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『新版 体系憲法事典』
−上手に活用して、日本国憲法の可能性を広げよう

2008年11月17日

浦田一郎さん(明治大学教授)
<以下、日本民主法律家協会『法と民主主義』2008年8/9月号に掲載された文献紹介を、浦田一郎さんおよび日本民主法律家協会の了解を得て掲載します。(法学館憲法研究所事務局)>

1968年に田上穣治編『体系・憲法事典』が出され、40年経った。その間この事典はよく使われ、その実績を踏まえて今年2008年7月に杉原泰雄編『新版・体系憲法事典』(青林書院)が出された。本書の編集に関わった一人として、本書の特徴を紹介し、読者に本書を上手に活用していただければと願っている。

1、体系書と辞典の性格を併せ持つ

本書は旧版以来の方針に基づき、体系書と言葉の辞典の両方の性格を与えられている。中項目主義により各執筆者は小論文のようにまとまった解説を行っており、読み物として使っていただくことができる。全体として「基礎理論」と「日本国憲法」に分けられ、その体系的な勉強に役立たせることもできよう。言葉の辞典としても使うことができるように、旧版以上に中小項目に分けて解説が行われ、また巻末に詳細な索引が付けられている。

2、新しい理論動向を知る

基礎理論の部分にかなりのスペースを割き、「国家」、「憲法」、「憲法学」に関する詳細な解説が行われている。研究者にとって理論的な関心に応えるものであり、実務家にとっても実務の基礎にある理論状況を知ることができる。憲法に関する基本原理の今日的展開の章では、多文化主義とマイノリティの権利などの人権問題やグローバリゼーションと憲法など、最近の問題が扱われている。憲法学について憲法解釈学、憲法科学、比較憲法学という従来の学問分野に加えて、憲法哲学の興隆や憲法政策学の広がりという新しい理論動向にも注意が払われている。

3、学説・判例を体系的に理解する

日本国憲法の柱の中が、「日本国憲法の成立」と「日本国憲法の構造」に分けられている。前者では、明治憲法や日本国憲法の制定とともに、日本国憲法の施行から国会憲法調査会報告書に至る展開過程も整理されている。後者は日本国憲法の解釈論に当てられており、中小項目をたどって現在の学説・判例の状況をその体系の中で正確に理解することができるようになっている。通説、判例を踏まえつつ、理論的課題も提示している。
私は毎年新しい体系書を一冊ずつ拾い読みしつつ、学部の講義ノートをわずかでも改善するように心がけている。その割に、私の講義に対する学生の評判は大したことがないようである。それはともかく、来年度は本書を使って講義ノートをどのように改善することができるか、今から楽しみにしている。

4、日本国憲法の可能性を考える

本書の作成に取り組んできた時期は、改憲問題への対応とロー・スクールの開始に憲法研究者が追われてきた時である。憲法研究者は研究者の中でも最も忙しい人たちであろう。その憲法研究者90名(後記参照)の協力を得て、最先端の憲法学の成果を提示することができたのではないかと思っている。本書を通して、国家や憲法をめぐる全体状況の中で、日本国憲法の意義、可能性、課題を読者の方々に考えていただければ、執筆者たちの苦労は報われよう。

●執筆者一覧
愛敬浩二/鮎京正訓/青柳幸一/井口秀作/石村修/市川正人/稲正樹/井上典之/今関源成/岩間昭道/植野妙実子/右崎正博/内野正幸/浦田一郎/浦部法穂/江島品子/遠藤貢/大石眞/大久保史郎/大沢秀介/大津浩/大藤紀子/岡田信弘/奥田敦/小沢隆一/加藤一彦/加藤哲郎/加藤紘捷/北川善英/北原仁/木下智史/君島束彦/君塚正臣/工藤達朗/古関彰一/小林武/駒村圭吾/小森田秋夫/小山剛/今野健一/阪口正二郎/坂本昌成/笹川紀勝/佐々木雅寿/笹田栄司/宍戸常寿/志田陽子/渋谷秀樹/初宿正典/杉原泰雄/清野幾久子/芹沢斉/高佐智美/高橋和之/竹森正孝/田島泰彦/多田一路/只野雅人/建石真公子/田村理/辻村みよ子/土井真一/戸波江二/戸松秀典/中島徹/永山茂樹/成嶋隆/西原博史/西村幸次郎/糠塚康江/根森健/野中俊彦/畑尻剛/日笠完治/廣田全男/藤野美都子/古川純/松井幸夫/松田浩/水島朝穂/村田尚紀/本秀紀/森英樹/矢島基美/安西文雄/山内敏弘/山元一/結城洋一郎/横田耕一/吉田善明(50音順・所属略)


◆浦田一郎(うらたいちろう)さんのプロフィール

1946年、大阪府生まれ。法学博士(一橋大学)。明治大学法科大学院教授
主要著作として、『シエースの憲法思想』(勁草書房、1987年)、『現代の平和主義と立憲主義』(日本評論社、1995年)、『立憲主義と市民』(信山社、2005年)、『「憲法改正」批判』(労働旬報社、1994年)(共編著)、『憲法答弁集』(信山社、2003年)(共編著)、『いまなぜ憲法改正国民投票法なのか』(蒼天社、2006年)(共編著)、『新版・憲法事典』(信山社、2008年)(共編著)、「国連憲章と日本国憲法――武力行使への関わりを中心として」法学館憲法研究所編『日本国憲法の多角的検証』261−277頁(日本評論社、2006年)など。

<浦田一郎さんの著書・論文は当研究所の憲法文献データベースで検索することができます。(法学館憲法研究所事務局)>



 
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