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新地平をめざす「2008平和のための埼玉の戦争展」へお出かけください

2008年7月14日

杉田明宏さん(大東文化大学/平和のための埼玉の戦争展呼びかけ人)
 来る7月24日から28日までの5日間、「2008平和のための埼玉の戦争展」(以下「戦争展」)が、さいたま市浦和駅前のコルソで開催されます。1984年に始まったこの「戦争展」は、浦和レッズの拠点さいたま市に根ざし、四半世紀にわたって「戦争を起こさない、起こさせない」とりくみの一翼を担ってきました。25回目を迎える今年は、新しいチャレンジを組み込んで、21世紀型の戦争展に変身しようとしていますので、「呼びかけ人」の一人として、ぜひ多くの方々に足を運んでいただければと願っております。
 さて、新しい地平をめざす今年の「戦争展」は、「この子たちの未来のために世界を変える人になろう」というテーマを掲げています。その意味は、二つあります。

戦争展の会場風景1
 一つには、今年は「過去の戦争から戦争の悲惨さを学び平和の尊さを知る」という軸足をややずらして、現在、私たちが置かれている環境・経済・社会の状況は「平和でない=持続可能ではない」ととらえ、それらの根底にあるグローバルな新自由主義経済と軍事優先の論理とシステムを解明し、未来に向けて、日本国憲法をカギにして「平和で、持続可能な」論理と社会システムへと転換することを学びあっていく場にしようというコンセプトを基本に据えたということです。例えば、最初のゾーンでは「いまの世界と向き合う」ということで、環境・経済・軍事の視点から地球の現在を問題提起し、貧困、格差、温暖化など、参観者の幅広い関心に問いかけることしました。毎年の参観者の半数を占める10〜20代の若い層を意識してのことです。そこを入り口として、その状況をもたらしている「世界のしくみ」の話に展開していきます。
 また、「過去の戦争から学ぶ」部分についてもこのコンセプトから光を当て直し、かつても経済的行き詰まりを武力に依存して打開する選択肢をとっていったことが浮かび上がらせ、現在と関わらせ認識できるようにしていこうと考えています。
 こうした軸足のシフトの背景には、地球的問題群の拡大と、それに向きあう平和研究・平和運動・平和教育の進展があります。埼玉の戦争展においては当初から学習と研究を欠かさずに時代の課題と正面から向きあう展示を組み立てていく方向性は、常に追求されてきました。80年代前半の歴史修正主義の台頭・「核戦争3分前」の情勢と核廃絶の問題、冷戦後の民族紛争多発と非暴力・平和の文化の問題、9・11を契機とする日米同盟強化・改憲圧力と国際社会の平和ルールの強化、人間の安全保障、環境・経済・平和の相互連関といった課題に取り組んできました。
 そしてもう一つ、「世界を変える人になろう」というテーマには、平和のシステムへの転換を「誰かえらい人」任せにするのではなく、自分にもこの問題に関わっていくことができるという確信をとりわけ子ども・若者の中に育てたい、という思いが込められています。過去と現在の深刻な事実にきちんと向きあい、感じ考えた上で、最後は未来への展望や希望を抱いて会場をあとにしてほしいという思いです。そのようなエンパワーメントができるような展示の内容と方法を、いろいろと工夫しているところです。

戦争展の会場風景2
 これは実行委員会の準備過程にも反映されていて、戦争体験世代、第2世代、第3世代が対話を重ねながら展示を構想し、形にしてくスタイルが当初から大切にされてきました。中・高生や大学生のボランティアを常に募り、学び・自己表現する場、企画・制作の責任を担う機会を積極的に用意するという方法論は、埼玉の戦争展最大の特徴・原動力と言えるかも知れません。今年も、「ピース・ライブ」、「若ものピース・トーク」など、若者スタッフが担う部分がいくつもあります。
 私自身は、心理学の角度から平和創造の研究と実践をめざす「平和心理学」という研究領域で仕事をしてきましたが、埼玉の戦争展とは、平和の文化のコンセプトが取り入れられた2000年前後に出会いました。自分の研究の問題意識の源泉、学生への教育実践の場としてたいへん魅力を感じて関わってきました。
 「平和は自分たちの手で創り出すことができる楽しく手応えある営みである」というアイディアを分かち合う場にできるように、多様な世代の人たちと共にチャレンジを続けていきたいと考えています。
 それでは会場でお会いしましょう。

関連サイト
平和のための埼玉の戦争展
杉田研究室
大東文化九条の会(D9s)


◆杉田明宏(すぎたあきひろ)さんのプロフィール

1959年生仙台生まれ。大東文化大学専任講師。専門は心理学、平和学。大学院時代の「宮城の高校生平和ゼミナール」設立を出発点に、大東文化大学の平和ゼミ、大東文化9条の会(D9s)、浦和のピースカレッジといった若者の平和の学び場づくりに関わってきた。
現在、平和の文化をきずく会幹事、平和の学び場コラボ21常任理事、「平和のための埼玉の戦争展」呼びかけ人、日本平和学会理事などをつとめながら、平和教育・平和運動と関わらせた平和研究を実践している。主な著書に『平和の文化8つのキーワード』(共著)、『平和を創る心理学』(共著)、『語りあい未来を拓く平和心理学』(共著)、『暴力についてのセビリア声明』(共編)などがある。



 
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