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低所得者の国民健康保険税(料)の減免を!

2008年3月10日

大畑実さん(北海道・音更町在住)

 国民健康保険税(料)が高くて払えず、多くの人が短期保険証の発行を受ける状況となっています。そして、病気になっても医療費がなく、病院にも行けない人が年々増えています。本来、国民皆保険である保険が、使えなくなることは大変な事です。私は、北海道河東郡音更町に住んでおり、国民健康保険税が払えない、いわゆる低収入・生活保護基準以下であり、音更町税条例に基づき、減免申請をしました。ところが、判で押したように、「前年に比して収入が減っていない。担税力があるので減免できない。生活保護基準以下の者は、国民健康保険法第6条6号により申請により生活保護が予定されている」というのです。音更町は、人口43,753人、世帯数17,551世帯(平成18年)のうち、国民健康保険加入世帯8,210世帯、被保険者16,604人となっており、その中でも200万円以下の所得階層は6,235世帯、10,400人にものぼります。
 ご存知のように他の保険制度とは違い、国民健康保険は応益割の負担が導入され、1円の収入がなくても、たとえば今日、生まれた赤ちゃんにも税金がかけられます。私は、こうした中で、減免条項の改正を求めて町長や議会に陳情したり、自らの減免棄却決定について異議申立を行ったりしてきました。今回、最終手段として行政訴訟に踏み切りました。
 平成18年6月14日、釧路地方裁判所に提訴し、5回の口頭弁論の後、平成19年6月26日に判決がでました。結論的に言えば、「収入がなくても国保は、相互扶助制度である。収入のなく担税力がない人は生活保護が予定されているので、自ら生活保護を申請しない者に減免しなくても憲法25条、14条に違反しない」という判断でした。私は、これに不服として、札幌高裁に控訴しました。高裁では東京学芸大学の斎藤一久先生に鑑定意見書をご執筆頂きました。3月21日に判決が下される予定です。

 私は、国民健康保険には多岐にわたる憲法論議が必要であり、研究課題ではないかと思っています。国保の課税、徴収と減免、滞納は、重要な憲法問題を提起していると考えます。保険税では違憲違法(秋田市国民健康保険税訴訟)、保険料であれば合憲合法(旭川市国民健康保険料訴訟)という判断があります。第1の問題は、最高裁の判断で、税の形式であれば、憲法84条の租税法律(条例)主義が適用されるが、料であれば、憲法84条は直接及ばないということです。私は、税はもちろん、料も税金であると考えます。
 第2の問題は、判決では、国民健康保険は社会保障制度であると主張して、相互扶助共済制度とだと言い張っています。私は国民健康保険税(料)は応能負担が原則であり、憲法13条、14条、25条からすると、生活保護基準以下の人の保険税(料)は、非課税であるべきだと考えます。同時に保険税(料)の応益負担は廃止すべきではないかと考えています。これがあるために担税力のない人に課税徴収することになるからです。
 第3の問題として、地方自治の本旨とは何かということです。国民健康保険制度は、地方分権によって自治体の自治事務となっており、音更町でも国民健康保険税については、生存権に基づく、柔軟な対応ができるはずです。たとえば、秋田県では技術的助言として県下の自治体に生活保護基準以下の者、あるいは就学援助等を受ける者、これに準ずるものを減免できるとしています。憲法の原理原則に従えば、首長には裁量権があり、その範囲で柔軟な対応はできるはずですし、住民の福祉の増進といった観点から、住民の生存権を侵害してはいけないことは当然の結論です。
 私は現在、労働相談などを担当しています。今日も生活相談にきた人は、仕事もなく収入もなくサラ金に苦しめられています。私は、憲法を語り、権利意識をもつ事を力説しますが、理解されることに時間がかかります。だからこそ、粘り強く、草の根運動を続けていきたいと考えています。最後の勝利を願って。

◆大畑実(おおはた みのる)さんのプロフィール

1930年生。77歳。音更町国民健康保険税減免棄却決定取消等請求事件の原告。本人訴訟として、現在、札幌高等裁判所にて係争中。
裁判の経緯については、こちら



 
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