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今週の一言

 

「押し付け憲法」論に反撃する
最後の「日本の青空」上映会 − ぜひ前売券の購入を、東京北法律事務所へ

2008年11月17日

鳥生忠佑さん(弁護士)
―――鳥生さんは憲法9条を守り活かすとりくみを積極的にすすめておられます。近く鳥生さんが代表委員を務める「北・九条の会」は映画「日本の青空」の上映会を開催するとお聞きしています。まず、鳥生さんが日常的にどのような活動をされておられるのかをお聞かせください。
(鳥生さん)
 私は弁護士ですが、私が所長を務める東京北法律事務所で、9人の文化人の方々の呼びかけを受けて、事件の依頼者の皆さんと所員による「九条の会」をつくりました。2005年1月以降、ほぼ月一回のペースで学習会や講演会、映画上映会などを開催してきました。
私は東京都北区の「北・九条の会」の代表委員も務めています。北区はかつて軍都でした。したがって軍需工場なども多くあった地域で、1945年4月13日の空襲で私の生家も焼失しました。私を含めて区民の平和への願いも強いところです。「北・九条の会」も軍都を題材にして、毎年秋に大きなイベントを開催してきました。ミュージカルを催したこともあります。
今年は映画「日本の青空」の上映が北区で最後になると聞き、ぜひ広く見ていただきたいとチケットの販売に取組んでいます。上映は11月27日(木)、赤羽会館を午前・午後・夜間の3回に分けて行います。前売券(1200円)を発売中ですので、この機会に私の事務所(電話 03−3907−2105)で御申込み下さい。

―――憲法9条を守り活かしていく上で国会の動向が注目されますが、鳥生さんは今日の動向をどのように見ておられますか。
(鳥生さん)
 安部氏・福田氏が政権を投げ出し、麻生太郎氏が首相になりました。いま、衆議院の解散と総選挙の時期をめぐって与野党間の駆け引きが続いていますが、麻生氏はできるだけその時期を先送りしようとしています。それは、現在衆議院で3分の2を超す議席を与党ができるだけ維持しておきたい、憲法の「改正」をめざす勢力は3分の2の議席があるうちに、あらためてその機運を盛り上げたいと考えているのです。

―――鳥生さんは憲法を守り活かしていく上で、いわゆる「押し付け憲法」論への反撃が重要だと訴えておられますが、説明してください。
(鳥生さん)
 改憲勢力はこれまで、現在の憲法はGHQに押し付けられたものだということを宣伝してきました。ですから、現在の憲法を「マッカーサー憲法」などと言い、そして「自主憲法」をつくるんだと言ってきました。それに対して憲法を守り活かそうと考える人たちも適切に反論できないところがありました。「仮にGHQから押し付けられた憲法であったとしても、良いもの良い」というくらいにしか切り返せませんでした。しかし、そもそも「GHQに押し付けられた」というのは、事実ではないのです。日本国憲法は日本人の提案によって出来上がったものだと言えるのです。この事実が隠され、これまで国民は、いわば歴史の空白の中で虚偽の宣伝に振り回されてきたのです。歴史の真実は、憲法は日本人の手によってその骨子が作られたのです。したがって、「押し付け憲法」論への反撃は憲法を守り活かす上で極めて重要なのです。

―――そのような思いから鳥生さんは映画「日本の青空」の上映運動に力を入れているんですね。日本国憲法の制定過程については鳥生さんご自身も精力的に調べたそうですね。
(鳥生さん)
 1945年9月、日本人7人の学者・文化人がいちはやく立ち上り、憲法研究会を結成し、11月から12月までの2ヶ月間に、58条の「憲法草案要綱」をつくり、これを同年12月末にGHQに提出しました。当時の日本政府よりも早く案をつくっていたのです。この「憲法草案要綱」を受け取ったGHQは、その内容は日本の将来を決めるうえで、良くできていると判断しました。それで、GHQは日本政府から提出された憲法案を突き返えし、憲法研究会の「憲法草案要綱」をもとに憲法案の不足する点を補充して憲法案を完成させたのでした。
 憲法研究会の「憲法草案要綱」の中の人権条項の最後には現憲法の9条と前文のもととなる、次のことが謳われています。
「国民は、民主主義並びに平和思想に基づく人格完成、社会道徳確立、諸民族との協同に努める義務を有する。」
 この部分の前段は、9条の「戦争放棄、軍備の不保持、交戦権否認」のもととなっており、そしてまた憲法前文にある「全世界の国民が、ひとしく平和のうちに生存する権利を有することを宣言する」との宣言は後段の国際連帯の義務を宣言した条項がもとになっているのです。日本国憲法の前文と9条の確かな礎が憲法研究会の「憲法草案要綱」の中にあるのです。
 映画「日本の青空」は、日本人自身が現在の憲法の内容を作成して提案し、それが実際に憲法に盛り込まれたという歴史の事実を見事に描いています。

―――憲法研究会の鈴木安蔵は戦前の様々な憲法案を研究し、それが当時の「憲法草案要綱」に反映されたんですよね。
(鳥生さん)
 自由民権の時代には全国各地で憲法案の検討が行われ、憲法案の形となっているだけでも約20を超える案が政府に提出されたとのことでした。鈴木安蔵はいろいろと調べ、その中でも植木枝盛の『東洋大日本国国憲按(案)』に注目しました。植木枝盛の案はアメリカの独立宣言やフランス革命における人権宣言などを参考にしたものでした。憲法研究会の「憲法草案要綱」が短期間にできあがったのは、植木枝盛のこの案があったからだと言われます。植木の案が鈴木安蔵らの下敷きの案となり、それが現在の日本国憲法に取り入れられていった、というのが歴史の真実なのです。
 こうした事実を映画で見られます。多くの人々に知ってもらうためにも、「日本の青空」の上映会を成功させたいと思っています。

―――最後に、憲法を守り活かす取り組みの状況と課題についての鳥生さんのお考えをお聞かせください。
(鳥生さん)
 2004年に「九条の会」アピールが出され、現在全国各地に7000を超す「九条の会」ができました。東京の「九条の会」も800を超え、先日東京の連絡会が発足しました。この取り組みは草の根的に広がり、9条を守り活かそうという声は国民世論になっています。
 ひところは、「9条は変えないほうがよいが、憲法全体は見直したほうがよい」という世論調査の結果でしたが、今年の憲法記念日前後の世論調査の結果は、「9条は変える必要はなく」、また「憲法の見直しも必要ない」という意見が多くなってきました。それは読売新聞の調査結果などで明確になりました。こうして、最近は改憲勢力の声が停滞している感じですが、相手側も国民運動に力を入れようとしています。まさに、国民の世論が政治を動かしてきているのです。今後とも憲法を守り活かす世論づくりが大切になると思います。

―――本日はありがとうございました。今後ともご憲法を守り活かすとりくみを一緒にすすめていきたいと思います。


◆鳥生忠佑(とりう・ちゅうすけ)さんのプロフィール

1932年生まれ。
1959年、弁護士登録。以降、東京弁護士会副会長、日弁連司法問題対策委員会委員長などを歴任。
2006年から日本民主法律家協会代表理事を務める。
「北・九条の会」代表委員。



 
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