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子どもたちの成長と発達をサポートする

2008年5月26日

矢沢宏之さん(学習塾エルムアカデミー代表)
―――矢沢さんはエルムアカデミーという学習塾を主宰し、子どもたち一人ひとりに向き合い、その成長と発達をサポートしておられます。
 こんにちの子どもたちに対する評価は様々ありますが、矢沢さんはこんにちの子どもたちをどのように見ておられますか。
(矢沢さん)
 私たちは小学生・中学生・高校生などに勉強を教えながら、その成長と発達をサポートしています。いわゆる思春期の子どもたちは、これからどのような道を進むのかを悩み、揺れ動きながら成長する日々を送っています。それは基本的にいまも昔も変わっていないと思います。
 ただ、最近の子どもたちは、以前に比べて一人ひとりが周りの目を気にして、窮屈な思いをしているように感じます。子どもたち一人ひとりは、いろいろなことに対して自分なりの意見を持ってよいし、他人と意見が違ってもよいはずです。ところが、自分の意見を述べ、それがみんなと違っていると仲間はずれにされてしまうのではないか、いじめにあうのではないかと感じているんです。そのことにすごく敏感で、ついつい周りに合わせてしまうんです。自分が言いたいことを言えない状況があり、一人ひとりがかえって孤独な思いをして、他人とうまくコミュニケーションできないところがあるように思います。

―――なぜ、最近の子どもたちにそのような傾向が生じていると考えますか。
(矢沢さん)
 日本社会は依然としていわゆる学歴社会であり、子どもたちは基本的に学力で評価されてしまいます。子どもたちには得意・不得意があって当然ですし、本来その子なりの個性が評価されなければならないはずです。ところが、いまの学校には子どもたち一人ひとりの個性に着目した教育をしていく条件が整備されていません。
 昨年文部科学省が実施した学力テストはこうした状況に拍車をかけたと思います。「テスト・テスト」と子どもたちは追いまくられています。
 東京都品川区でも様々な教育「改革」が行われていますが、むしろ懸念される事態が広がっています。たとえば、いま、かつてあった学級会の時間がなくなっています。子どもたち同士が話し合って物事を決める場がなくなってしまったんです。
 最近危惧することとして、子どもたちの中でも携帯電話が広がっていることです。みんなで一緒に仲良く遊んでいても、携帯電話にメールが入ると遊びが中断してしまいます。携帯電話でのメールのやりとりというのは、送信者と受信者の一対一の関係になりますので、子どもたちが集団的にコミュニケーションをとる場が削られてきているように感じます。

―――矢沢さんはそのような状況をどのように改革していくべきと考えますか。
(矢沢さん)
 まずは、学校の教師の多忙な現状が改善されなければならないと思います。教師の皆さんはいま、授業以外の場で生徒たちとふれあう時間がほとんどない状況に追い込まれています。子どもたちはいろいろな形で教師とのふれあいを求めているんです。私たちの塾に来ている子どもたちはよく講師やスタッフに愚痴を言ったり、アドバイスを求めてきます。私たちがいろいろな話をしてあげて、ヒントを得ていくことが多いようです。そんなことが広がる必要があると思います。

―――矢沢さんは子どもたちの成長・発達のため、学校の教師の皆さんや地域の皆さんとの連携も広げていますよね。

「九条お箸」
国産天然漆輪島塗。定価は999円。
お問合せ・ご注文は「九条の会・品川」まで。
(矢沢さん)
 いま学校と教師の皆さんも大変ご苦労されているわけですから、私たちも積極的に協力したいと思っています。三年前私たちも協力してLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもたちをサポートするNPO法人が設立されました。このNPO法人と学校や行政の連携も進み始めました。塾の出身者が社会人として成長していくためには様々なフォローも必要であると考え、私たちはラーメン店を立ち上げ就労訓練もはじめました。様々なネットワークを広げて子どもたちをサポートしていきたいと考えています。

―――子どもたちのサポートというのは、実際にはご苦労が多いと思いますが、矢沢さんがこの活動をはじめた動機をお聞かせください。
(矢沢さん)
 私自身も中学生の時に塾に通ったんですが、その塾の講師をしていた佐藤学先生(現在、東京大学教授)が大変魅力的な方だったことから、私も教育の仕事をしたいと思うようになりました。それと、大学生の時に教育基本法の条文を読んでみて、日本国憲法の精神の実現は教育に負う、ということが示されていることを知ったこともこのような仕事に関わるきっかけでした。

―――矢沢さんは多忙な日々を送りながら、「九条の会・品川」の事務局を務めておられます。「九条の会」の活動への思いをお聞かせください。
(矢沢さん)
 私の父も戦争に行っており、その悲惨な体験を聞かされました。また、私が小さい頃、よくお祭りの時など街の中で傷痍軍人の人を見かけました。手足を失っている人を見て、怖いとか可哀想とか感じた記憶があり、戦争をしてはならないという思いが強くあります。
 そのようなことから、私の塾の合宿などでは平和授業も行ってきました。日本の中国への侵略のことや沖縄戦のことなどに子どもたちは大きな関心を寄せます。一方で、はじめて戦争のことを学ぶ子どもたちは自らの問題として受け止められない状況にもありますから、さらに工夫して伝えていかなければならないと思っています。
 「九条の会・品川」は九条をデザインした天然漆輪島塗のお箸の普及などもしています。映画「日本の青空」の上映運動(PDF)(6月5日、荏原文化センター大ホール)も進めており、これからも頑張っていきたいと思います。

―――有意義なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

◆矢沢宏之(やざわひろゆき)さんのプロフィール

1960年生まれ。
1984年、エルムアカデミーの創立に参加。2001年以降、エルムアカデミー代表。
「九条の会・品川」の事務局代表も務める。




 
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