開討論会の開催を求めています。

―――今回の事態は、この問題についての教員、生徒、父母と世論の動向によって動いていくのではないでしょうか。その状況と土肥さんのお考えをお聞かせください。
(土肥さん)
いま父母の皆さんが教員に対するアンケート活動をすすめてくれています。父母の皆さんの多くは私の主張に賛同してくださっています。それは私の日常的な教育実践を評価してくださっているからだと思います。私はほとんどの生徒の顔と名前を知っています。日常的に一人ひとりの生徒と向き合っているからです。
新聞社やテレビ局も好意的に取材してくださり、著名な学者の皆さんも支援してくださっています。まだ同じ校長先生の中で私に表立って賛同してくださる方はいないのですが、影では私に同意してくださる校長もいますので頑張っていきたいと思います。
都教委は職員会議での挙手・採決禁止によって、学校における校長の権限とリーダーシップを強化すると言ってきました。しかし、実際には校長の権限はあまりありません。一例として、都教委は卒業式等における各教員に対する個別的な職務命令は校長の権限だとしています。だとすれば、個別的職務命令を出すか出さないかは校長が判断すればいいはずです。ところが、校長が個別的な職務命令を出す必要がないと判断しても、命令を出すように執拗に“指導”します。都教委は、実は、校長を都教委の言いなりになるようにしたいのであり、実際に校長は都教委の言いなりになっているのです。
しかし、これでは学校は活性化しません。学校で教員たちが自由に議論し合う中でこそ、生徒たちへの教育も充実していくのです。

―――憲法に示された国民の教育権や表現の自由に関わる重要な問題提起をしていただきました。ありがとうございました。
(2008年12月26日にインタビュー)

◆土肥信雄(どひ のぶお)さんのプロフィール

1948年生まれ。商社勤務後に東京都の高校教員に。神津高校校長(2002年から)を経て、2005年から三鷹高校校長に就任。


<法学館憲法研究所事務局からのご案内>

下記集会が開催されますのでご案内します。

「学校に言論の自由をもとめて PartU」大集会

日時:2009年1月31日(土)18:40〜21:00
会場:杉並公会堂大ホール(JR荻窪駅徒歩7分)
主催:「土肥校長と共に、学校に言論の自由を求める」保護者&市民の会

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