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今週の一言

 

日本国憲法の平和の理念を実践する「平和省」を創ろう

2007年10月15日

きくち ゆみ さん(グローバル・ピース・キャンペーン呼びかけ人)
911事件から6年目

2001年にアメリカで起きた911事件をきっかけに始まった「対テロ戦争」は6年たった今も続いている。戦場とされたアフガニスタンやイラクでは毎日無実の市民が戦闘に巻き込まれ、いのちを落としている。結局、イラクには大量破壊兵器はなかったが、それでも戦争は続いている。日本の自衛隊は、いまだにインド洋で無料給油を続け、イラクで米兵や米軍の兵器を運んでいる。これは人道復興支援などではない。

911事件についても、いまだ数多くの疑問が解明されていない。ペンタゴンに突っ込んだのが本当にボーイング757型機だったなら、どうして激突直後にペンタゴンの壁に空いた穴は直径5メートルに満たないのか?エンジンや垂直尾翼が当たったはずの壁がなぜ無傷なのか?世界貿易センタービルはなぜたった9秒で崩壊したのか?飛行機が突っ込んでいない第7ビルはなぜ6.5秒で崩壊したのだろうか?どうしてコンクリートが粉々になったのか?など、疑問点はたくさんある。

映画『911ボーイングを捜せ』や『911の嘘をくずせ ルースチェ ンジ・セカンドエディション』が指摘したことを、遅まきながら日本のテレビ局も取り上げ始めた。たとえば9月には長崎放送が『911の嘘をくずせ』を報道番組で紹介したし、10月15日には日本テレビ「世界丸見え!TV特捜部」で、「911事件の謎」を放送する。

ディビッド・レイグリフィンの『9・11事件は謀略か?』が今年の9月にやっと日本で発売になり(戸田清氏とわたしの共訳)、木村朗編著の『9・11事件の省察』では日本平和学会の研究者たちが911事件の公式説に疑問を呈した。この事件の真相が日本の人々に伝わるのは、これからだ。


毎分二百万ドルの世界の軍事費

2002年に『戦争中毒』という本を翻訳したとき、アメリカの軍事費が「1分間に百万ドル」という数字が出てきた。これはいくらなんでも誇張し過ぎではないか、と思って計算してみた。1時間で6千ドル、1日で14億4千ドル、1年間で5256億ドルとなり、実際はそれよりやや少ない。しかしブッシュ大統領が就任してから、米国の軍事費はうなぎ上りで、年間5000億ドルを超えそうだ。この金額は世界の軍事費1兆ドルのおよそ半分にあたる。つまり、世界の軍事費は、およそ1分間に二百万ドルにもなる計算だ。

ご存知の通り、アメリカは財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を抱えている。税収が国家予算に満たない日本と同様、財政赤字は国債を発行して賄う。流動性と国際的信用が高い米国債は、国際金融市場で日々売買されているが、世界でもっとも米国債を購入し、保有しているのが日本だ。

この資金の出所はどこだろう?日本政府も財政赤字で資金があるわけではない。実は、その原資は国民の貯金だ。私たちが銀行に預けた貯金は、政府短期証券(短国)に投資され、日銀に集まる。日銀は「円高を 止め為替を安定させる」という名目でこの資金で円売りドル買いの為替介入をし、米国債を購入している。米国の国家予算のうち、自由裁量予算の半分以上が軍事費なので、私たちの貯金で米国の戦争が賄われている、とも言える。

このことを逆に考えると、面白い。日本人がこのことに気付いて、貯金を下ろして独自に未来バンクのような市民バンクに預けたり、自然エネルギー市民ファンドなどに投資したりすると、結果として米国債への投資が減り、米国は戦争資金の調達が難しくなる、つまり戦争しにくくなる、ということだ。

戦争は国がやるのもので、軍需は国が国家予算(税金)で賄う。だから 戦争をするためには国民の支持と戦費が必要だ。わたしたちが911事件以降に立ち上げた「グローバルピースキャンペーン」で一貫してやってきたことは、米国民の戦争反対の声を大きくする活動だった。つまり、新聞広告や野外看板広告(ビルボード)や本(『戦争中毒』)や映画(『テロリストは誰?』『911ボーイングを捜せ』)などを使った マルチメディア作戦だった。この作戦の効果を計ることは難しいが、『戦争中毒』が今年の4月にサンフランシスコの教育委員会で高校の歴史教科書の副読本に採択されたことは、一つの成果と言えるだろう。

しかし、もっと直接的な効果がありうるのが、戦費の調達をさせない、ということかもしれない。つまり、「貯金を下ろして、自然エネルギーに投資しよう」作戦だ。結局、アフガニスタンやイラクの攻撃は石油のパイプラインや原油埋蔵量の高い油田の権益の確保といったエネルギーのためのものだった。現在、国会で議論になっている米軍への給油問題も、日本のエネルギー確保のためには仕方ない、というところから出発している。エネルギー資源のない日本がシーレーンを防衛するために一定の「国際貢献」(=米軍支援)をするのは当たり前、という考えだ。

もちろん、わたしはその考えには賛同しない。むしろ、私たち市民が自らエネルギーを生み出すことに投資をし、米国債に流れる資金を減らすことが、戦争の直接の抑止力になると考える。自分自身にあまり貯金がないので、実行力が伴わないのがちょっと悔しいが、これを読んでいる 人である程度の貯金がある人は、ぜひ実行してほしいと思う。


平和省をつくろう

平和省地球会議がこの9月に日本で開催された。この会議は2005年10月に第1回がイギリスのロンドンで、第2回が2006年6月にカナダのビクトリアで開催され、今回日本で第3回目の開催となった。

9月21日から25日まで千葉県木更津市のアカデミアパークにて世界21カ国から約50人が集まり、各国の平和省創設運動について報告し合い、また平和の文化を広めるさまざまな技術のトレーニングも行われた。第3世界の参加者の多くは、木更津の市民のお宅にホームステイをさせていただき、民間交流も体験した。ほとんどの参加者が日本は初めてだったので、ホームステイは大好評だった。

その後、東京に移動し、9月26日には参議院議員会館で国会議員向けのブリーフィングとンポジウムを行い、翌27日には京都の立命館大学にて交流会、29日には広島の国際会議場にて「世界のピースメーカーとのお話会」、30日には長崎で講演会、10月2日には沖縄でシンポジウムを行い、10月3日に全員が日本を旅立った。

広島、長崎では被爆者のお話も直接聞くことができ、世界各地で平和省 設立をめざす人々はその痛みを共有して誰もが泣いた。大勢で日本各地を移動することは困難もあったが、彼らにとって忘れられない体験となったようで、この会議を日本で開催できてよかった。

平和省という考えはまだ日本ではなじみがないが、紛争を非暴力で解決 することを提案し推進する省として、すでにソロモン諸島やネパールには平和省ができている。コスタリカやアメリカの議会には平和省創設法案が提出されており、コスタリカでは与党も野党も平和省創設に賛成なので、採決があれば可決するだろう。

米国では民主党の大統領候補のデニス・クシニッチ下院議員がこの法案を起草したが、現在共同提出議員が68名に達しており(下院議員の総数は435名)、年々平和省設立を求める市民の声も大きくなっている。この運動を担っているのが、ピースアライアンスだ。

わたしが日本にも平和省を創りたい、と思った直接のきっかけは、2005年9月に全米平和省会議に参加したことだ。全米からワシントン DCに集結した平和省創設を求める人々が3日間平和構築や非暴力コミュ ニケーションのトレーニングを受け、州ごとに自分の選挙区から選出されている議員を一斉にロビイングした。

今やピースアライアンスは全米50州に支部があり、ほとんどの選挙区にリーダーがいて、活溌な活動が展開されている。軍産複合体の力が巨大な米国社会の中にこのような新しい平和志向の政治集団が生まれていることは、本当にうれしい。

平和省創設を求める米国の運動は、まさに草の根の直接民主主義運動だった。わたしは日本でもこれができないか、憲法論議に揺れている日本にこそ、平和省は必要なのではないか、と思い始めた。というのは、 憲法はただあるだけでは絵に描いた餅にすぎない。これほど現実と憲法が乖離してしまったのは、憲法を活用してこなかったからではないか。 平和省を憲法の平和の理念を実行する、実践する政府機関と位置づけることはできないか。

2006年4月、「平和省」に興味をもってくれた有志で、「平和省創設」と平和の文化を日本に広めることを目標に「平和省プロジェクト」を立ち上げた。まだ生まれたばかりの小さなグループだが、第3 回平和省地球会議をどうにかやりきった。国内での具体的な活動はまだこれからなので、今から大いに仲間を募っていきたい。

わたしなりに平和省の意義を一言でいうと、平和構築や平和の文化を広めることに国家予算をつけること、ということ。あなたが創造したい平和省はどんな仕事をするところですか?アイデアを寄せていただけるとうれしい。興味をもってくれた方は、どうぞメールでご連絡をください。 

平和省プロジェクト 

<お知らせ>

市民社会フォーラム第11回東京例会 「日本政治の展望 ―「活憲」を軸に」


日 時 07年10月27日(土)15時〜18時
会 場 法政大学市ヶ谷キャンパス(富士見坂校舎内)58年館867教室
    JR飯田橋駅か市ヶ谷駅から徒歩10分
話題提供
 「活憲を展望する政治論―政治学者の立場から」 五十嵐仁さん 
 「活憲を実現するためには―平和活動家の立場から」 きくちゆみさん
共 催 へいこうせん(平和と公正の選択を求めるネットワーク)
    沖縄・日本から米軍基地をなくす草の根運動
協 力 平和と文化のネットワーク
    グローバル9条キャンペーン
※お問い合わせ・申込み先:Eメール

 


 
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