法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

自分の生き方の問題として憲法9条をとらえる

2007年8月6日

江崎信雄さん(株式会社江崎本店取締役会長・「あいち九条の会」代表世話人)

―――江崎さんは会社の経営にたずさわりながら、憲法九条の重要性についても様々な場で訴えておられます。江崎さんは「あいち九条の会」の代表世話人もされていますが、どのような経緯で就任されたのでしょうか。
(江崎さん)
「あいち九条の会」は長く愛知の労働組合運動を牽引してきた成瀬昇さんが中心的役割を担ってつくられました。成瀬さんが愛知県労働組合評議会の議長だった頃、私は愛知中小企業家同友会の代表理事を務めていました。当時政府は、現在の消費税である、売上税を創設しようとしていました。売上税の創設には労働組合だけでなく、百貨店の松坂屋も、私たち経済団体も反対していましたので、私はいろいろな運動の場で成瀬さんとご一緒することになりました。そのようなご縁で、「あいち九条の会」を立ち上げる際、成瀬さんから声をかけられ、私も代表世話人をお引き受けしました。

―――売上税の創設に反対することと憲法九条「改正」に反対することはイコールではありませんよね。江崎さんが憲法9条「改正」に反対し、「あいち九条の会」の活動をされる問題意識をお聞かせください。
(江崎さん)
私が所属している中小企業家同友会は、中小企業をとりまく社会・経済・政治的な環境の改善と、そのためにも必要となる、日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざしています。
今年、中小企業家同友会全国協議会は『語り継ごう、平和への熱い想い − 中小企業は平和の中でこそ繁栄する』を出版しました。ここには「中小企業家しんぶん」に掲載された多くの会員の想いが掲載され、私の文章も収録されています。まさに、「中小企業は平和の中でこそ繁栄する」のです。
私は「あいち九条の会」の活動をしながら、中小企業家同友会の仲間とともに「中部経営者九条の会」も立ち上げ、とりくみを進めています。

―――他の分野でも同じだと思いますが、経営者というお立場の方々の憲法9条「改正」問題への意見は様々だと思います。日本経団連や経済同友会などは憲法「改正」の方向で意見書をまとめています。経済界全体の意見を江崎さんはどのように考えておられますか。
(江崎さん)
 たしかに経営者の憲法へのスタンスは多様です。憲法を改正すべきという立場の人もいます。私は、中小企業同友会の場合、そこは憲法に対する意見についても自由闊達に議論できる雰囲気があって、それは大変よいことだと思っています。

―――経営者のみなさんは会社の経営に責任を持ちながら活動しておられ、いろいろとご苦労も多いのではないかと思いますが、どんな活動をしておられるのでしょうか。
(江崎さん)
先日、私はテレビ局からも取材を受けました。「九条の会」はいろいろあるが、経営者の「九条の会」というので珍しく感じたようです。「中部経営者九条の会」では中日ドラゴンズの元社長・佐藤毅さんのお話「右手にそろばん、左手に九条を」を聞く催しなどをしてきました。
経営者の「九条の会」は京都で一番先に立ち上がり、その後私たちが中部地域で立ち上げ、東京でもできました。私はもっと多くの地域にできれば、と思っています。経営者にもいろいろなお考えの人がいますので、できるだけ合意を広げる努力が必要だという意見もあります。その通りだと思いますが、私はもはや積極的に憲法9条を守る声をあげるべき時期にきているように思っています。
いま私たちは、経営者ならでは、という「九条の会」の活動を模索しているところです。

―――「九条の会」の活動をされている経営者の皆さんの会社の業務分野は多様だと思います。「九条の会」の活動がそれぞれの会社の業務と直接的に結びつくことはあまり多くはないのではないかと思います。「経営者九条の会」の皆さんはどのように憲法9条の意義を語っておられるのでしょうか。
(江崎さん)
 私の場合、トータルな自分の生き方の問題として憲法9条のこともとらえていきたいと思っています。会社の利益とか自分の利害の問題として語っても人に理解してもらえないと思っています。

―――最後の付け加えたいことを仰ってください。
(江崎さん)
 私は、課税体系が累進課税制度であれば、所得の再分配機構として意義があると考えています。また、アメリカの独立戦争ではありませんが、「代表なくして、課税なし」が民主主義の根幹と考えています。
 私が売上税あるいは一般消費税に反対するのは、全く累進性が無く、消費に一様に課税することに反対するのです。今度の参議院選挙で自民党は消費税率アップに踏みこむことを避けましたが、にも拘らずに大敗、「安倍か小沢かの選択」と言っていたのに、早々と居すわりという態度で、腹が立ちます。
 「中小企業は平和の中でこそ繁栄する」のは真理ですし、また、経営者は「公平」「公正」でなければならない、と考えています。貧富の差が固定化し、あるいは拡大しつつある時に、消費税率を上げる、累進税率を見えなくする、という態度は許せません。
 私は元NHK文化センター名古屋のワイン専科の講師で、ワインの大愛好家です。ワインに限らず、ビールでもウイスキーでも、いろいろなものを比較して飲んで、これがおいしい、というものを選ぶべきだと考えています。これが民主主義だ、と思っています。

―――経営者という立場にありながら、憲法9条を守ろうと積極的にとりくんでいる様子を聞かせていただきました。それは多くの人たちを励ますことになると思います。ありがとうございました。

◆江崎信雄(えさきのぶお)さんのプロフィール

株式会社江崎本店取締役会長。愛知中小企業家同友会顧問・元代表理事。ワイン研究家。
あいち九条の会」代表世話人。「中部経営者九条の会」代表。


 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]