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米軍基地問題から安保と憲法の関係を考える
− 辺野古ヘリ基地反対闘争から

2008年1月21日

大西照雄さん(ヘリ基地反対協議会代表委員)

*以下は法学館憲法研究所・伊藤真所長が主宰する塾=伊藤塾の沖縄スタディツアーでの講演(2007年12月11日)の要旨です。

1996年、SACO合意によって沖縄の米軍基地の整理縮小、米軍普天間飛行場の移設が決まりました。そしてその後普天間飛行場の移設先を名護市辺野古とする案が浮上しました。私たちは辺野古を米軍のヘリポート基地にすることに断固反対する運動をすすめてきました。


辺野古の海

2006年7月、防衛庁(現防衛省)那覇防衛施設局は普天間飛行場の移設先とされている辺野古の海岸に米軍キャンプシュワブへの立ち入り禁止の看板を立てました。そこには、立ち入った場合「日本国憲法で制定された法律で罰せられます」と書かれていました。従来、防衛施設局がこのような看板を立てる場合、「日米安保条約に基づく刑事特別法によって罰せられます」と記述していたんですが、この時の看板には「日本国憲法で制定された法律で罰せられます」と書かれました。私は、これは面白い、この看板によれば米軍キャンプシュワブの敷地内にも日本国憲法が適用され、ならば米兵も日本の銃刀法によって逮捕される、というような趣旨の投稿を沖縄タイムスに送ったのです。そうしたら、私の投稿が新聞に掲載されました。すると、防衛施設局は看板の中の「日本国憲法」で制定された法律でという部分を黒塗りにしてしまいました。
防衛施設局は私の指摘によって、これはマズイ!と考えたのでしょう。おそらく防衛施設局は当初、辺野古の米軍キャンプシュワブへの立ち入り禁止は日本国憲法によって正当化されるということ強調したかったのだと思います。しかし、私は看板の文言を逆手にとって、それならば米軍キャンプシュワブの基地内も日本国憲法が適用されると指摘したので防衛施設局は慌ててしまい、「日本国憲法」で制定された法律でという部分を黒塗りにしたのだと思います。
日本には憲法体系と安保体系という二つの矛盾した法体系があると言われます。今回ご紹介した、米軍基地に関わる看板をめぐる動きも、日本の法体系の矛盾を示す例ではないでしょうか。日米安保条約によって日本国憲法の理念が歪められている事態について、これから法律家になろうという皆さんには是非よく考えていただき、このツアーの参加者の中からその解決をはかっていく法律家が生まれて欲しいと思っています。


熱弁をふるう

辺野古のヘリポート基地に反対するたたかいにおいて、私たちはこれまで2回大きな勝利をおさめてきました。その一つは1997年12月の名護市民投票でした。私たちは「大切なことはみんなで決めよう」と訴え、市民投票で建設計画を否決したんです。二つ目は、軍民共用空港計画に必要となる環境アセスメントのための防衛庁(現防衛省)の調査を大幅に遅らせてきたたたかいです。防衛庁(現防衛省)は海底のボーリング調査をしなければならないので、私たちは海上にボート・カヌーで駆けつけ、また櫓を組んで監視しました。防衛庁(現防衛省)はいつ調査に来るかわかりませんので、私たちは交代で、泊りがけで監視しました。防衛庁(現防衛省)の調査隊が来たときには彼らを説得し、調査の強行を阻んできました。
私たちはあくまで非暴力の立場を貫いてきています。これまで海上においてまったく逮捕者を出していません。私たちは毎日監視するわけですが、防衛庁(現防衛省)は調査に来ない日もあります。私たちのたたかいは退屈な時間を耐えるたたかいでもあります。SACO合意では2014年までに辺野古にヘリポート基地をつくることが決まっていますが、私たちは、それを阻止することは不可能ではないと考えています。


たたかいの小屋の前で

辺野古の海には稀少生物ジュゴンが生きています。辺野古の海は珊瑚の海です。いま地球環境保全と、そのための生物多様性の重要性が叫ばれています。私は辺野古への新海上基地建設は「ジュゴン追い出し作戦」だと言っています。そして、辺野古への新海上基地建設は「悪魔の要塞」づくりでもあります。V字形滑走路基地からは直接弾薬を運搬できるようにし、また軍港を併設する計画になっています。これができるとアジア最大の基地として、アジアの人々が大きな脅威を感じることになります。
基地建設には環境アセスメントが前提として必要になります。私はこのアセスメントの段階で建設計画を大きく狂わせヘリポート建設計画を阻止できる可能性があると思っています。法律家をめざす方々に問題提起したいんですが、アセスメントの分野の法的解決をより専門的に担える法律家も必要ではないでしょうか。みなさんには心から期待しています。

◆大西照雄(おおにしてるお)さんのプロフィール

ヘリ基地反対協代表委員。名護平和委員会会長。
著書に『愚直 辺野古からの問い』(2005年、なんよう文庫)がある。
ホームページ「宝の海 −辺野古日記」を開設し、ほぼ毎日辺野古をめぐる情報を発信し続けている。



 
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